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2008年6月22日 (日)

NHK篤姫(25)愛憎とプライド

承前:NHK篤姫(24)篤姫の頓知

 今夜の篤姫は二つのプライドが描かれていました。
 久しぶりに、男社会を先にしるしてみます。

西郷どんと大久保正助どん
 何かのことで(覚えていない)、西郷ドンと大久保正助(明治の元勲・絶対権力者・大久保利通(としみち))は薩摩を出て肥後熊本に行き、西郷ドンはそこの御家老と面談する。大久保も同席し、江戸でハリスが将軍に会った話題が出る。しかし、話の途中で、家老は西郷ドンに目配せし、大久保の退席を求めた。「ここまで」と言った。
 つまり家老は西郷ドンだけにナイショ話を始めたのだろう。
 多分、斉彬の意向を肥後藩家老を通して、西郷の耳に入れたのだろう。

 大久保は、凄惨な顔つきで座敷を出た。翌朝、西郷ドンは江戸、自分は薩摩に帰る別れ際、大久保は笑顔を見せたが、自宅に帰って母親に言った言葉は、「鬼になる」だった。そして母(すぐに由布姫に見えてしまう)は言う、「それなら、わたしは鬼の母になる」と。

 大久保利通は、その後もずっと西郷ドンと行をともにするが、時々別の道を歩いている。……。それを記すゆとりもないが、大久保は近代明治国家で最初の、内務省を設立し、警察権と産業とを掌握し、政治史上でも指折りの切れ者、改革と穏やかな政治進展、しかし鉄の規律、絶対権力を持つに至る。
 西南の役(えき)では、西郷ドンが隠退した薩摩を鎮圧した。西郷ドンは自刃した。後日、大久保も暗殺される~。

 大久保正助どんが鬼になるとは、なんの事だったのだろう。盟友西郷よりもぐっと下役に見られた事への、男のプライドを傷つけた世間に対して、鬼になったのか。あるいは盟友西郷どんへの、底知れない鬼の感情だったのだろうか。まだわからない。しかし、後日明治の元勲として、最高権力者になる冷徹さへの伏線は、今夜張られた。

次に、大奥。おんな達の愛憎
 愛と憎しみは紙一重。表裏の関係。憎む内は愛もある。愛する内は憎しみもある。
 とかくこの世は難しい。
 篤姫が可憐だった。未だ肌も交えない家定を恋慕う乙女が描かれていた。これは不思議な情景でもあった。そういうものなんだろう、とも思った。
 しかしそれは要するに、家定が周りの思惑を払いのけて、突然篤姫の寝所に躍り込み、「そなたとは、気が合うな~」といった、それが真実なのでしょう。

 家定の母、本寿院はなにがなんでも一橋派の篤姫を、息子の将軍に合わせたくなかった。本寿院は、一橋慶喜が次期将軍になれば、大奥は解体し、自分も部下達も路頭に迷うと本気で心配し、かつ、その心配をよそに家定が篤姫を求めるのを、そして自分の前で頭を垂れる篤姫を、愛憎一つになって責めたてた。家定は、そういう母にかしこまって、「これまで母上の庇護で私は将軍になった。~しかし、私はもう大人なのです」と、言い切った。

 さて、問題は篤姫の身代わり同然にされた「志賀」の気持だった。本寿院は滝山を通して、家定に毎夜志賀を差し向けた。家定はだんだん不満たらたらの表情を見せ始めた。
 それを見る志賀の心、あはれ!

今夜のまとめ
 というわけで、すべてがハッピーではなかったのですね。大久保さんは、プライドが傷つき、篤姫は長期間、義母から家定に逢うことを禁じられました。そして側室志賀は、本当は、プライドが傷つくくらいではなかったはずです。悲しみと、なにかへの憎しみも生まれてきそうです。
 人と人との交わりは、そして男女の交わりは、どこにいても、いつの時代にも、難しいことが多いのですねぇ。
 で、「篤姫」。
 政治と愛情と、この二つをどのように描いていくのでしょう。楽しみです。

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