嵯峨野鉄道図書館ジオラマ(05) 地面に色粉(パウダー)をまく
5:はじめに
工作としては、前回山や川や平地の造作、塗装を終えたので、今回はジオラマ独特の手法を用いて、少しでも現実のモデルだという雰囲気を作ります。その為には、山の樹木をスポンジで丸みをつけて表現し、地肌は色粉(パウダー)を散布するなどの工作が必要になります。
なおこの間、レールは外したままです。その方が、プラスタークロスで地形を調えたり、全体塗装をするのが楽だったからです。レールを再設定するのは、愛宕山の「山」らしい化粧を終えて、基盤に中央台地とともに固定した以降のことです。具体的には、後述の5-3での写真の二枚目を終えた後に、レールを敷き直しました。
嵐山については本記事では言及しておりませんが、これは色粉をまく程度で、実際の細部造作は後日のこととする予定です。つまり、渡月橋や葛野堤や、屋形船という細部が必要になり、このたびの3月末年度締切には、間に合わないからです。
今回の作業自体は、部分部分のことになりますから時間を取るわけではないのです。ただし。塗装時に失敗して経験値が高まったわけですが、必ず一晩おく、そして乾燥させる、定着するという「養生」の時間が必要になります。プロ級ですと、これをドライヤーなどで高速乾燥させたり、あるいはボンドであれ塗料であれ、種類を選ぶことで完了時間の目途を知り、その上で、作業のダイヤグラム(時間の前後関係、並行工程の連続性を見る図)を頭にたたき込んでいる方も多いようです。
丁度、料理と似ていますね。
上述の点では、実際のプロジェクト遂行も、課題の長期共同演習遂行も、ジオラマ作りも(そして人生も)、おなじ考え、そして経験、失敗が必要となります。過程での失敗なしだと、最後に総て失敗という、ものすごいしっぺ返しをくらいます。
5-1:愛宕山の化粧
この節は、愛宕山の特徴ある山頂部分を造形することにあります。作成途中で気がついたのですが、意外にも由緒ある京都市右京区嵯峨・愛宕山(あたごさん)の特徴に気付いていない学生諸君が多くおりました。もちろん、私の造形能力が著しく低いことを勘定に入れたとしても、愛宕山が比叡山よりも高く、山頂にコブがあり、独特のY字ないしV字形の風景を作っているところは、まったく知らない人が多かったのです。
唯一先輩教授は、「ええ、わかりますよ」と答えて下さった。
小学生ころには、愛宕山頂の愛宕神社の街路燈のような電球に光が入ったとき、家に帰る時間と定めていました。住んでいたのは車折(くるまざき)ですから、相当な距離があるわけですが、それが夕闇にぽつんと見えるわけです。自衛隊の夜間演習だと、数キロ離れていても、タバコの火が見えると関係者に聞きましたから、愛宕神社の街路灯が見えるのは、おかしくありません。
平安文学では「愛宕おろし」という、冬の愛宕山から吹き付ける寒風が季節感を表しています。
というわけで、愛宕山。
自分で見ても、「下手ですねぇ」。岩山にしか見えないと言った倶楽部員もおりました! (そうなんかなぁ~)
5-2:地肌:色粉(パウダー)まきの道具
地面とか地肌をジオラマでそれらしく見せる素は、パウダーと称する色粉のようです。組成がなにかは調査しておりませんが、入手は先述の「情景キット」などを模型店で探せばよいでしょう。もちろん、袋単位でばら売りもしています。
色は一般に茶と緑が基本ですが、「地面は想像以上に明るいものだ」という、どこかの雑誌か図書で見かけた言葉が印象的です。だから、明るい茶とか、黄砂じゃないですが黄色なども使うと効果がでるでしょうね。
ばらまきは、私は茶こしを雑誌記事で見かけて、それを取り出してきたのですが、なんとなく網目の大小がうまく当てはまらなかったので、結局スプーンでさらさらとまきました。
マスキングが工作の数割を占める工程であると、達人の某blogで見かけました。つまり、目的地以外を隠すわけです。でないと回り中粉だらけになるわけです。半分納得し、半分は「私は達人ではない」とアマノジャク。結局新聞紙を、散髪するときみたいに、かぶせました(笑)。
あと、おなじみのボンド水溶液ですが、この濃さとか薄さは、本当にご自身で確かめないと、言いようがないです。人にもよるでしょう。私は水溶液が流れ出すのにヒスを起こして、だんだん原液に近い、それでも筆でさばける程度の粘度に落ち着きました。
5-3:色粉まきと定着
色粉はボンド水溶液でしっかり固定されますから、後日の樹木に比べると楽な作業でした。
まず、粉をふりかけたいところに、ボンド水溶液を筆で塗りました。塗装する気分ですが、ボンドの白は乾燥すると透明になります。
次に、好きな色粉を適当にまきます。このとき、混ぜない程度に、別色をそれぞれまきます。このあたりこそ、美的アートのセンスがないと難しいですが、私は機能だけを求めましたから、「適当に」で気楽でした。つまり、いかにも「地面」と、思ってくだされば、良しとする思想です。
そして、息を吹きかけて、余った粉を飛ばします。飛んだ粉が別の粉色と混ざって、えもいえぬ色調になるはずです(そう、イメージしただけです。実際部分的には成功しています)。
最後に、余ったボンド水溶液に水を足して薄くして、スプーンでまいていきました。粉の定着です。一晩おくと、色粉が綺麗に地面に変わっていました。
どうです、簡単でしょう!
5-4:まとめ
情景を作るためのキットには、他に草や枯れ木など、いろいろ入っていました。それらを有効利用する楽しみや経験がまだ残ったままです。
しかし今回は、第一期完了を新学期の該当授業に合わせるために、それらは保留しました。雑誌やインターネットで見かける、はっとするような上等なジオラマは、そういう細部にものすごい手間暇をかけていることがよく分かります。そして、ジオラマ(レイアウト)は奥が深くて、一つを仕上げるのに数年かけるのはざらにあるようです。
「嵯峨野鉄道図書館ジオラマ」計画では、まず「鉄道図書館とは、どういうもので、どういう効果が予測されるのか」に重きをおいているので、今回はそれらのコンセプトが明確になるレベルで抑えようと考えています。
しかしそのために、今後は説明パネルを作成したり、ビデオ撮影をして、列車の動的な分館間移動などを説明する必要もあります。よって、一般的な完成度を持ったジオラマとは、別の方向に力を注ぐ必要がでてきます。
もちろん、細部については、時間が空いた時や、どうしても、著しく感興を削ぐと分かった部分は手を入れていきます。
次回は、線路の定着に入りますが、線路を砂利(実際は大粒の砂)で固定することで、多少ジオラマの実感が湧いてくると思います。
参考HP
京都市右京区嵯峨愛宕町 愛宕神社「明智光秀と愛宕山」
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