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2008年10月 5日 (日)

NHK篤姫(40)篤姫と和宮、家茂を挟んで写真を撮る

承前:NHK篤姫(39)薩英戦争と徳川家茂

まえおき
 篤姫も40回目を迎えました。全部で49から50回の大河ドラマですから、終盤に入ったわけです。のこり20%がどう動くのか、楽しみですが、毎年一抹の寂しさをあじわうようになります。秋から冬の移行に気持が同調するのでしょう。
 MuBlogの過去事例を今朝眺めてみました。
★2007年 NHK風林火山(40)三国同盟よりも由布姫の去就
 ヒロイン由布姫(柴本幸)が20代半ばで亡くなる直前の回でした。由布姫と山本勘助の十年来の関係が切ないです。
★2005年 NHK義経(40)義経の血涙
 「義経が記した腰越状」の一夜でした。兄頼朝は京から訪ねてきた弟義経を鎌倉に入れなかったのです。兄弟の悲劇として有名なエピソードだったのです。義経や頼朝の顔をはっきり思い出します。
★2004年 2004/10/10-2(日)新撰組と言葉
 沖田総司が、友人・藤堂ヘイスケの新選組脱退に苛立つ回でした。藤堂は近藤局長や土方副長から日頃ねんごろな言葉をかけてもらえなかったから、自分を大事にしてくれる「伊東参謀の御陵衛士に加わる」という流れでした。それに対して沖田が悲しみながら、藤堂を「言葉がなければ、理解できない未熟者」となじったわけです。

 一つ一つの大河ドラマの40回前後は、終盤に入る一抹の悲哀感を思い出させます。さて、今夜の篤姫はどうなんでしょう。長州が中心になる「蛤御門の変」は、歴史的には重要なことですが、薩摩と徳川とを中心にした「篤姫」では、一つの事件としか扱わざるをえません。せめて、Google地図なりと記録しておきます。


大きな地図で見る
(蛤御門は、京都ガーデンパレスの東側(右ですね)の道路に立って、「ストリートビュー」ボタンを押すと周辺の様子や門を見ることができます)

今夜のドラマ
 今夜見終わって、いくつものエピソードを思い返し、つまりは篤姫と和宮に気持がおさまりました。もともとの話として、世間一般の立場からみると、天璋院篤姫と皇女和宮が折り合うことは非常に難しいわけです。まず嫁姑、それはもうよいでしょう。江戸のヱビスと都の雅。生まれも育ちもまったくことなるわけです。兄孝明天皇からの使命は攘夷を家茂が果たす約束で、公武合体をすすめ、その象徴が和宮降嫁だったわけです。さらに美しく若い義母篤姫は、和宮からすると家茂を挟んだ△関係の嫉妬の火種ともなるわけです、……。

 それだけの、厳しい環境の中で、なお篤姫は和宮の気持ちを理解し、どんな時にも手をさしのべます。今夜は和宮の懐妊話に手を打って喜び、それが間違いと分かったときには、涙を流します。持ち前の人の好さと言うよりも、原作者の宮尾さんは、天璋院という女を希有な、男気というか女侠、そういう女性として描いたわけです。多少の異説はあるでしょうが、つまりは天璋院篤姫は薩摩出の情理ともに熱い女だったわけです。

 一方、西郷さんが島流しから帰り、小松帯刀さんには都の花、琴花さんが吸い寄せられていきます。そして海軍操練所を「蛤御門の変」のあおりで閉鎖せざるを得なくなった勝海舟は、坂本龍馬を小松君に引き合わせ、30人ほどの塾生のめんどうを薩摩藩に頼み込みます。このことが後日龍馬と帯刀の名コンビを生んだわけでしょう。また、驚天動地の薩長同盟も、決して龍馬だけでなく、西郷さんだけでなく、桂さんだけでなく、小松帯刀という薩摩の重鎮がいたればこそ、だったのではないでしょうか?

 朝廷では、一橋慶喜(家茂将軍の後見人役ですか)が、何度も「長州など、私めが成敗いたします」と豪語しておりました。蛤御門の緊急時には良かったわけですが、来週の長州征伐戦となると、怪しい話になってきます。総大将は、江戸から家茂が行くことになり、……。慶喜さんのカメラ写りが先回も今回も、まことに悪相となっていました。これこそ演出の妙味というか、終盤の伏線として、すでにこの段階で、最後の将軍慶喜の描き方が、はっきり出ています。

 江戸では、家茂将軍の出陣に、篤姫も和宮も暗澹とし、不吉な影がただよいはじめました。

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受信: 2008年10月12日 (日) 18時58分

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