二階建て図書館列車考(4)Maxとき、上越新幹線(E1系新塗装)
承前:二階建て図書館列車考(3)京阪特急ダブルデッカー(8000系)
0.はじめに
今回は、上越新幹線を走っているオール二階建て「Maxとき」を俎上(そじょう)にあげました。
最初から否定的言辞は使いたくなかったのですが、誤解が生じないように断っておきます。私は新幹線系列車を、たとえMaxのような珍しい二階建て新幹線であっても「嵯峨野鉄道図書館」での「二階建てトロッコ列車」の候補としてはおりません。後日予定の「カシオペア」は准候補に入れています。
「トロッコ」という名辞でわかるように、嵯峨野鉄道図書館では、速度や機能性よりも、開放感や自由感、手触りの佳い古典的なアナログ図書館空間を求めています。ですから、E1系という多少古い形式(現代のJRではE4系に進化し、東海道山陽道にはN700系が人々の目を惹きつけています)であっても、トロッコと新幹線とでは、コンセプトがまるっきり異なってきます。
それならなぜMaxに注目したかというと、たとえ輸送力増加を目的としていても、新幹線という高速電車で、あえて変則的な二階建てにした場合の工夫、25m級という大型車両の二階建て構造を知りたかったからです。前者は時速が200キロm程度(普通のN700系は時速300キロm)なので、高速二階建て新幹線の限界をかいま見ました。もちろん路線設備にもよると思います。直線が長ければ時速230キロmはだしているようです。
後者については、在来線よりも大きい25m級の列車の枠組みを知りたかったわけです。車種にもよりますが、在来線は20m程度の全長です。先々回の大歩危トロッコ列車のトロッコは、15m程度です。
計測方法にもよりますが、手元のトミックス社NゲージMaxときモデルでは、客車(E155)の全長が158mmありました。一般Nゲージの縮尺は1/150ですが、新幹線の場合は様々な事情で1/160ですから、160倍に掛け合わせると、25280mmとなり、25mだと分かります。
二階建てで特に気になる全高は、レールから天井板まで約28mmですから、4m48cm。二階建て部分の床下から天井板まで約26mmなので、車室の全高は4m16センチとなります。このままだと、床下からレールまでの間が約30センチですから、この程度の狭さで実車の高速走行が可能なのかどうか、心配にはなります。
全高については、モデルからの試算によって、天井や床の厚みも考慮して全高4m程度になり、二分すると一階あたり2mですから、日本人ならなんとか使いこなせる高さです。
さらに車体幅は、20mmで、実車は3m20センチ、大体3mと考えればよいでしょう。
今回の試算はモデルの大きさから測り出しましたが、日本のNゲージは定評があり、さらに細部が命ですからほぼ実車の大枠が掴めました。そして手にしたモデルの実寸を知ることで、だいたいの様子がわかりました。
つまり、オール二階建ての新幹線Maxは、全長が25m、幅が3m、高さが車室一階分で2mとなります。
そこに、モデル上算出では、100人以上の定員が確保されています。定員については、JR東日本の記事などでは12両編成全体から算出して1235人なので、そのように割り出しました。注意点は、自由席の上階は3+3人と、狭苦しい仕様になっていることです。私のコンセプトからすると、新幹線の一列5人かけでも気が滅入るのに、6人かけとなると、この仕様は首是しかねます。
1.「Maxとき」の二階建て詳細
このTOMIXモデルでは、京阪特急ダブルデッカや、他に後日紹介する近鉄特急ビスタカーに比べて、階段設備がなく、詳細が掴めません。ただし、その分、価格が手ごろですので、これで仕方ないでしょう。
写真の1~2枚目は先頭車両の分解で、3枚目は客車の分解写真です。
各写真には、定員数についていろいろ記していますが、これは「どのように推測したか」のメモです。実際の各車両定員はもっと精密な仕様書を見るか、あるいは実車に搭乗して計算しなければ、分かりません。
しかしながら、この二階建て図書館列車考では、そういうところを深く追求することに意義は持っていませんので、この程度分かれば良しとしています。
以前記した二階建てJRサロ124も定員は、20m全長で90名でした。25mの二階建て新幹線でも最高120名は予想できますので、大型車両の輸送力は大きいと思いました。その上、Maxには車椅子空間を持った座席もあるので、ユーティリティーは在来線に比較して高度だと思います。
2.「Maxとき」の全体写真
3両編成のモデルだけを入手しましたので、全体の雰囲気は掴みにくいと思います。全12両編成ですから、実車や、この模型のフル編成だと、相当に「でっかい」仕様になります。嵯峨野鉄道図書館コンセプトからすると、大きく外れます。
とは言いながら、別の「新幹線図書館列車」を考えたとき、この写真やモデルや、あるいはこの記事が役にたつことを願っています。
(いま、新幹線図書館列車をあまりイメージできないのは、ともかく、乗車賃が高くなる! そのことにつきます)
3.Nゲージ「Maxとき」の車両説明/トミックス社
(ただし、PCパーツの、たとえばグラボ:グラフィックスボードの箱の派手さは、無用でしょうね。やけに美少女写真が派手な装束で印刷されているので、買いにくいです。)
4.まとめ
このMax、実は実車としての存在を知りませんでした。新幹線に、いま話題(笑:MuBlog帝国限定のようですが)の二階建てがあるとは、想像もしていませんでした。おりよく未知の読者がコメントを下さったので、気がついた次第です。
「嵯峨野鉄道図書館列車は
新幹線「MAX」のようにオールダブルデッカーにして、
下が書庫車両のものと閲覧車両のものと、
両方作ってほしいですね~。」
つまり、その時話題になった京阪特急ダブルデッカーは8両編成のうち一両しか二階建てがないわけです。それに比べると、Maxのすべてを図書館列車に改造したときの勇姿は、驚愕の仕様となることでしょう。その意味で「Maxとき」の存在は重いと、あらためて考えた次第です。予算が許せば、明治村の御料列車とは別の種類の豪華列車にすることが出来そうです。
さらに今回ようやく、気持をこめて車両規模を計測してみました。
実車では、標準軌道(1m40センチ程度)であれば、一階分2m、車幅3m程度は確保できると分かったわけです。全長はある程度融通がききますが、高さと幅が懸案だったのです。
ただし、在来線軌道は幅が1m程度ですので、Maxのままだと超ナローになってしまいます。
京阪は、多分標準軌道幅だと思います。
なかなかに、想像の楽しみは尽きませんが、いずれモデルを製作すると思うと、いささか頭が痛いです。
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