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2008年5月18日 (日)

二階建て図書館列車考(5-2)乗車篇:嵯峨野トロッコ列車

承前:二階建て図書館列車考(5-1)列車篇:嵯峨野トロッコ列車
目次::嵯峨野鉄道図書館ジオラマ
参考::京都市観光嵐山・嵯峨野トロッコ列車ホームページ

5号車 ザ・リッチ号
Mumumuimg_3995
(嵯峨野トロッコ列車)

動画→保津峡を走る嵯峨野トロッコ列車 (mpeg4:34MB)
動画→トロッコ列車の各駅 (mpeg4:27MB)

0.はじめに
 先回の(5-1)列車篇では、現実の「嵯峨野トロッコ列車」をモデルにして、私が考えている「嵯峨野鉄道図書館ジオラマ」での「二階建てトロッコ図書館列車」がどのような問題を含んでいるのか、予備調査をしました。そのまとめでは、次のような短所と長所とが明らかになりました。

 図書館列車としての長所
   解(開)放感、自由感、展望感、読書空間の拡大
 図書館列車としての短所
   全天候型ではない、運行時の騒音、運行時の若年者安全対策

図書館列車として見た場合の長所
 今回は(5-2)乗車篇、として現実の「嵯峨野トロッコ列車」を隅々まで味わい、上記問題の解を得るための記事になります。
 そこで長所としての「解(開)放感、自由感、展望感、読書空間の拡大」については、現実が仮想を凌駕しているとの感にうたれました。特に往路に乗車した「ザ・リッチ号」の解放感はワイルドと言えるほどの味わいがありました。最後の「読書空間の拡大」については、なお保津峡駅付近に支線を設営し、しばし停車して静止図書館列車にすることや、列車編成を増やし、数カ所の支線で静止することを可能にすれば、さらに機能が高まると思いました。

図書館列車として見た場合の短所
 短所としての「全天候型ではない、運行時の騒音、運行時の若年者安全対策」についてですが、「全天候型」ではない問題は、最高の開放列車である5号車のザ・リッチ号だけが当てはまります。
 これは他の車両、たとえば帰路の3号車などは窓ガラスもあり問題は無かったです。
 ここで5号車に窓ガラスを、と思うよりもスポーツカーにおけるオープン車を考えるなら、窓ガラスを下から上げるなどの工夫もあるし、もっと単純に静止地点でパラソルを開けて雨読するのも一興と結論をだしました。つまり、自然と一体化するところにメリットがあるのですから、「窓ガラス」は不要とし、他の工夫(パラソル、ひさし長くするなど)がよいでしょう。

 「運行時の騒音」については、観光とするなら適度な振動や騒音で、「トロッコに乗っている」という楽しさが一杯でしたが、「図書館列車・読書」という点からすると、少なくとも移動中、特にトンネル内での読書は不可能に近いと思いました。この問題は開放タイプのザ・リッチ号だけでなく、全車両が貨物の無蓋車を改良したものですから、車輪からの振動や音を含めて、窓があっても一般の現代客車とは比較できないわけです。だから「トロッコ」でもあるわけです。
 そこで私は、早々と結論を出し、「小説木幡記:2008/05/15(木)工夫と決断」にまとめておきました。

 その要点は、無蓋車を改良して二階建てトロッコ図書館列車を構想する余地は充分に残した上で、なお、現行の先端的ダブルデッカー車などを元に、二階部分にザ・リッチ号的手法を取り入れるということです。この方法で、少なくとも一階部分の書庫に付随した重読書用空間の静粛性は充分に保てると考えたのです。
 これは、現在JR特急「サロ124・ダブルデッカー車」やJR寝台特急「カシオペア号・先頭車」のNゲージモデルを改良し制作していますので、近いうちに公開できます。

 「運行時の若年者安全対策」については、現実の嵯峨野トロッコ列車に危険性は無いと言えるでしょう。ただし、窓ガラスのないザ・リッチ号の場合、約1mの高さの手すりがあって、これを幼児や児童がよじ登って墜落する可能性はありますが、それは少し問題が別だと思います。そういうことはマンションのベランダでも、どこでも発生する事故ですから、大人が介添えするしかないでしょう。
 現実の嵯峨野トロッコ列車は、時速25kmというゆったりした速度で運行していますので、振り落とされる危険性は少ないでしょうね。

 問題は、わが「嵯峨野鉄道図書館ジオラマ」が「二階建て」という点にあります。車高は4mを超えるわけですが、天井のない車両の場合、機関車はディーゼル車なので架線は不要としても、トンネル内などで長身の人が立ち上がったとき、どうなるのかという心配が残ります。トンネル内での地上高を調査して、天井のない二階部分で大人が背伸びした時などの危険性を考えておく必要があります。

 以上の諸問題を考えながら、嵯峨野トロッコ列車・乗車の記録を次にまとめておきました。

1.トロッコ嵯峨駅の情景

1・切符(往路)
1・ホーム(これはJR山陰線)
1・実車:機関車(DE10)正面

 予約乗車券は、同行した一人が京都駅で三月上旬に買いに行ったのですが、当初予定の四月6(日曜)分は即日完売だったようです。この日参加した人は全員社会人なので休日以外は無理だったので、急遽3月末に変更しました。桜と紅葉の季節の日曜祝日は相当に競争が激しいようですね(笑)。

 わが「嵯峨野鉄道図書館列車」なら、どうするか考え込むところです。二階建てトロッコ図書館列車なので、乗車賃は低くして、しかも予約はできるだけ避けたいのですが、ある程度の利用が見込めないと通常図書館運用以上に経費がかかる面もあって、本当に難しいところです。

 一編成につき、運転手、車掌各一名。カフェテラス要員合計3名、司書3名、総勢8人程度は必要ですし、ディーゼル機関車の重油代、そして日常点検保守要員と合わせると、資料費抜きの運用経費だけでも大規模図書館並の資金が必要となります。

 しかしながら、資金投入というのは、時代によっては贅沢に見えても、その時々「優先順位」がどうなのかによって変化します。~、これ以上は問題が拡散しますので、止めておきます。解は必ずあるのです。

2.機関車DE10とトロッコ5号車「ザ・リッチ号」

2・実車:機関車(DE10)斜め側面
2・実車:1号車(ネイチャー・サルーン号)

2・実車:5号車(ザ・リッチ号)
2・透明な屋根

 この機関車DE10-1104の嵯峨野号は、とても気に入りました。ディーゼル機関車というと油まみれの汚いイメージだったのですが、現実には、美しく塗装されて、ライトもキセノンかハロゲン・ランプのような白色光で、しみ一つ無い美しさでした。もともとはローカル線で小回りのきく機関車として重宝されていたもので、威圧感のない大きさも含めて、最適車と思いました。1200馬力で、客車5台を引っ張るのですから、力もありますねね。さらに、嵯峨野トロッコ列車では、この一編成車両だけで運行しているのですから、故障も少ないのだろうと想像しました。

 それまで迷っていた「嵯峨野鉄道図書館ジオラマ」の主力機関車を、このDE10タイプにすることにしました。詳細は別途記事に載せますが、結果としてTOMIXのNゲージ「樽見鉄道 TDE10形ディーゼル機関車」を選びました。DE10とTDE10では違うとマニアの方なら顔をしかめるところですが、基本タイプは同じなので、教材コンセプトとしてはそれで良しとしました。
 
 さて、肝心の客車ですが、右の写真2枚を御覧下さい。私達が往路に乗車したザ・リッチ号の内装と天井です。野趣あふれる、どきどきするような客車でした。また、左から二枚目の亀岡方向先頭車両は、1号車(ネイチャー・サルーン号)で、運転台から後部のDE10機関車を制御しています。

3.五号車の床(すのこ)

3・トロッコ・すのこの下はレール0
3・トロッコ・すのこの下はレール1
3・トロッコ・すのこの下はレール2

 5号車(ザ・リッチ号)の客席足元は簀の子になっていて、レール・線路のバラストが見えます。こういう工夫はいやが上にもトロッコ列車の魅力を増していますね。窓枠の手すりの下も板ではなくて、吹き抜けになっていて、なんとなくこの列車は夏向けと思いました。いや、春とか秋に最適なんでしょう。

4.トンネルと保津峡の情景

4・最初のトンネル

4・保津川下り
4・桜はまだかいな
4・落合の鉄橋から

 保津峡の情景は各写真に少しずつコメントを入れておきました。
 それよりもトンネル通過時のことをぜひ書いておきたかったのです。漁船にあるような裸電球が、なんとも言えない雰囲気をかもし出していました。もちろん、外との明暗差が激しいので、この光量では読書はおろか、顔も見えません(笑)。図書館列車としての考えを外すなら、こういうトロッコ列車の作りはとても魅力があります。

 しかし。騒音については、仕方ないのですが、時速25Kmの速度でも相当に激しいものでした。会話もできない状態ですね。たとえば、名神高速道路で、窓を全開にして走ったと、想像してください。それと同じ程度でした。もちろん、短いトンネルですからせいぜい数分の辛抱でしたが。
 というよりも、別の観点からはその数分間が、常とは異なる世界なので楽しくもあったと、書き添えておきます。

5.トロッコ保津峡駅の情景

5・トロッコ保津峡駅
5・車窓からの嵯峨野トロッコ列車

5・JR山陰線の鉄橋
5・保津川の大石
5・保津川下りのカヤック


(京都府京都市西京区嵐山北松尾山)
 
 トロッコ保津峡駅について考えをまとめます。他の近辺情景は写真をクリックして御覧下さい。
 近所のJR山陰本線保津峡駅は鉄橋上に施設された不思議な駅ですが、トロッコ駅の方は橋が対岸に渡された渓谷の駅です(これも普通じゃ無いですね(笑))。

 私はそこで思いました。わが「嵯峨野鉄道図書館ジオラマ」の運行方針は、移動型であり同時に静止型図書館列車であるという基本的なコンセプトを持っていることです。ですから、このような風光明媚、渓谷美に包まれた駅ですと、当然引き込み退避線を保津川に出して、列車はしばしそこで休憩しても良いわけです。

 たとえば、「二階建てトロッコ図書館列車」二階のオープン・カフェではこの時間に限ってランチを出しても良いでしょう。おおよそ90分程度停車することを想定していますので、付近を散歩する人がいても好いわけです。読書と思索を兼ねた新たな空間を将来提供出来る企画として、私はこの案に拘っています。

 関東は国立(くにたち)の畏友のイメージでは、せせらぎの音を聞きながら、日だまりの中で、漱石のページを繰っていく。その友人は団塊世代の人なのですが、この豊かな日本だからこそ、老いた戦士が、余生にそれくらいの贅沢をしても、だれからも後ろ指をさされないのではないでしょうか。

 当然ですが、そこでは「飲食厳禁」などという野暮なルールは御座いません。ヱビスビールもキリマンジャロ珈琲も喫煙コーナーもプレーンオムレツも、居眠りも自由なのです。まるで自宅の書斎のように自由に利用できる「公共移動静止型図書館列車」は、これまでとは別の考えで設立されるものなのです。
 そこは、知遊あわさった新世界読書空間なのです。

 そうそう。列車の運行形態は、待機線で待つ列車、素通りする列車と自由度を高めるためにも、複数編成が必要になります。この計画は、今夏開発に入る「邪馬台国周遊図書館ジオラマ」で明確にしたいと考えています。
 さらに、たとえ最高速度30Kmにしても、事故は厳禁ですから厳密なATS:列車自動制御システムを設ける必要があります。

6.トロッコ亀岡駅の情景

6・トロッコ亀岡駅
6・トロッコ亀岡駅で記念写真
6・トロッコ亀岡駅のザ・リッチ号

 トロッコ亀岡駅のあるところは、亀岡盆地になります。保津川が流れているせいか、霧の深い町と聞きました。しかし保津峡から出た途端に一挙に視界が開けました。トロッコ駅は盆地に入ってすぐの間近さでした。
 亀岡は保津川下りの起点です。近くに「湯の花温泉」もあって興趣が深いです。カナーン(華南)96という研究会のメンバーも二人この地・亀岡からでております。

7.帰路は全天候型列車:3号車

7・三号車の天井
7・三号車の床
7・切符(帰路)

 片道30分弱で、帰路はそのままの列車にのりました。ただし席は別の3号車でした。これは全天候型の普通タイプですが、床が木ですし、造りはザ・リッチ号と同じ設計思想なのでしょうか、似ております。
 帰りは見過ごしたところを時々眺めていましたが、ひたすら列車のガッタンゴットンする独特のリズムを味わっていました。

まとめ
 嵯峨野トロッコ列車は観光列車として大成功している路線と聞きました。乗っていてそう思いました。往復で1時間、1200円、風光明媚、のんびり~。いわゆる「心を癒やす」要素が一杯でした。帰路はトロッコ嵐山で多くの人が下車しましたから、それから嵯峨野観光、嵐山観光に回るのだと思いました。もちろん、亀岡から舟で下った人も居たことでしょう。恵まれた景勝地での、優れた企画列車だと思いました。

 さて、わが「嵯峨野鉄道図書館ジオラマ」における「二階建てトロッコ図書館列車」の原型イメージとしてはどうだったでしょう。文中にいろいろ書き尽くした思いがするのですが、現地で実際にトロッコ列車に乗ることで、これまでより一層考えの基礎が固まったと思っています。

 そのまとめとして、一つは「二階建てトロッコ図書館列車」として、静粛性に焦点を合わせるなら、無蓋車改良の形態では騒音対策が難しいということでした。よって、別途現代のダブルダッカー客車を改良する方向を取ることにしました。これは後日、このシリーズで模型を公開します。

 もう一つは、トロッコ保津峡駅で強い印象を受けたのですが、引き込み線による待機列車があれば図書館列車として高い機能を出せるという予測でした。これは別途「邪馬台国周遊図書館ジオラマ」で明確に打ち出す予定です。

 ワイルドなトロッコ列車紀行に堪能すると同時に、同行者ともども未来の「二階建てトロッコ図書館列車」の実現に向けて、より強固な確信を得た、意義深い実地調査でした。

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