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2008年9月 9日 (火)

小説木幡記:2008/09/09(火)乱流失速

夏期論文
 先週末に、夏期論文第三ステージが完了した。70%の出来具合なので、これは第四ステージに繰り越される。要するに、詰めのない部分が残った。
 来週から、当初予定の倍の二週間かけて第四ステージにはいろう。

七人の侍/黒澤明
 その土曜の夜は、「七人の侍/黒澤明」を3時間半ほど熱中した。島田勘兵衛役の俳優志村喬(しむらたかし)に大満足し、映画自体の丁寧さに感動した。20歳前後に見ているのだが、まるっきり感動の質が違った。若年時は感性が豊かな面もあるが、事の本質が分からない。
 若いことには、誇らしい面も多々あるが、総じて愚かしく馬鹿馬鹿しい時期だと痛感した。

 しかし、幾つか気付いたことがある。
 種子島(鉄砲)の取り扱いへの不満はメモしておこう。当時の鉄砲は本体だけでは役に立たず、火薬、鉛玉、火縄、火打ち石、筒込め棒など付属品がいくつかないと、使えないはずだ。その描写が足りなかった。
 久蔵(宮口精二)が夜陰に紛れて野武士の鉄砲をぶんどってきたが、付属品は写っていなかった。
 菊千代(三船敏郎)が敵斥候・見張りの鉄砲を味方の振りして取り上げたが、火縄を描写するに終わった。敵の腰には確かに付属品の一部がぶら下がっていたが、それをむしり取る場面がなかった。

 若い勝四郎(木村功)と志乃(津島恵子)の関係描写は美しかったが、無駄に思えた。おそらく時代がロマンを求めたのだろう。
 水車小屋が炎上する中で、菊千代が孤児になった赤ん坊を抱いてへたり込んだ描写<俺がこの赤ん坊だったんだ!>は、世界的に誉める人が多いようだが、余は描写がクドイとおもった。「悲嘆は後にして、早く逃げろ」と、思った。これもおそらく戦後間もないころの世相が求めた演出なのだろう。

 以上の不満をメモした上で、この映画が世界的に超一級あつかいされているのが、全身でわかった。多くの映画関係者が強い影響をうけたという事実も、実感できた。

 好きな場面は、勘兵衛が村に着いて、まず見回るところ、絵地図をもとに作戦をねる場面。
 野武士の砦にとらわれた、百姓利吉(土屋嘉男)の女房(島崎雪子)が、物音に気がついて起き上がった前後と、火に気がついた時の表情。
 水車小屋のジサマ、儀作(高堂国典)。余の父が大正時代に上京せず、そのまま山奥にいたなら、こんな風になっていただろうと、想像した。

乱流失速
 日曜はこともなく、はればれしい気分で読書していた。読書メガネを葛野忘れたのが辛かったが。軽い老眼鏡と虫眼鏡で読んだ。
 ところが昨日月曜の朝から、不調を感じ始め、午後遅くには起き上がれないくらいの失調に襲われた。
 今週は重い責務が待っている。
 土曜の夏期論文・緊張解除、明日からの別の緊張。
 月曜日はその狭間の乱流失速だったのだろう。
 今朝は脱水症状の中で、緩解を味わっている。
 要するに、緊張緩和が失速をもたらし、次の緊張がバランスを戻す。
 余の心身は、なにか、扱いにくいところがある。それでもまだ生きておる。

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コメント

篤姫を欠かさず見ています。皆さんの演技力に激しいショックを受けるくらい見入っております。若いあおいさんはどのようにあの演技力をつけられたのでしょうかと。羨ましい限りです。Mu様の鑑賞分を読んでは、言葉に表す術を知らない私には、益々篤姫を楽しく感じさせてもらってます。

投稿: てるみ | 2008年9月11日 (木) 20時07分

こんばんわ、はじめまして、てるみさん
 そのお名前の卒業生がおります。
 (同名って、沢山おりますなぁ)

さて、Muの文筆が、うまれてはじめて「役だった」ということで、とても喜んでいます。

だいたい、長いとか、漢字が難しくてよめないとか、前振りが多いとか、……。
まるっきし、評価をいただけませんでした。

稀に、激しいことを書いても、blogが叩かれたり、炎上しないのは、「長すぎて、最後までよむと、息切れするから、叩く気力がなくなる」と、知人達も申しております。

いやはや。その気になって、乗せられて、ますますNHK篤姫、精進してまいります(笑)。

で、やっと本論。
宮崎あおいさんですね。
初期、週刊誌では叩かれていましたが、私は最初から気に入っていました。
あんまりほめあげないのは、昨年の柴本由布姫しゃまが、もしMuBlogを読んでおられたら、二年連続で女優誉めをすると、「Muは二心ある、慮外者!」と、刃が飛んできそうなので、ひかえておるのです。

しかしそれぞれの佳さがありますね(爆)。

篤姫さんは、折々の心理をわかりやすく、きっちりと丁寧に表現するから、良いのだと思います。怒り、悲しみ、喜び~、ストレートに画面に炸裂させます。一種の爽快な、ソーダーを飲むような気持になります。

それと、薩摩での16歳頃の時かな、男のふりして「拙者は、~」といった時から、現在、老中なんかを「意気地無し」と、ののしるまでの変化が、ものすごおもしろいからです。

というわけで、今後ともよろしく。

投稿: Mu→てるみ | 2008年9月11日 (木) 22時05分

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