小説木幡記:2008/06/17(火)今朝の感動・森KY話
KYと折り合い
時々作家森博嗣博士の記事に感動する。いつも感動するほどウブではないが(笑)、今朝は「なるほど」と手を打った。(2008年06月13日(金曜日)HR)
つまり、KY(空気よめない→空気よまない)ことを否定的にとらえることが、各人(特に少年少女)を苦しめているということだろうか。むしろ森氏は周りの空気を読むことしか、しない出来ない、空虚な生き方を戒めている、と味わった。
一番気に入った箇所を引用する。
基本的なことで一つだけ言いたいのは、他人をそんなに気にするな、ということだ。空気なんか読めなくても良い。自分の好きなことをすれば良い。ただ、自分の好きなことをするためには、少々周囲と折り合いをつけなければならない。自分のためだと思って、それくらいは我慢しよう。そう、すべては自分を生かすためだ。そう考えるのが一番納得ができるのではないか。あまりにも、「人の気持ちを考えろ」みたいな綺麗な言葉で、子供たちを脅かしすぎていないだろうか。
なにが気に入ったかというと、「自分の好きなことをするためには、少々周囲と折り合いをつけなければならない。」というとても現実的な対処方を併記しているところだ。この、小さく強力な枠がないと、失敗し崩壊する。理由は単純で、100人おれば100人の自由奔放思考、極端にいうなら勝手気ままがあるのだから、うまく行くわけがない。しかし周りの思惑、空気ばかり読んでいたら、何もできない。常に相反する「気持」が渦巻いているのだから。
その折り合いを付けながら好き勝手に生きるのが、一番幸せなんだろう。
その為には、工夫や洞察や、振り返りが必要となる。
そういう非常に高度な知的感性的生き方は、残念ながら教科書がない。変なビジネス対処教科書を読むと、死ぬほど沢山の常識や業界常識や機嫌取り工夫に絡みとられて、身動きできなくなる。
もちろん森氏は「人生読本」を書いているのじゃなくて、きっと、好き勝手に生きた軌跡を時々メモっておられるのだろう。そう、おもっておこう。(思うのは余の勝手じゃわい!)
追伸
引用記事の内、山積みのマイナス要因で自殺しそうな人でも、無関係なプラス要因を一つでも見付ければ、生きやすくなるという趣旨があった。これも感動した。私事ながら(笑:blogは私事なんだよ)、余もマイナスのプールに浸かった人生じゃが、好きな「犀川萌絵ミステリィ」を読み返すと、暗黒世界が反転し、人生明るくなるのう。
MLA(森博嗣blog)を読む人に、NHK大河ドラマを観る人は絶無だろうが、数回前に、幕末の老中筆頭阿部正弘がヒロインの篤姫に、初めて心の底を漏らした。「長い人生。人の話ばかりうなずいて聞いてきた。自分の思いを一度も見せず、行動もしなかった」と。「みんな勝手すぎる!」と、死期のせまった阿部老中(草刈正雄)は吐き捨てる。そして、死の直前、水戸斉昭に初めて反抗する。「今、異国と戦っても日本は、勝てません!」と。さすがに御三家のガンコ爺さん斉昭(なりあき)も、その迫力に負けた。「阿部殿がそう申されるなら、確かなこと」と、納得した。人生、空気を読みすぎた聡明な阿部老中は、最後に意見を押し通した。なにかしら、余は感動した。
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