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2008年9月 1日 (月)

小説木幡記:2008/09/01(月)コピペの問題:複製と切り貼り細工

 夏期の間途絶えていたNHKクローズアップ現代を、今夜観ました。
 タイトルは「コピペ」問題でした。
 ゲストは茂木健一郎さんでした。

脳科学者:茂木さんの意見
 最初に、私は茂木さんの意見にほぼ同意していました。とりたてて反対意見はなかったので、それですませようとしたのですが、インターネットの記録情報については、私の仕事の一つですし、毎日MuBlogを書いている手前もあり、メモしておきます。

 さて番組の趣旨は、ちかごろ大学生~小学生までのレポート課題などで、インターネット上の他人の文章をそのままコピーして、自分のレポートにペースト(貼り付けて)、数日かかる課題も30分程度で済ませている若者が多く、小樽商科大学で調査したところ、7割程度の事例が、大学のあるクラスであったようです。
 あるいは官庁などでも、寄せられる意見書などにコピペの形跡甚だしいものがあって、憂慮しだしたようです。もちろん、おそらく官庁内部の公式文書も、コピペで出来上がるものが、多くなってきたのでしょう(笑)。

昔・大学教員にはハサミ糊論文という罵倒語があった
 そのうち、大学教員の論文もコピペだらけになって、オリジナル論文がなくなることの懸念もあります。ただし、それはインターネット以前から、学者が他学者の論文を批判するとき、ハサミと糊で造った論文! という貶しセリフが時々ありました。この場合は、一応引用の出処、典拠は明確にしているので、盗作、剽窃とまではののしられないのですが(明確にしていない場合は、制裁を受けます)、引用だらけでご自身の考えが展開されていなかったら、ハサミ糊論文と言われてもしかたないでしょうね。

 さて、対するに学生さんですが。
 いちいち腹を立ててもしかたないのですが、匿名学生が「コピペで済ませられる課題は、そうする」とか「忙しいから」というような意見をだしていました。以前、高校で日本史なんて勉強しても、東大受験にはそれほど関係ないと、豪語していた受験生がいました。腹が立ちました。

小学生の救世主:フリーの読書感想文
 番組では、カウンターというか対比的に、主に小学生のために、フリーの読書感想文をネット公開している方がいました。日に65万アクセス? ものすごい人気のようです。子供たちからは、「救世主です」とか、感謝のメルがどんどん送られてきているようです。
 その人の考えでは<感想文を書くのが苦手な子供たちの福音になれば~>とか<子ども達がもっと別の好きなことができるように、こういうサイトを立ち上げました>とかいう趣旨の発言でした。

 さて、この件について、以前から「感想文なんか、書かせるような愚かな国語授業はやめなさい」と、某有名作家が発言されています。その某作家は非常に頭脳が明晰で上等な文書を書かれる人なので、私もストレートには反論をしません。
 国語授業の問題を論じているからでもあります。

感想文が苦手な子どももいるでしょうが
 しかし、実際にネットで感想文をフリーで提供している方の場合は、若干しこりが残りました。つまり、子供たちの為になっているという、一種の正当化のようなものを感じたからです。理由無く、「私は感想文を書くのが上手だから、ネットに公開してみんなに読んでもらいましょう」とおっしゃれば、それで済んだのですが。
 子供たちの為にとなると、ずばり、為になりません。 
 子供たちの脳を軟弱なまま、若い時代を過ごさせることになります。
 生物は多くの場合、ストレス、ある程度の負荷、加重をかけないと、まともな成育は望めません。
 脳も同じです。
 その事情は茂木さんが丁寧に解説していました。つまり筋肉と同じで、脳は鍛錬しないと役に立たなくなるわけですね。

葉っぱを集めても木にはならないぞ
 私流に言いますと、ネット情報は断片的で、その粒度が細かい、つまり段落レベルなんです。これは大きな木から葉っぱを一枚とってくるような物です。断片情報としての葉っぱをそこら中の木からとってきて太い棒にぺたぺたはっても、新たな木も大木も生まれません。新たな木がうまれることが創造なのでしょう。創造という最も人間らしいことを脳にさせなくて、なんの意味があるのでしょう。
 コピペ自動化なんて、安いマシンですぐできますよ。君ら学生や児童生徒がする必要はありませんなぁ~。

(注:初等教育での国語科目で、作文指導がどうなのかは、別途考える必要がありますね)

~~

コピペレポート自動判別ソフトウェア
 金沢工業大学の先生が、コピペ・レポートを自動判別するソフトウェアを開発されているようです。
 私は、そういう細かなことは目が霞み、手が震えて出来ませんので、ときどき手技で判別することがあるので、それを紹介しておきます。

 以下の流れや、各ステージは、他と混ぜたり、前後を入れ替えたりするのですが、まず、一般的な手法です。

1.学生から出された課題・該当文章(笑)から、適切な用語をいくつか取り出します。
 たとえば、{天璋院陣営、和宮陣営、庭田嗣子の、西郷が久光と対面}
 主に、固有名詞の組み合わせや、「の」とか「~が~と~」のような助詞付き用例や、「お渡りの話」のような送りがなに特徴が現れます。

2.{天璋院陣営、和宮陣営、庭田嗣子の、西郷が久光と対面}をGoogleに入れます。

3.今日の日付時間(21:37)では、たった4つの用語列で、該当文章は一件しかなかったです。
 そのヒットした文章と、眼前の学生提出レポートとを比べて、ほとんど同じなら、提出レポートはコピペですよね(爆笑)

 ともあれ、こういうことを自動化するソフトが求められているのですから、コピペ問題は大きく人類の将来を左右するのかも知れませんchick。実は、大昔論じたのですが、マシンつまりコンピュータの現代の記憶様式では、複製(コピー)するのが常態なのです。移動させるのは複製してから元を削除するという二度手間なんです。
 そういえば、DNAも複製が骨子でしたね~。
 コピペ問題は、根がふかいですよぉ~。

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コメント

日本の国語教育の不思議

 今の学生さんはコピー・ペーパーだとよく聴きます。
山田塾でもよくその話が出ます。
今の若い人は自分の文章が書けないらしいですね。

 ところで僕たちは学校で文章の書き方習ったっけ?
という話になります。
漢字だとか文法だとか読解力だとかは教わります。
しかし、いい文章、分かり易い文章を書くにはどうすればよろしいか、なんてことは習った記憶がないよなあ。
日本人だから日本語の文章は書ける、と思っているのかなあ?
そういう話になって(書けないの、無理もないかもね)でいつも終わります。

 昔はワープロもインターネットも無かったから自分の手で書く、写すしかなかった。
だから嫌でもある程度の訓練にはなったのではないでしょうか。
Muさんも指摘されているように日本では文章の作成法は教育されていません。

 対して、英語の世界ですがアチラでは、
(The Elements of Style  William Strunk)
のような、文章の作法に関する名著(初版 1918年)もあって版を重ねています。
この本は同時通訳で有名な村松増美さんの本で知って、読んでみました。
別に面倒な話ではなくシンプルなことなんだ、と頭がスッキリするような本でした。
日本語に関するこういう本があればいいのですがねえ。

投稿: ふうてん | 2008年9月 2日 (火) 00時56分

ふうてんさん
 作文は人為人工のものですから、「思ったように書きなさい」では、無理ですね。

 文学・創作系の文章読本と、実務的な論文の書き方系と、二つあると思います。

 初等中等教育期間中に、なにをどこで習ったのか、習わなかったのかは記憶にないのですが、二つのツボをどこかで会得しました。

1.人の文章をそのまま書き写す練習。
 文章の息継ぎとか、構成を手で直接脳に入れるわけですね。私は文学創作が好きでしたから短文、短編小説、短編評論などで練習しました。20歳前後のころです。

2.起承転結(文章の四部構成)
 漢文を高校生の時にならったので、その影響と思います。大学生時代のレポートはこれで押し通しました。
 現代の学生にも、押しつけています。

 で、上記から類推すると、私は小中高の作文は苦手でした。思ったように書けとは、実に無責任な教育です(笑)。

 今は思ったように自由自在に文章が書けます。ただしその理由は、何か読んでも、なにか観ても、なにか考えても、私はその中で、気に入ったこと、印象に残ったことしか書かないからです。

 会議録を私がとったとしても、まとめられる内容は、全体の2割程度が突出し、それで終わりですね。他は記憶から消えています。

 私はだから、「棄てる」ことをどこかの段階で学んだことで、文章に対して気が楽になったと思います。

 で、論文指導はですね~。これが異様な体験でした。
 少なくとも二名の先生からは、徹底的に、えげつないほど、地獄に落とされるほど、全編書き直しを何度も要求されながら、添削朱を入れられました。
 異様に迫力のある指導が10年続きました。
 得難い経験でした。
 一人は亡くなり、一人はお元気です。

投稿: Mu→ふうてん | 2008年9月 2日 (火) 02時12分

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