昭和の鉄道模型をつくる(32)カワムラ理髪店
32:部品と工作(カワムラ理髪店)
正面写真を見ていると、ほんの少し床に隙間があります。鉄模の鉄人ですと、こういう隙間はなんとしてでも修復するわけですが、私はこれで満足しています。しかし、「隙間ができたなぁ」と、気付くほどには私もたった半年で、この世界に入り込んでいるようです。
別のジオラマで、図書館本館自体を、ずっと自作ないし改作したいと思っているのですが、今回も、ドアのガラスの文字とか、玄関前の理髪店回転燈(なんて言うのでしょうね)を見ていると、「自作も改作も無理だな」と、ため息をつきました。看板の「カワムラ」という文字でさえ、パソコンで作って貼り込むとか、イメージはわくのですが、いざ「◎△中央図書館」とか、やってみようと思った途端に、「無理だな」と、あきらめてしまいます。
しばらくは、本誌のストラクチャ(構造物)の仕上がりに感嘆しながら、進めていきます。
32:鉄道模型の達人/宮村昭男
写真には、多分HOゲージ(つまり1/80縮尺)でしょうか、蒸気機関車があります。手前に真鍮の列車躯体が横たわっているので、この蒸気機関車も金属モデルなのでしょう。なにかしら重量感が写真からうかがえます。
さて、宮村(48)さんは現役の鉄道員らしいです。そして、8畳間のコタツの上に工場一式があります。そこでヤスリをぎこぎこしこしこと掛けているのでしょう。
かといって、……。
雑誌の趣旨では模型造りというよりも、ウェザリング(古色、風化、汚れ)の名手として描写されています。宮村さんの手にかかると、新品の列車が「おもちゃ」にしか見えなくなります。ウェザリングを上手にすると、迫真の模型になるという実例です。
蒸気機関車の煤は炭素粉末を使い、錆や泥は茶色の塗料、そしてパステル(多分、粉にして振りかけるのでしょうね)を使います。汚れを演出するわけですね。同じ車体でも、機関区によっては、時代によっては、汚れの違いがあって、それを精密に再現すると、書いてありました。
たとえば、昭和40年代前半の小樽築港機関区のC62は、どのような汚れをしていたかぁ~。
なんだか、読んでいて、呆然としました。
☆
私の樽見鉄道のDE10(TOMIX製)は鮮やかな黄色だったのですが、下手なウェザリングをして、そしてグリースを沢山使いすぎて、それが手について、それが手垢として車体にこびりついて、埃がすりついて、今や見るも無惨な「手垢まみれのDE10」になってしまいました。汚れ役は難しいものですね。ちっとも本物らしくなくて、よだれまみれですりきれた、幼児の愛用ぬいぐるみ、みたいになりました(下手なたとえですね)。
32:ジオラマ/レイアウトの制作(20)路面軌道を作る 1
まだまだ、路面電車タイプ「鉄道図書館」を造る余裕はないのですが、この世界でも路面電車は独特の味わいがあるようです。
要点は、スチレンボードを二枚重ねして、上部にレールの幅の切り抜きをほどこし、レールを埋め込むわけです。そして、レールの間に石畳をはめ込むのがツボなんでしょう。写真では、レールの幅と、車輪が通る隙間を勘定して、約7ミリ幅のレンガパターン付きプラスティック板を正確に切り取ってはめ込むことで、それらしく仕上げています。
ため息をつきました。当面、路面タイプ図書館電車に乗る気力がうせました。ミリ単位の作業は、老眼や指先の震え(笑)で、本当に難しいものです。最近アクリル板の整形に、虫眼鏡と頭に付ける懐中電灯を買いました。手元を明るくしないと、ミリ単位作業が出来ないからです。ですが、やはり、無駄になりそうですなぁ()。
32:昭和の『鉄道模型』をつくる
巻頭記事に、「伊予鉄道」がありました。四国随一の都市・松山、と書いてあったので、「おお、畏友の某玉氏は、松山の高校で賛美歌を歌っておったのぉ」と、しばし目を閉じて想像していました。
☆
松山には圧倒されるくらいに路面電車があふれていたと、なんだか「本当?」と思うくらいに、浮世離れした冒頭文がありました。私は路面電車を、なにかしらねど「市電」と呼んでいます。つまり京都の市電が印象にのこっているわけです。その市電があふれんばかりに道をふさいでいたら、自動車は松山市内を走れなくなりますねぇ。京都はその問題があって、私が若い頃に全廃しました。私は、市電全廃に内心喜んだことを、今となっては悔やんでいます。だから、鉄道図書館に精根こめているのでしょう。
ところで、どうやって、松山市はあふれる市電をコントロールしているのでしょうか?
謎が深まりました。
さらに、坊ちゃん列車という、外面は蒸気機関車、内実はディーゼル機関車まで、走っているとのこと。
☆
つまり、松山市には、路面電車オタク、蒸気機関車オタクが市の交通局中枢部を占めていて、松山に自動車はいらぬ! と、旗指物をうちたてているのじゃなかろうかと、ふと想像しました。
32:未来の図書館、過去の図書館
紙の図書が中国で起こって2000年、西欧で普及しだして600年。それだけの長い年月、人々は眼鏡をかけて、指をうごかして、頭を使って、読書してきたのです。日本では明治時代以降に学校制度が整備されましたので、すでに百年以上、殆どの国民が紙の図書に触れてきたのです。現代も、年間8万点前後の図書雑誌が生まれています。各地に図書館があり、大型書店が国道沿いにも沢山あって、現代風古書店もあります。
インターネットが普及し、携帯PCと言えるiPhoneを多くの人が手にしても、原始的な紙の本は生まれ、読まれ、図書館に残されていきます。あるいは、特殊な研究者は、古紙に書いてある数百年前の風俗小説に血眼になっております(爆)。
人はこの2000年~600年の間に、実体のある紙の図書・原始状態に慣れてしまっているのです。手でページを繰り、どこまで読んだ、ここに付箋をはさもう、ここにマーカーで印をつけよう、じゃまくさいからページを折って明日にまた読もう~。iPhoneを操るような人から見ると実に原始的な営為です。そういう人の目からは、紙の図書を舐めるように読んでいる私など、猿に見えるのじゃないでしょうかぁ?
しかし。
人類は常に先祖返りしたがっている野蛮な、爬虫類の脳を同居させているのです。つまり、指が十本もあるのに、親指だけでこちょこちょキーを触ることや、インターネットやiPhoneなんて、クソ喰らえと思っている人も何割か生き残るでしょう。それが、人類なのです。きっと。
さて。
私は、どちらに肩入れしているのでしょうか。もちろん、「邪馬台国周遊図書館ジオラマ」を作っているのですから、言わなくても分かりますね。
と、ところが。
それを記録している、このMuBlogは一体、何なのでしょう。iPhoneでモバイル投稿しているのかも知れません(嘘)。紙の図書でないことは確実ですね(笑)。
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