« 嵯峨野鉄道図書館ジオラマ(07) 植樹 | トップページ | 五十六万アクセス(56万/全体97.4万):MuBlogの分析 »

2008年5月 2日 (金)

嵯峨野鉄道図書館ジオラマ(08) 第一期完成と列車

承前:嵯峨野鉄道図書館ジオラマ(07) 植樹
プロジェクト目次:嵯峨野鉄道図書館ジオラマ

Mumuimg_4182
↑ハーヴィー号の雄姿

8:はじめに(第一期工程終了時の図書館列車)
 時はもう五月に入ってしまいました。今年のGWは大学の授業も重なり、休暇は週末からの数日にしか過ぎませんが、それでもやっと一息ついて、ほっとしたという状態です。
 わが「嵯峨野鉄道図書館ジオラマ」も本編A部分(目次参照)はひとまず、「第一期工程終了」扱いといたしたいです。叩きモデラーと自嘲しながらも、まるっきりの零から、列車が図書館分館間を右に左に走るようになりました。これ以上のことは第二期にまかせて、本編A・中間発表をここにすませ、しばらく休載する予定です。

 そのお知らせもこめて、今回はジオラマを快走する列車達の姿を掲載することにしました。あわせて、第二期以降についての課題もリストアップして、次に備えました。
 なお本編Bにあたる「二階建て図書館列車考」については、ほぼ無期限不定期に、時々記事を載せるつもりです。これは完全自作列車を作った後も、継続する予定です。

8-1:レイアウト

嵯峨野鉄道図書館8-1-1:レイアウト全景
嵯峨野鉄道図書館8-1-2:嵐山駅分館
嵯峨野鉄道図書館8-1-3:森林
嵯峨野鉄道図書館8-1-4:愛宕山と空也滝

 ↑写真は2008年四月下旬の第一期工程完了時のものです。この世界の方が御覧になれば不備だらけとお分かりでしょうが、ともかく600X900ミリの矩形のなかに小さな世界が誕生しました。その世界では、一応Nゲージのどんな列車も走ることができます。一部相当に勾配のきついミニカーブレールを使用していますので、無理もあるのですが、「列車が走る」というのは、鉄道ジオラマ製作にとって最低限の基準ですから、ひとまずそこをクリアできたことを、ご確認ください。

8-2:愛宕山上駅分館→嵐山駅分館:ハーヴィー号牽引
    動画→二階建図書館・原型:ハーヴィー&トーマス (mpeg4. 4MB)

嵯峨野鉄道図書館8-2-0:ハーヴィー(0)
嵯峨野鉄道図書館8-2-1:ハーヴィー(1)
嵯峨野鉄道図書館8-2-2:ハーヴィー(2)
嵯峨野鉄道図書館8-2-3:ハーヴィー(3)
嵯峨野鉄道図書館8-2-4:ハーヴィー(4)
嵯峨野鉄道図書館8-2-5:ハーヴィー(5)

 この8-2と8-3とは、同じ路線での往復運転を考えています。ジオラマ全景の左にある愛宕山上駅分館からの出発はハーヴィー号が牽引し、下記8-3での逆方向はトーマス号が牽引します。
 コンセプトとしては、愛宕山上駅(図書館)分館←→嵯峨野鉄道図書館本館←→嵐山駅(図書館)分館の間を、二階建てトロッコ図書館列車が往還することにあります。
 それぞれの駅図書館にはそれなりの閲覧室(読書室)や規模に応じた書庫、休憩室、レストランなどがあると想定しています。本館は最大限の施設を提供します。その駅図書館の間を図書館列車が走るわけです。

 二階建てトロッコ図書館列車には、一階に書庫と、格別に書斎空間を必要とする利用者に個室を提供します。二階はトロッコ形式にして、オープンカフェも提供します。列車は、途中風光明媚な箇所や、利用者の求めに応じて随時停車する運行形式を考えています。イメージとしては、「木漏れ日の中、川のせせらぎを聞きながら、図書館列車の上階で漱石をぱらぱら読む」と、なりましょうか。

 なぜ「移動する図書館」なのか。
 これについては、まだまだ人間の心理、読書形態を深く考えねばならないのですが、一応の線では「束縛と読書専念」という心理の一端を応用したシステムと考えています。列車という束縛・拘束空間の中で、読書に専念する、そして身は移動しているという、幾分感性の勝った考え方を、客観的に解き明かす必要があります。

 そしてまた、嵯峨野全域を図書館にするという、図書館全域思想も込めたつもりです。たとえば、大学キャンパスの中に図書館があるのではなくて、図書館という「館」の中に大学キャンパスがあるという発想です。
 日常生活の中で、図書館という情報源を外的にとらえるのではなく、人間生活の内面としてとらえる考えから成り立っています。つまり。嵯峨野鉄道図書館ジオラマの中に、嵯峨野という地域があり、生活があるという発想です。

 それは、人が他の生物とは異なる進化をとげた果ての知的洞察力を持った生命体として、記憶槽に相当する情報源である図書館を、主体的に内在的に捉えなおした考え方です。
 人の移動という身体行動をともなった「館」、物理的制約に縛りをうけた形態でこそ、意味をもつと考えたのです。人は「脳」だけで生きているわけではないのです。身体を動かしてこそ、つまり館空間や図書館全域空間の中で身体を動かしてこそ、叡智が生まれるであろうという、一種の「思想」の結実です。
 まだまだ結論は出ていません。

8-3:愛宕山上駅分館←嵐山駅分館:トーマス号牽引

嵯峨野鉄道図書館8-3-1:トーマス(1)
嵯峨野鉄道図書館8-3-2:トーマス(2)
嵯峨野鉄道図書館8-3-3:トーマス(3)
嵯峨野鉄道図書館8-3-4:トーマス(4)
嵯峨野鉄道図書館8-3-5:トーマス(5)
嵯峨野鉄道図書館8-3-6:トーマス(6)

 8-3は、嵐山駅(図書館)分館から、愛宕山上駅分館にむけて、トーマス号が牽引車になった姿です。ここでは、鉄道模型の観点から説明を加えます。
 前後に二両の動力車を設定した理由は、簡単に言えば急カーブ、急坂を脱線せずに移動するための、一つの解であると申せます。
 スピードを上げて加速登坂させると複雑なコントロールを必要とします。趣味の醍醐味です。しかし情報図書館学「未来の図書館」教材として提供するには、それは危うい方法です。加速させたままなら急坂は無事上っても、線路終端で衝撃が加わり脱線します。また、下り坂では客車を振り切り、脱線します。

 じわじわと、じっくり安全に急坂を上り下りするには、二両の動力車の使用が最適と分かったのです。なお、新顔のハーヴィー号はNゲージモデルではなく、食物付帯玩具(ショクガン)の付録です。Nゲージのレール上を、ナローに走行するように改良しました。
 そこまでしたのは、勿論好奇心もあったのですが、なによりも、新しい試みをする場合、人を惹きつける要素は、常に必要だと考えたからです。惹きつけたかどうかは今後の課題ですが、周りの学生達の間では一定の評価を得ました。

8-4:嵯峨野鉄道図書館本館・内環状線:大歩危トロッコ号
    動画→トロッコ図書館・原型:大歩危トロッコ号 (mpeg4. 5MB)

嵯峨野鉄道図書館8-4-1:大歩危トロッコ(1)
嵯峨野鉄道図書館8-4-2:大歩危トロッコ(2)
嵯峨野鉄道図書館8-4-3:大歩危トロッコ(3)
嵯峨野鉄道図書館8-4-4:大歩危トロッコ(4)

 このジオラマで内周に相当する、嵯峨野鉄道図書館本館を直に経由する内環状線を走るのに、最適な車両として大歩危トロッコ号を選びました。これはエンドレスですので、一旦スイッチをオンにすると走り続けます。勿論、車両としては、その「トロッコ」部分に注目した上での選定です。

 独自の「二階建てトロッコ図書館列車」を製作する際には、先述のトーマス号が牽引する客車JRサロ124との合体で、コンセプト列車を形作ると考えています。サロ124が一階で、このトロッコ形式が二階というスタイルです。
 この写真の気動車については、20m級の全長は、いささか長大だと考えています。もちろん客車サロ124も同じですが、客車は切断して短くする可能性があります。

8-5:嵯峨野鉄道図書館本館・外環状線:近鉄特急ビスタカー
    動画→二階建図書館・原型:近鉄特急ビスタカー (mpeg4. 5MB)

嵯峨野鉄道図書館8-5-1:近鉄特急ビスタカー(1)
嵯峨野鉄道図書館8-5-2:近鉄特急ビスタカー(2)
嵯峨野鉄道図書館8-5-3:近鉄特急ビスタカー(3)
嵯峨野鉄道図書館8-5-4:近鉄特急ビスタカー(4)

 現時点(2008年5月2日)では、この郷愁をそそる近鉄特急ビスタカーを、まだ「二階建て図書館列車考」として登録していませんが、いずれリストに追加します。
 写真では、とくにVista Carと刻印のある二階建て列車に注目してください。精査したわけではないのですが、これは(実車)鉄道関係の賞をうけたほどに斬新な列車だったようです。二階建て列車としては、なにかしら突出した設計思想があったと想像します。
 そういうもろもろは後日にして、わが「嵯峨野鉄道図書館ジオラマ」外環状線(山陰線想定)をひた走るビスタカーを動画でお楽しみ下さい。これが図書館列車だったとしても、何の不思議もない、というのが今の私の心の帰着です。

8:まとめ
 2007年の秋頃から、風狂の心やまず、ぽつぽつと、工具やレールや列車を収集し、ジオラマ製作にかかり、やっと第一期が完成したのはこの三月卒業式のことでした。卒業式当日には、葛野図書倶楽部2001の関係者が寄り集まり、その日に列車が現実に走る姿を見せたかったのです。まったく初めての鉄道模型、ジオラマ製作ですので、完成を幾分危ぶまれていた事実も知っているのです(笑)。

 情報図書館学という科目では学生達の「未来の図書館」の中に、数年単位で鉄道図書館が含まれていて、それらのアイデアを実際に私自身が検証しつくしていなかったという負い目があって、それをいつか晴らしたかったのです。
 まだまだ晴らし終えた訳ではないのですが、卒業式に屯所を訪れた隊員達は、いずれも二年~三年生の時にこの科目で汗をながした経験を持っています。これから、もしもテーマとして「鉄道図書館」が出てきても、私は一応の見識を示すことができるようになりました。それは演習を毎年手伝ってくれる助勤(上級生)達に向けても同じです。

 さて、しかしまだ終わったわけではないのです。

9:はじめに(第二期工程に向けてのジオラマ調整)
 鉄道模型、なかんずくレイアウト(ジオラマ)に詳しい方が見れば、この嵯峨野鉄道図書館ジオラマは、列車が走り、山があるだけの未完成品と、思われることでしょう。
 それは当然として、今後も教材として幾分のリアリティを演出するためにも、工程リストを掲げて、いくつか手をいれていくつもりです。

9-1:二階建てトロッコ図書館列車の自作
 これは第三期に予定しているのですが、第二期の工程に含めないと計画倒れになる怖れもあり、この筆頭に掲げます。
 紙や透明プラスチック板あるいは薄いアクリル板を利用するつもりです。モデルの二階建て列車やトロッコ列車を合体させるにしても、最低限の基礎的工作技法が必要となります。

 紙貼りにしても塗装にしても膨大な時間をとることでしょう。どんなことでも(たとえば、ソフトウェア・プログラミング)時間を湯水のように使うわけですが、PC相手の肩こりや眼精疲労にもまして、今度はカッターナイフで指切りとか、怖い想像をして、なかなか手を出せません。いずれ、逃れられないことですから、やってみる事でしょう。
 結局最後の仕事になるでしょう。

9-2:嵯峨野鉄道図書館本館の調整
 これまで、ジオラマの中心に置いてきた図書館本館は仮にKATO製の「警察署」を使ってきました。これはいろいろ考えたあげくのことですが、警察署を改良してレトロな図書館にすると決めております。

 外装としてはウェザリング(古く見せる技法)をして、土の色や高低を調整してジオラマに溶け込ませる必要があります。外観はこのモデルで気に入っているのです。
 内装としては、天井を取ると二階建ての精密な内部が現れますので、色分けしたり、本棚をそれらしく見せたり、閲覧机を置いたりと、それこそ図書館設計の時間になります。
 さらに電灯を付けたりと、楽しい作業になると思いながらも、「時間をとるなぁ」と、長嘆息。
 第二期のいずれかのタイミングで、一気にやらないと未完成のままになりそうです。

9-3:嵐山駅分館、愛宕山上駅分館の調整
 まったくの未完成ですね。駅舎やホームを置いただけです。おまけに、特に愛宕山上駅分館あたりのレールはバラストで美装するこもせず、浮いたままです。駅舎やホームが定まらないので、線路を固定化することもしていないわけです。
 なんとか、しましょう。

9-4:鉄橋周辺の調整
 ジオラマを公開するとき、鉄橋周りの細部写真などはもっとも人の目を引くところです。ところが未着手に近い状態です。根底には、列車が走ればよい、というものすごい機能主義が渦巻き、人の目に、学生の目に触れることすら忘れた仕様です。(だから、駄目なんだと、自戒)
 鉄橋および、レールが空中に浮いた部分は、第二期工程で絶対に処置しなければならない所でしょう。
 なんとか、しましょう。

9-5:渡月橋の調整
 嵯峨野といえば、天下の名勝嵐山、といえば渡月橋。橋がありません! 屋形船もありません! これでは嵯峨野全域図書館モデルの名がすたります。
 すでに、グリーンマックス社のプラモ形式の橋や船を入手していますので、組み立て、そして色づけをする必要があります。

 もう、猫の手も借りたいほど忙しくなります。しかしさすがに授業で、「やってみい! まずったら、単位とれないよ」というほどの野蛮さはなく、せいぜい毎夕ひとりでするか、気のよい葛野図書倶楽部隊員に手伝ってもらうしかないようです。
 なんとか、やってみましょう。

9-6:細部調整
 話せば長くなりますので、手短に。
 ジオラマ、世間でいう鉄道レイアウトは、人によっては数年から十年以上手を入れるようです。それだけ奥が深いというか、リアリティを出すには試行錯誤が必要だということでしょうね。
 たしかに。
 そして教材模型とは言っても、見飽きない仕上がりは必要です。だから、第二期、第三期と時間をかけて、細部を調整し、ぎりぎりの水準まで持って行かねばなりません。道は長いようです。

9:まとめ
 これで第一期工程の、公開記事は終了とします。引き続き、「二階建て図書館列車考」は、折に触れて列車を選び、考察していきます。
 第二期、第三期については、それぞれ完成した時点で公開予定です。製作過程を発表するのは、なかなかに、時間が倍かかるという難しさもあるからです。

 夏期には、邪馬台国周遊図書館ジオラマにも手を付ける予定ですが、これは科目・情報図書館学「未来の図書館」で時々テーマになる日本歴史と、鉄道図書館テーマとの融合を計っています。今回でジオラマ製作も、一応は経験しましたので、失敗続きはなくなり、意外に容易に完成すると想像しています。

 ではまた今度、お目にかかりましょう。

|

« 嵯峨野鉄道図書館ジオラマ(07) 植樹 | トップページ | 五十六万アクセス(56万/全体97.4万):MuBlogの分析 »

嵯峨野鉄道図書館」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 嵯峨野鉄道図書館ジオラマ(08) 第一期完成と列車:

« 嵯峨野鉄道図書館ジオラマ(07) 植樹 | トップページ | 五十六万アクセス(56万/全体97.4万):MuBlogの分析 »