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2008年5月11日 (日)

NHK篤姫(19)大奥の習わしもどこ吹く風

承前:NHK篤姫(18)斉彬の篤姫密命よりも尚五郎の決心

 大奥とは不思議な組織だったようです。このことはしかし以前「大奥」という映画やTVシリーズが世評を賑わしたので、それを見ていない私なんかまるっきりの素人と思っています。ただ、まったく別の、漫画の「大奥」というのは3冊程度読みましたが、そこでは男女が入れ替わったり、将軍の最初の思い人は死ななければならないとか、随分変わった風習に思えました()。

大奥のしきたり
 今夜の大奥は徳川将軍家・正統派大奥のようで、篤姫は朝おきても、お付きの老女が声をかけるまでは寝たふりをしているとか、起こされても半身を起こさずに、右に左に横臥したまま髪をといてもらうとか、それも左右別々に分けて。
 食事しながら髪結いをしてもらうとか、あるいは一日に五回も着替えるとか、……。そして不思議だったのは、将軍の実母に対しても上座から挨拶をうけるとか。これは以前のチャングムでは、王様の実母は皇太后として絶大な権力をもっていましたから、不思議でした。

 篤姫が魚に一箸つけただけで、代わりのまっさらの魚をだすとか。
 発狂しそうなことを大まじめでなさっていたのでしょうか。大奥千人というのは、そういう人手を雇いあげる一種の公共事業だったのかもしれないな。今とちがって女性の社会進出は限られていたから、女性を千人も雇いあげるのは社会還元だったのかしら、とふと倒錯した思いにおそわれました。

 当時の朝廷からはそんな話を漏れ聞きません。せいぜい言葉つかいが独特だったことくらいでしょうか。一方、徳川宗家としては、格式を保つためにも莫大な財政負担に耐えながら大奥を維持したのだろう。と、これが後の井伊大老に結びつくのですから、「NHK篤姫」箸の上げ下ろしにも目を離せません。

 しかし。大奥の実力者滝山から、着物の袖に当て布をつけてはいかがかと、言われた幾島は吠え立てる(笑)。いやしくも、右大臣近衛卿の姫君、将軍家御台所の篤姫さま面前で、当て布付きの打ち掛けでは面目が立たない、と! 
 「それもこれも、大奥の緊縮財政ゆえに」と、滝山。
 「今後、姫様のことは、薩摩からの月々のお化粧料で総てまかなうから、一切口をはさむな」と、幾島は大奥総代滝山に啖呵を切りました。

 一理ある幾島ですね。
 それに、当て布付けるのと、日に五回お色直しするのとでは、後者の方がよほど贅沢でしょう。いや、姫御一人が何度も着替えする贅沢だから、下々の者は当て布するという大奥・滝山の論法だったのかな。わかりにくい世界ですね。
 とはいうものの、後日江戸城開城にあたり、篤姫がどれだけ、これら大奥の女性の行く末を案じ、身銭切って手当てしたかという話と、今夜の話は、実に微妙な伏線を作り出します。

追伸
 家定(堺雅人)に側室がいたと、今夜の小さな見せ場がありました。志賀という女性らしいです。篤姫さんも苦労なすったと、思いますよ。ところで、ドラマを観る限り、大奥情報は表にはなかなか現れないようですね。幾島も初めて耳にしたような様子でした。

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物語の舞台がいよいよ江戸城・大奥に移るということで、今回からは第三部に突入。少しは作風が変わるかと思ったが、やっぱり変わらないですね。相変わらず篤姫の青春グラフィティといった感じでした。そして、幾島が存在感のある所を見せていたということで、このコンビの日..... [続きを読む]

受信: 2008年5月11日 (日) 23時32分

» 貿易商ハリス!! [函館 Glass Life]
大奥に入っても篤姫は篤姫ですね。 郷に入っても郷には従わないのです{/face_fight/} 古い慣習に雁字搦めの大奥の中にあって異色の存在なので しょうね{/kuri_1/} 夫の家定には中々会う事が出来ません{/kaeru_alone/} 側室の存在も幾島ですら知らなかったのです。 流石の幾島も篤姫に伝える事が出来ません{/hiyo_oro/} 背水の陣敷いた篤姫、現実を知ったとしてもうろたえる事 はおそらくないと思うのです。 篤姫にとって帰る場所は何処にもないのですから… 一方幕府では、家... [続きを読む]

受信: 2008年5月12日 (月) 10時12分

» 篤姫 2008/05/11 第19回「大奥入城」 [piyomarimoのよろよろ日乗]
今回はなんと、途中から見るというていたらく。でもまあ、楽しめましたよ。だって、たぶん今回の肝は「後半」なので。・本寿院にちょっと気に入られる篤姫・幾島VS滝山・大奥のしきたりを変えていく篤姫(振り回される初瀬)・庭を散歩する篤姫・かくれんぼ中の家定と対面す...... [続きを読む]

受信: 2008年5月12日 (月) 18時50分

» NHK篤姫(20)徳川十三代将軍家定との婚礼 [MuBlog]
承前:NHK篤姫(19)大奥の習わしもどこ吹く風 みどころ  鴨を追いかけて来た家定に、篤姫は意を決して自分からもそれに加わります。  もともとおてんばの篤姫はあやうく池にはまりかけます。それを鋭く察知した家定は、さっと篤姫をだきかかえ、鋭い目を姫に向けます。  このことで、家定のハムレット的苦悩が表現されるわけですが、わかりやすいし、堺雅人の暗愚顔と男前顔のコントラストがよく効いていましたね。 ... [続きを読む]

受信: 2008年5月18日 (日) 21時50分

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