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2008年5月25日 (日)

NHK篤姫(21)愛の理屈--側室お志賀の心

承前:NHK篤姫(20)徳川十三代将軍家定との婚礼

 将軍家定は真性うつけか、ハムレットなのか、今夜も篤姫と一緒になって悩みました。そんなことを気にしないのはお志賀さん一人。そこで、男女の愛の理屈をぼんやり考えました、とさ。

 いや、堺雅人ほどの男ならうつけでもハムレットでも、どっちでもよろし、というのが大多数の女性感情だろうと、思いはするが、多少の理屈は必要でしょう。

 うつけかどうかよりも、最後に篤姫が家定にむかって、「お志賀は物いわぬから、おそばにおくのですか!」と難じ、涙を流す場面がありました。そこでナレーションが入り、<愛情と嫉妬が芽生えたことに、まだ気付かなかった>と解説がありました。

 「愛」の局面からみると篤姫は分が悪いですね。
 お志賀は将軍を利用する気持がないと言いました。
 他方、篤姫は当然正室ですから子を造りたい。これは普通の夫婦の間なら自然なことですが、亭主が将軍ともなると、女性は出身母体の命運をかけて子作りするのですから、なんというか、功利的ですね。まして、島津斉彬からは、次期将軍として一橋の慶喜を持ち上げるように、家定に伝える密命をおびているわけですから。相当なミッションを持って、大奥に来たのが篤姫さまです。愛とかなんとかよりも、特命第一。

 お志賀は、てぶらで、家定のそばにいれば楽しいうれしい、好きなのです。
 もちろん家定の母上は、そういうお志賀の腹の中が読めないと、嫌っているようです。

 さてここで、篤姫はヒロインです。ヒロインが愛を持たず、功利にはしるのは、現代ドラマとして特殊なものでないとあり得ません。だから、篤姫はやがて家定さんを好きになるのがお約束なのでしょう。

 愛に理屈はあるのでしょうか。
 愛に功利はあるのでしょうか。
 あると思います。
 社会的に認められた「結婚」ってのは経済原則で、実利的に動くことは、ほとんどの若い女性も知っているはずですよね。お互いに値踏みしていると、書いてしまえば身も蓋もない。
 おお、
 誠の愛はあるのでしょうかぁ~?
 あるのですが、それはつまり、突き詰めていくと理屈も利益もふっとぶのが誠の愛なのでしょう。

 我が身よりも相手が大切と熟成した思いがわいてくると、それが愛。
 自分が可愛いと後生大事に自分を大切にしているうちは、愛を知らない。
 愛にも年季が必要なんでしょう。
 ただし、大切さを表すのにどんな方法があるかは人によって違いが出ることでしょう。
 お志賀さんは、笑顔で家定のそばに楽しくいる。それが愛。
 多分篤姫さんは、はげしく論争して家定の生き方を論評するところに愛がある。
 篤姫の理屈っぽさは今後、愛そのものの理屈じゃなくて、大切さを表す方法の「理屈」なんでしょうね。

 次回は、どんな愛が展開されていくのでしょうか。

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