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2008年5月13日 (火)

小説木幡記:2008/05/13(火)黄金色の三角縁神獣鏡

 昨夜眠る前にNHKの「ニュースウオッチ9」という番組を覗いてみた。TV欄で「三角縁神獣鏡」と出ていたからだ。
 この番組を過去見た覚えがない。日々のニュース解説のようだが、たっぷり1時間とってあった。最初は中国の大地震の映像解説だった。他にも一杯あったが、頭には入らなかった。
 漸く9時40分ころから、目当ての話題になった。

邪馬台国の概略
 最初は、邪馬台国の近畿説X九州説の簡単な話題提供、魏志倭人伝、鏡の中の中国歴「景初三年」の刻印、いろいろ復習があった。魏志倭人伝は国立公文書館所蔵のものだった。

 ところで、邪馬台国のCGがなんとなく三輪山あたりの景観にみえたな。それと、連想だが、三角縁神獣鏡の模様、が山の連なりに見えて、それが三輪山あたりの情景にそっくりに見えた。この邪馬台国CGは、どの番組で造ったのか、使ったのか思い出せない。気になる。

京都国立博物館・村上隆室長
 京都国立博物館の村上隆室長が出てきた。室長といっても、なんの室長か分からないので、今朝京博のHPを眺めてみたが、よく分からなかった。考古室長かもしれない。人物認定は知らない世界では難しいところだが、少なくとも「村上隆」という対象は、奈良文化財研究所におられた方かもしれない。

 さて、村上室長の話では、静岡県出土の三角縁神獣鏡を、レーザー光線で測定したところ、厚さ1ミリ程度まで研磨された形跡があるとのことだった。古代鏡のような立体物にレーザー光線をスキャンさせて、その形状をそっくりコンピュータに取り込む装置が写っていた。以前からそういう装置があることは見聞きしていたが、それを導入し、三角縁神獣鏡の精密な採寸をし、コンピュータで三次元画像を表示させるわけだ。CGだから回転拡大縮小、自由にできるから隅々までモデルの様子がよくわかる。

(人間も採寸できるな、と想像して見ていた。しかし目の部分は危なそうだ。人間は目の回りの形状、筋肉の動きで感情が表現されるが、目をつむったら困るし、つむらないと失明するかな)

黄金色の鏡
 さて、成分組成も分析された。{銅:75%、錫(すず):21%、鉛:3%}と画面表示があった。のこり1%は不純物というかその他のものだろう。

 その成分にしたがって、あらたに画面表示してみたところ、黄金色の三角縁神獣鏡が画面で回転した。青銅というと、なにか重くって暗い雰囲気だが(博物館に展示してある、銅鐸や鏡がそうだ)、輝いて見えた。
 一般に銅合金は銅に含まれる他金属の含有量によって、赤み、青、白と変化するらしい。黄金色というのは、以前中国の青銅器制作番組を見て、完成したものを磨くと輝きだしたので驚いたことがある。

 これまで、MuBlogでも三角縁神獣鏡の組成記事を参考にあれこれ愚考していたが、昨夜のニュース番組をみて、あらためて自然科学の基礎を他分野に応用することの「強力」さに感心した。ふむふむ。

参考
  MuBlog: 「卑弥呼の鏡」中国製の可能性
  MuBlog:三角縁神獣鏡はただの銅鏡か

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コメント

工学部出身のようですね

 このテレビ番組はたまたま当方も見ていました。
レーザーで物体のデータを取り3Dのモデリングに使うことは20年近く前からやられていたと記憶しています。
工学がいろんな分野で活用されるのは嬉しいですね。
グーグルにいろいろ聴くと次のようなキーワードが出てきました。

村上隆(むらかみりゅう)
1953年京都生まれ。
京都大学工学部卒業。
京都大学大学院工学研究科修士課程修了。
東京藝術大学大学院美術研究科博士課程修了。
国立文化財機構 奈良文化財研究所上席研究員。
石見銀山資料館名誉館長。
京都国立博物館・保存修理指導室長。

投稿: ふうてん | 2008年5月14日 (水) 14時43分

やあ、ふうてんさん、今晩わ
 野暮用でさっき帰って煎茶をずびずび。

 で、件の身上調書、眺めるとふうてんさんの遠い後輩ですよね。しかしまさか、直流交流の話処ではないでしょう。レーザーといえば亡くなった原田先生が東京の工学部でそんなことしていたと、聞いたことがあります。

 モデリングの話は、もう20年にもなりますか。素人考えでは、光をあてていくだけで、立体がわかるなんて素晴らしい。反射光なんでしょうか、あてる角度なんでしょうか、遮る光量なんでしょうか、わからない。まあ、よいです。ともかく物体から直接採寸できるということですね。

 番組では厚さ1ミリのところが、正確にわかった点でしょうね。デザインで凹凸が激しい物体の厚さなんて、普通は分かりにくいですから。

 理系の成果は、考古学では以前からさかんに使われてきましたが、鏡が分かるなら、古墳なんかはどうなんだろう。と、いろいろ想像するのでした。内視鏡なんかは、よく知られていますね。

投稿: Mu→ふうてん | 2008年5月14日 (水) 22時38分

三角縁神獣鏡、ドラマ「鹿男・あをによし」を
思い出しました。
ドラマでは、あの鏡が、日本を救うアイテムになっていました。
いろんなところから出土しているのでしょうか。
昔、神戸の白鶴美術館で、同じようなものを見たような記憶があります。

古代に作られた当時は、CGによって明らかにされたように黄金の神獣鏡だったとしたら、
さぞかし威光を放っていたことでしょうね。

投稿: 伽羅 | 2008年5月15日 (木) 06時23分

伽羅さん、こんにちは
 本文でも記しましたが、以前、NHKのDVDで、中国文明を観ていましたら、殷の時代の青銅器を現代の技術者が作っていました。たしかに磨くと黄金色でした。

 三角縁神獣鏡も、入手して数十年は輝いていたと思います。ただ、なんとなくあの鏡面(博物館などでは、古銅鏡の下に鏡を置いて、鏡面をみることができる所もあったように記憶しています)を、巫女さんとか王は、太陽に向けて反射させていたようにも想像できます。
 夜間、とろとろ燃える灯火の光でも輝いていたのでしょうね。
 さらに、高位の女性だと、本当に顔を写してメークしていたと信じられます(紅とか)。

 各地に500枚以上発掘されているので、ありがたみがあるのかないのか、あるいは複製物なのか、問題が大きすぎて、私には何にも言えません。

 ただし当時の女王が数十枚、百枚単位で持っていて、報償がわりに各地にプレゼントしただろうな、という程度に思っています。魏鏡なのか倭鏡なのか、さてどうなんでしょう(笑)。

投稿: Mu→伽羅 | 2008年5月15日 (木) 13時55分

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