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2008年8月 5日 (火)

小説木幡記:2008/08/05(火)夏の香り

夏が来れば思い出す
 四季折々を愛でているが、夏の佳さは「閑散」という言葉で表せる。高校生のころに夏山へ行って、同じ客車で失神者がでるほどの混雑を味わったが、そして「ぼく」は網棚に登って寝ていたが、それ以外には「混雑」の記憶はあまりない。帰郷というものが無かったからだとも思うが、単純に、出歩かないからだ。

 指折り数えても、いつも間違うが、葛野に来てから20年にだんだん近づいてきた。その間、夏の無人のキャンパス、無音の電話、誰もいない廊下や研究室、音のしない大学研究室を思い出す。もちろん、思い出しながら今夏も葛野夏に通い、また新しい、過去と同じ記憶を、溜め込んでいく。

 昼食や夕方に、気晴らしをかねて嵐山や嵯峨野まで行くことがある。と言っても片道15分ほどだが、大抵は空いている。嵐山や嵯峨野は夏と冬がよい。それも夕方が一番よい。閑散としているから。賑わいを好む人も沢山いるが、余はすべて、「閑散」をよしとしている。

 そう言えば、木幡を午前6時ころに出ると、京阪電車も阪急電車も無人に近い。RSに乗るときも、国道が空いている。沢山の人が活発に動き回り、働き、すし詰め電車に乗ることが繁栄を支えてきたが、喧噪と閑散との、どちらをとるか、と問われればあっけなく閑散をとる。もちろん喧噪給与100%で、閑散給与60%という、キツイ条件でも。

 賑わいを好む人がいる。
 余は閑散とした夏の葛野、大学キャンパスが好きだ。
 こればっかりは仕方ない。

夏の香り
 そうそう、夏の香りのことだ。
 汗の匂いだな。これがよい。近頃の人々は無色無臭透明感を好み、日になんどもシャワーを使う人がいると聞く。しかし生きているのだから、汗の匂いくらいはあってもよいだろう。潔癖すぎる人達をみていると、「生きているのかな?」と思うことがある。
 
 しかし亡きマタリン翁は、徹底的に匂いのしない「猫君」だったなぁ。もふもふとした長毛に何度も鼻を押しつけたが、匂わなかった。彼は不思議な猫君だった。

 そして。
 ムッとする夏草の匂い。多分、これが夏の香りの原風景なんだ。
 今年も夏をひっそりと楽しもう。閑散のなかで思考がスパークし、匂い立つ。

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コメント

田舎育ちの私にとっての夏の香は、朝採りの野菜の匂いでしょうか。子供の頃、ラジオ体操から帰って朝膳の卓に採れたてのトマト、きゅうり、なす、瓜が無造作に並べてあり「こんなにトマトばっかり食べてたら顔が赤ぉうなるわ」とぶつぶつ…。
父親について畑に行き、トマトの蔓に顔を突っ込み緑臭さに辟易。
秋に向けて、全身全霊で子孫を残そうとする植物の生命力の香でしょうか。安穏と夏を巡らせる私に対する圧倒的な香です。
夏休みで大いに時間を弄び、夕立ちの後の土の芳香に高くなる蛙の音、「終わりやな、夏」と子ども心にも巡る季節をいとおしく思っていたように感じます。


投稿: さわ | 2008年8月 6日 (水) 19時17分

こんにちは、さわさん
多分、はじめまして、Muです。

さて。
 行間からイメージがあふれ出てきました。
 田舎の夏って、緑の匂いで一杯なんですね。

 私は、嵯峨という半農観光地の端に住んでいました。祖母が畑を作っていて茄子、トマト、キュウリなんかは全部自家製でした。
 で、来る日も来る日も朝の味噌汁は茄子で、漬け物はキュウリ、おやつはトマト。トマトにウスターソースを付けて食べるなんて、いまから考えると笑える毎日でした。

 「夏の終わり」という感覚もよく分かります。昔は、盆を過ぎると「泳いでは駄目」と、嵐山や大堰川で遊泳禁止状態になりました。たしかに肌寒かったです。そして、京都独特の地蔵盆というのが過ぎると、今はもう秋、という風情でした。

 さて、私は今年も勤務地の葛野というところで、無人無音無声の宇宙空間みたいな部屋で、夏の一人行事を粛々と進めていきます。一人行事というのは、それはいろいろありまして、簡単には説明できません。また、機会があればぁ~。

投稿: Mu→さわ | 2008年8月 6日 (水) 21時06分

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