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2008年3月14日 (金)

昭和の鉄道模型をつくる(23) 菓子屋(井口菓子店)

承前:昭和の鉄道模型をつくる(22) パン屋(みのりベーカリー)

23:部品と工作(菓子屋:井口菓子店)

23:井口菓子店の正面
23:井口菓子店の裏面
 
 だいぶ建物(ストラクチャ)作りにも慣れました。殆ど目をつむっても出来上がるようです(嘘)。

23:鉄道模型の達人/高石智一

23:高石智一
 今回の高石先生(31歳、関東学院六浦中学校技術科教諭)の記事は、何度も読み返しましたが、そのたびに照れ笑いをし、ため息をつきました。なんとなれば、圧倒的な男子生徒の支持があり、Nゲージ「江ノ電」ジオラマ運転会には常時20名ほどの生徒が集まり、文化祭でも上々の反響があったとのことなのです。
 ああ、男子生徒がそばにおるというのは、こういう世界では実に力強いだろうなぁ~。
 我が葛野(京都の古い地域カドノ郡にある、歴史を持つ女子大学です)でも毎年、未来の図書館を課題に出してきましたが、たしかに「鉄道図書館」は隔年単位で上位に入ってはいるのですが、いざ私がジオラマを制作しても、男子生徒ほどの支援を受けるとはまったく思ってはいません(これは、微妙な性差別でしょうか!?)。
 先頃私一人で「葛野模型倶楽部2008」を結成し、数名に声をかけようとしたのですが、「えっと、忙しいので」「遠慮しときます」「手が荒れそうですね」「実車しか興味がないので~」と幻聴が事前に聞こえてきました。

 というわけで、今回注目したのは、「極楽寺駅付近の風景にある寺院」を、既成の金閣寺をアレンジして使ったことです。色を変えたり、部分修正をすればそれらしくなるのだと、思いました。そう言えば別の雑誌では、神社社務所を普通の民家を改良して使った事例がありました。それが最初は分からなかったのです。

 海と道路と線路(江ノ電電車も)と駅舎と樹木密集。これが一枚の大判写真にありましたが、情景の重ね合わせが非常に気に入りました。
 樹木はこの江ノ電ジオラマのように、密集させないと駄目だと思いました(もちろん一本表現もありますが)。
 道路中央の白線は細いものだと実感しました。私は以前サンドペーパーに、修正タイプテープを貼って「白線」とほくそ笑んだのですが、なにかバランスが悪い。計ってみたら幅が5mmほどもありました! 道幅3センチに5mm白線では失敗して当たり前ですね。

23:AtoZ:樹木・針葉樹編:ジオラマ/レイアウトの制作(12)樹木を作る

23:樹木・針葉樹編:ジオラマ/レイアウトの制作(12)樹木を作る
 樹木造りは、別のところで試してみたが難しいです。幹と枝とフォーリッジ(葉にするスポンジが、もこもことしていて、それを小さくほぐして幹に付ける)が一式付いたKATOの樹木キットでした。どう難しいかは、大量に必要なので手抜きし過ぎて結局、木には見えなくなったのです(そのままジオラマに使ったが)。今回、この記事は手抜きが御法度という戒めがあったですなぁ。

 杉の木。枝がなくてもよいと分かりました。10センチ程度のプラスティック丸棒(直径3mm程度)を切って、縦にスジを傷つけると、杉らしくなる。茶色塗料(ジェッソ)は薄く塗ってスジを残す。
 フォーリッジのちぎり具合が、一本につき、直径1cmを8~10個、直径8mmを7~8、直径5mmを3~4個と、模型杉の一般論が記してあったので、参考になりました。
 上記のフォーリッジ葉は、一つずつスチロールのり(発泡スチロール用ボンドでもよいと思った。同じことか?)を付けて、くどいですが、一つずつ付けていく。(これを別のジオラマで大失敗した。まとめて一挙に接着を計り、すべてぼろぼろと落ちていった! 悲惨)

 唐松(カラマツ)。タワシのブラシ部分をほぐして、カラマツの葉にする。すごい! 細い針金半分折りして重ね、二本の間にブラシ部分を7~8本ずつ挟み込んでねじり上げる。これを10センチ分ほど作って、カラマツ。着色は模型用スプレー。さらに新緑にするには、スプレーのりをふいて、そこに新緑色パウダーをふりかける。

 杉にはフォーリッジ葉は一片ずつ、スチロールのりで整形しながら付ける。
 カラマツには、スプレー塗料や、スプレーのりを上手に使う。後者は、失敗して分かったがボンド水溶液では接着が弱いからだと思いました。
 ボンド水溶液は平面に適していて、細いブラシにパウダーを付けるときなどは、スプレーのりが重宝と思った。高価でしょうが?
 杉やカラマツには、枝がなくても、プラ棒一本、よじり針金でもそれらしくなります。

 ジオラマ模型世界で蓄積されてきた手法は、本当に毎回奇声を上げるほどに、意表をついてきます。以前は、道路をサンドペーパーで作ること(失敗)、水を多用途ボンドやセメダインで作ること(未乾燥の青色塗料と混ざって失敗!)、今回はタワシのブラシを唐松の葉にすること。ものすごい世界があったのだと、心から驚いています。

23:昭和の『鉄道模型』をつくる

23:昭和の『鉄道模型』をつくる
 毎週号、興味を引く記事がいっぱいあります。
☆1
 私鉄「関東鉄道」。茨城県を単行近所の気象庁地磁気観測所に悪影響を与えるからと。交流電化は影響がないが高額とのこと。知らなかった。
☆2
 山岳鉄道「大畑駅(おこば)」。私が書くより惹句を引用した方が分かりやすいです。
 「明治時代の山岳鉄道技術を証明する日本初のループ線とスイッチバック」

(熊本県人吉市大野町)
 ループは、線路が輪っかになって螺旋状に高度を上げる方法です。ここでは地図をドラッグで動かしたりして全体をみると、丸い線路が見えますが、駅の西にあるX字に交差したスイッチバックのあたりから、ぐるりと逆時計回りして、横平トンネルの上を通過する頃には50mの高低差ができるわけです。
 スイッチバックは「ウィキペディア」に丁度この大畑(おこば)駅の事例付き説明がありました。ただし、ここでは汽車の進行方向を逆転させる為よりも、給水駅を作る必要からと想像しました。
 分かりにくいでしょうが、我が「嵯峨野鉄道図書館線」は、ループで高低差をかせぎ、駅舎図書館の必要のためスイッチバックを使っております。どうぞ見学して下さい、説明いたします! (爆笑:ど素人の説明だと~)。
 ところで余談:最近、ループとかスイッチバックとか、あるいはアプト式とか、ナローなトロッコとか、ダブルデッカとかいう文字を目にすると、胸が張り裂けそうになるのです。これが山岳鉄道模型・症候群なのかもしれません。
☆3
 もう一つ、「秋刀魚の味/小津安二郎監督」。小津監督の噂は畏友のふうてんさんからさんざん聞かされてきました。わが木幡研究所でも小津さんの作品は、寺町にある特殊?ビデオショップから何本も借りてきたようです。私は、横目で見ていても、笠さんの語り口に「ほぉ」とうなずくだけだったのですが、あらためてこの記事に興味を持った次第です。
 たとえば巨匠小津監督は昭和38年になくなったのですが、なんとまだ60の若さだったのです。その年令で巨匠なんだから、昔のひとは人間の出来が違うようです。
 もう一つは、適齢期の娘を持つ父親が、娘を手放すことに苦痛を味わう話があって、そのあたりのことが、我身を照り返すような解説でした。つまり、実に日常的な話の中に永遠のテーマが潜んでいるわけです。(ただし、私個人的には、その苦痛はないのです。人は複雑ですね)

23:未来の図書館、過去の図書館
 読書には、断片的な情報を得る以外に、本との対話という観点があります。
 そしてどんなことでも、ある程度の下地がないとうまくいきません。
 読書とは、他人との対話ですから、練習が必要なのです。

 相手の言葉つかいをそれなりに理解できなければ対話は成り立ちません。言葉つかいというのは、難しい漢字や意味のつかみにくい用語なら、辞書がありますから、かえって楽にわかるものです(辞書引きの習慣がないと、これも難しいのですが)。練習が必要になるのは、文脈(文章の流れ)全体の中で、相手(著者)が何を伝えようとしているかを理解することです。簡単な言葉だけで、実は本当に難しいことを解きほぐしている文もあります。それを理解することは、辞書引きよりも難しいです。

 練習の基本は、20代前後までの多読が役にたちます。多読の中に、同じ著者の図書を何冊か読むことが含まれます。一冊では分かりにくくても、数冊読むと互いに意味がかさなりあって、見えなかったことが見えるようになります。

 読書は対話と簡単に言いましたが、対話というのは一方通行では対話とは言いません。読書する人が頭の中で本に語りかけ、その本がそれについて何とか答えようとしてくれるとき、対話が成り立つと言えます。読書の対話は、自問自答に似ていますが、やはり違います。その本は、その著者は、見知らぬ私にはっきりした言葉で私の疑問や私の想いや夢に、その人の考えを返してくれます。それが答になるかどうかは、私次第です。

 未来の図書館は、情報をそこで得るだけではなく、上に述べたような「読書という対話」時間を快適に過ごせるような館(やかた)であることが望ましいです。その為には、現代の図書館の普通の姿である「公共の立場」というものが、できるだけ薄まるのが良いと思います。図書館が一人一人の書斎の形になるのが望ましいでしょう。なぜなら、読書という対話は、非常に個人的なものだからです。

 公共の立場として、しばらくは「してはいけない」ことがいくつか残ります。図書にマーカーを付けたり、書き込んだり、切り抜いたりするのは、同じ図書を読む人にとっては不愉快なことです。もちろん科学技術によって、毎度返却されるたびに、クリーニングするような方法が生まれるかも知れませんが。(笑)

 部屋(読書室:閲覧室)の造作がどれほど自由な形になっても、必要以上の音を出したり、騒ぐのは止めましょう。ただし、PCを触ったり携帯を使ったりするのは、やがて工夫によって自由になることでしょう。PCでさえ、以前はキーボードタッチの音がうるさいという理由で、使用できない図書館が沢山ありました。

 これからは、現代の大部屋形式の、同一の家具(閲覧机など)で構成された図書館だけが図書館ではないわけです。二階建てトロッコ図書館列車に乗客が数名という場合も出てくるでしょう。しかし、そこでカラオケをしたり、大酒を飲んで騒ぎまくるのは当分強い制限がかかると思います。

 読書という対話を、これまで以上に充実した方法でできる環境が未来の図書館に望まれます。

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コメント

すごくページが重たくなりましたね。
やっぱり、女子には読むなってことでしょうかね

投稿: wd | 2008年3月14日 (金) 20時47分

1.全般にニフティが遅くなっています。ココログ全体に相当な利用者アクセスと、そして馬鹿メル、卑猥トラックバックが襲っているのだと思います。
 MuBlogにも関門をすり抜けて変なトラックバックが入ります。
2.JoBlogは当方よりさらに遅いです(笑)。
3.MuBlogが昔よりも遅いのは、動的な地図を載せている事情もあります。

4.鉄道模型は、女性にとっての「人形の家」、さらに最近知ったのですが、シルヴァニアファミリーのような雰囲気だと思います。
 女性でも、いわゆるプラレールという、プラスティックのレールやモノレールに熱中した人はいるようです。

5.ジオラマはよく考えると地図地形図が基本にあります。これは男性の方が好むようです。さらに嵯峨野鉄道図書館列車のような、レールが立体的に交差する構造は、多分男性論理に近いものですね。

 と言うわけで、女性拒否blogではありません。
 もちろん、鉄道関係が増えてから、学生利用者は減ったと思っております。
 そうそう。PC自作、ロボット自作、ジオラマ自作、邪馬台国探検となると、こりゃぁMuBlogは相当に「男性向き」だと、いまふと我に返りました(笑)。

投稿: Mu→Wd | 2008年3月14日 (金) 21時05分

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承前:昭和の鉄道模型をつくる(23) 菓子屋(井口菓子店) 24:部品と工作(映画館:スバル座)  映画館はこれまでの建物にくらべて大きいので扱いやすかったです。  ただ、この「昭和の鉄道模型」全般に通じる話として、大変組み立てやすい付属部品だと思います。たとえば、最近別のプラモデルで建物を造ったのですが、その時は部品を全部接着剤で組み上げる方式だったので、苦労しました。こちらの建物では接着剤を使... [続きを読む]

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