小説木幡記:2008/10/20(月)インターネットが消えた日:タイムマシンに乗って
『2ちゃんねるはなぜ潰れないのか? 巨大掲示板管理人のインターネット裏入門/ひろゆき(西村博之).扶桑社新書014、2007.7』
という新書を日曜日に読んだ。とてもおもしろくてためになり、そして刺激を受けた。しかし余は文系女子大学のヘボ教授なので、この図書のそこかしこを引用し、評価し、感想をMuBlogに書くのを止めた。
ひろゆき君の破壊的言辞や、世間体とはちょっとずれた物言い、すべておもしろおかしくふんふんと頷いてよんでおったが、やはりこれは悪書なのだと思った次第。
どう悪書かは、それも言いたくない。言えば、ひろゆき君の信奉者が読んで喜ぶだけだから、けったくそわるい。もちろん、ひろゆき君は市井にうもれたblogなんか知るよしもないだろうから、書く必要もない。
余には世間体とか立場がある(と空耳、「Mu先生に、世間体なんてあったんですかぁ~」)、だからいかんものはいかん、こんな悪書に染まって、2ちゃんねるなんぞの悪所通いを省令じゃなかった、奨励するようなことは断じて、職業倫理としてできない。「できない」というのは、余はロボット人間だから、自動的に12Vのブレーカーが落ちるくらいにできないことなのだ。自動シャットダウンしてしまう。
悪書の所以は、「ちょっとだけ」言及するならば、いたずらにウィニーの良さと将来性をかたり、恣意的に悪所2チャンネルへ若者を誘い込み、意図的に著作権無視をあおり、ホリエモンを偶像視し、とどまることがない。その一々を引用して論破せんとしたが、この新書は1年前の作品、いわば業界では犬年令で7年前の古書故に、過去をあれこれ言うてもしかたないと思った。
一刀両断「悪書」と言えばすむ。
さて。
世の中にはいろいろな読者がおる。特に余が日頃接する年端もいかぬ学生達に、こういう悪所通いの図書を見せるのは、乳幼児に18禁映画を見せるような衝撃を与える。まあ、乳児なら何を見ても分からぬと思うなかれ。抱いて観ている母親を通して世間の悪に染まるものじゃ。
余は、教え子達には、2チャンネル通いや、ウィキペディア通いのコピペ課題提出を、口元ゆがめて否定し、そしてまた年に数回は、「お前達、ウィニーを自宅PCに入れていないじゃろうな。もし、あれば早速HDDごと破壊せよ」という回状をまわしておる。「YouTubeで、著作権違反の馬鹿なTV番組を観るひまあれば、勉強せー」と、吠えておる。それが、余の立場、余のロール、役割分担ちゅうもんや。
(余は、RPGの世界に住んでいるのか?)
余は思った。タイムマシンにのって学生時代に遡れば、インターネットも、ケータイもない、TVと新聞と図書と映画しかなかった、穏やかな時代だった。マスメディアは「公器」と呼ばれておったなぁ。
うるわしい時代であった。
公器であるかぎり、お上と同等、間違いは極めて少ないはずと、安心してTVや新聞をみておった。しかるにいまや、ケータイやメールには、馬鹿メルは入るし、せっかく検索してぴったりの情報を得たと思っても、まるっきり新聞や図書のデッドコピー(まあ、コピペじゃね)だったり、トンデモだったり、嘘が多い世界になってしもうた。
なにを信じればよいのか、分からない時代やのう。
やはり、ひろゆき君やホリエモンは、きっと~嘘世界に生きるひとやったんやな。
信じるに値するは、MuBlogと、そのリストに載ったサイトしかない!
追伸
「小飼弾xひろゆき」、末尾のこの対談は悪書の中の聖書であった。ここだけ80ページほどOCR入力・コピペして、MuBlogで宣伝しようと思ったが、それでは余も悪に染まったことになるので、やめた。
波及効果というか、余は大昔に書いた、Basic,C,Pascal,Modula-2,そしてDelphi 記述の図書やプログラム紙リストを引っ張り出して、ひととき眺めておった。
余にも、宇宙人じみた会話を交わしていた時代があったんだ。
記念に、新しくGoogle・Blogを作って、そこに全リストを掲載し、古い時代のLuna企画ゲームや、初期DBMSの「中枢アルゴリズム」を痕跡として残そうとおもったが、なにやら無駄無駄しく思えて、やめた。
つまり、プログラマー魂ちゅうか、生粋の技術者の面を二人は臨場感あふれる対話として残した。それが余を異様に刺激した。
その分は良書なのだ。
なれど、悪貨は良貨を駆逐する(笑)。やはり感想は書かないことにしよう。
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