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2008年6月 3日 (火)

博物館・明治村研修旅行HMK(3)意義と目的

承前:博物館・明治村研修旅行HMK(2)歴史的な蒸気動車と京都市電
目次:博物館・明治村研修旅行HMK2008

0.はじめに
 さる2008年3月28日に行ったHMK:博物館明治村研修旅行・顛末記として、参加した葛野図書倶楽部2001隊員たちに事前に送付したメールを編集しまとめ、記録しました。

1.HMK:博物館明治村研修旅行の意義
 明治村に残された歴史的建造物や遺品を実見することで、司書・学芸員としての豊かな感性を育てる。
 「明治」という時代は、現代人にとって忘れることの出来ない大切な時代です。この時期があったことで、日本は世界的な規模の中で、近代国家として成長しました。この間の事情は、作家・司馬遼太郎が幕末から明治時代を描いた小説をいくつかお読み下さい。特に、数年後にNHKでTV化される「坂の上の雲」はよいです。

 司書・学芸員は知識経験や人当たりの良さなど、基本的な資格内容を問われますが、その前に優れた社会人として成熟するには、「過去」を知り味わうことが大切です。真の教養とはファッションのような知識でもないし、卒業証書や資格証書で保証される物ではありません。教科書や授業を詰め込んでも、無益と考えて良いでしょう。教養とはそこに、君自身が立って、自分の目で、世界を見、味わい尽くすことなくして、身につかないものです。そして、そうすることが君自身の歴史になるのです。

 人が人たる所以(ゆえん)は、過去と現在と未来を同時に見渡す能力を持つところにあります。過去に何があって、どう解決して、今にいたったか。今後どうすれば最適最良の道を選べるのか~。一人一人が歴史を見る目をやしなって、「人生」を確認してください。

2.HMK:博物館明治村研修旅行の目的
2.1 今後の科目受講や、助勤(授業支援学生)の場合
 倶楽部員は4年生になると、ほぼ全員助勤になって、下級生を指導します。このために、科目課題毎の最適なテーマや、その分析をできるだけ経験した方がよいです。HMKはその一つの最適モデルになります。

 建造物が68棟あり、所蔵物は厖大です。ホームページ(HP)には「明治村100選」という記事がありますが、対象のすごさが分かります。特にこの建造物数68が、「記録」として扱える「頃合い」のものです。

★情報図書館学
 受講生と、山村助勤(局長)・佐竹助勤(経理局長)に貴重な視点です。
 明治村は全体が博物館なのですが、これに図書館要素を加えると、鉄道、電車、村営バスも実走していることから、近未来の図書館が非常に作りやすいです。
 なお、近未来とは「現在」ではないという意味でレトロなものも含まれます。今にない、より良い図書館。過去の優れたものが、未来に生きるわけです。
 また、明治村図書館列車全景模型を作りたい人には、いろいろな援助を顧問が提供します。

★資料組織Ⅰ(分類)
 受講生と、近藤助勤(書記局長)・佐竹助勤(経理局長)に貴重な視点です。
 68棟の建物や明治村百選を、どのような対象に目を向け選び、どういう風に分類するのか。授業課題を分析するには、実見し、写真をとって整理することで、後期のテーマの半ばが達成されたことになります。建物群や明治村全体から分類の視点を見つけ出してください。

★資料組織Ⅱ(目録)
 受講生と、清水助勤(副長)・近藤助勤(書記局長)に貴重な視点です。
 建物に例を取るなら、歴史的建造物ですから、まずこの関係書目を集め目録にすることが最良でしょう。「帝国ホテル」だけでも、山のような資料があります。それに建物の要素を加えたなら、すばらしい目録となるでしょう。

★情報サービス
 受講生と、山村助勤(局長)・清水助勤(副長)に貴重な視点です。
 ともかく、見る建物、歴史、所蔵物、テーマパーク性、様々な情報が複雑に絡み合っています。どのように分析し、関係する情報を結合させるのか、目が回りそうな博物館です。難しそうですが、楽しいと思います。

☆メディア論
 明治村をメディアとしてとらえる。「明治」というものを表現した全景メディアとでも言えます。
☆生涯学習概論
 担当助勤は新・三年生で構成する予定です。
 明治村こそ、生涯学習館の要素をすべて持っています。実見し、確かめてください。

2.2 倶楽部存在意義の確立
 倶楽部初代の頃の計画では、東大阪市の「司馬遼太郎記念館」を見学し、知見を広め、授業に生かし、倶楽部の結束を願いました。しかし、諸事情で挫折しました。その代わりに、千人の来聴者を葛野に迎えて「森博嗣京都葛野2003」を開催しました。

 2006年の夏に、当時の局長・二番隊長・局長友人と、北九州市小倉「松本清張記念館」に行きました。参加者にとっては有意義だったのですが、葛野図書倶楽部2001全体の成果とはなりませんでした(笑)。
 その代わりに、倶楽部五周年記念講演会を行いました。今現在は唯一、山村局長2008だけが五周年記念に参加した生き証人となりました。

 君らの青春の断端、袖擦れ合うも多生の縁の中で、今回ほぼ8割の参加者とともに、終日、博物館明治村を体験することを、私は非常に喜ばしく思っています。かけがえのない君らの青春の中の葛野図書倶楽部2001、その2008年次の組織記憶になると思っています。

3.楽しみ・娯楽→α研修・記録
 時間と貴重な「お小遣い」を使って行くのですから、世事を忘れて子供のように汽車にのったり、すき焼きを食べる楽しみがあります。往き帰り、私も若い人の馬鹿話(笑)を片隅で聞いて笑ってみたいです。
 とはいうものの、楽しみが常に、知識情報・教養の血肉になるには、それなりの儀式、つまり仕掛け「システム」が大切です。
 このために、機関誌Truthの記事として、多くの観点から、この倶楽部公式研修旅行内容を記録したいと思います。
  清水編集長だけでなく、参加者が事前事後に作る旅行の栞、観察記、感想文、写真やビデオ、授業のテーマ把握、それらの総てが記事になると思います。

4.研修旅行の人員配置
 博物館明治村研修旅行(HMK)は、楽しみでもありますが、倶楽部公式行事であり、かつ司書科目履修・支援の有効な資源とすることに意義を持ちます。今回、私をいれて総勢8名の小団体旅行ですから、あらかじめ意見を取り入れ役割を決め、事前当日事後が円滑に進むように計りたいです。

(1)HMK総指揮→山村局長
  役割内容:指揮、ビデオ撮影
 ・HMK全体の動きを確認
 ・場合に応じて各担当、顧問に相談
 ・建造物などのビデオ撮影
 ・ビデオ編集、DVD化

(2)HMK事前旅行企画→小林一番隊長
  役割内容:旅行計画決定、栞作成
 ・意見を聞き、交通手段を決定する
 ・倶楽部員が楽しめ、且つ知見を広げ来年度の授業、または倶楽部内で参考になるような計画をねり、栞を作成する
 ・機関誌Truthに旅行栞を編集の上、掲載
  (準備協力:中村一番隊員)

(3)HMK写真記録→近藤書記局長
  役割内容:建造物などを写真撮影
  ・写真撮影
  ・写真整理
  ・「カメラ紀行:明治村」をTruthに執筆

(4)HMK経理事務・タイムキーパー→佐竹経理局長
  役割内容:往復先導、タイムキーパー、経理記録
 ・小林一番隊長と相談の上で、往復チケットを購入する
 ・当日のお金の出し入れは私(佐竹)だけが行う
   他の隊員がお金を出すことがないように計画し実行する
 ・全ての出納を記録し、旅行後に経理報告を作成
 ・栞を基に、決められた時間内にみんなが行動出来る様、行動する

(5)HMK紀行全体記事の予備編集→清水副長
  機関誌の夏号に向けて、事前にあらかじめ執筆者分担作成
  記事内容と執筆者について試案
  3月20日までにHMK編集会議で決定、7月号執筆依頼

5.まとめ
 以上の意義・目的は無事達成され、当日事故もなく予定通りにHMKは完了しました。詳細はすでに「博物館・明治村研修旅行HMK(1)歴史的建造物探訪」、同「(2)歴史的な蒸気動車と京都市電」の二つを掲載しました。

(2)歴史的な蒸気動車と京都市電←続く→目次:博物館・明治村研修旅行HMK2008

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