二階建て図書館列車考(1)JR電車・サロ124形
JR電車・サロ124形(新湘南色) /トミーテック(株) TOMIX
例にあげたモデルはトミーテック社による「JR電車・サロ124型」Nゲージモデルで、JR在来線初の二階建て列車である。当初は、このモデルをそのままプロジェクトに用いるが、やがて特別な列車を設計しモデルを作成する必要がある。
これは現実の列車から、試作車を作るための試料として選んだ。
サロ124形モデルの分解
(1)二階建て列車の寸法
このタイプの電車は、いずれも20m長(全高約4m、全幅約3m)であり、新幹線のE4系MAXは25mある。当然のことだが、嵯峨野鉄道図書館列車は、タイプとして小柄なものを想定しているので、バランスは悪い。ただし当初は試験的にこのサロ124を他の小型車(トーマス号など)で牽引する。
(注:削除→新幹線Maxは例外だが、)京阪ダブルデッカーも、近鉄ビスタカーも、そしてこのサロ124も台車部分は一階建てになっている。全高を上げずに、前後の台車間に床を落とし込む方法で床下を下げ、その高さでもって二階建てを達成していることが分かる。
よって、おおよそ二階建て部分の全長は、前後の台車部分を引いて、10m前後と分かる。
高さについて、京阪ダブルデッカーや近鉄ビスタカーは、二階建て部分が一階建て部分から突きだしているが、サロ124形は全高が変わらない。日本人の身長から考えて、高さは185センチ以上ないと不都合である。となると、実際に乗車していないことと、詳細設計図が手元にないので調査が必要だが、現状の列車で「二階建て」は限界に近い構造であろうか。
(2)図書館列車の大きさ
嵯峨野鉄道図書館列車をトロッコや軽便タイプとするならば、高さは3m強が望ましい。しかし二階建てにするかぎり4mの高さは必要となる。これを避けるには、一階書庫部分を低くして、中二階という考えを導出した方が、安全だし現実的である。
また、全長は15m級にまで下げた方がバランスがよくなる。
一般的な車両を20m長・4m高・3m幅とするならば、図書館列車はカーブの多い渓谷を走ることから、15m長・3m高強・3m幅程度に縮小するのが妥当であろう。
よって、近未来の列車設計は、Nゲージで中二階を新たに考案する必要がある。書庫部分は、床下格納のようなタイプになると、予測しておく。
参考(トロッコ列車)
・嵯峨野観光鉄道(嵯峨野トロッコ列車の紹介)
・「嵯峨野トロッコ列車」JR(支線・ローカル線編)/YANチョ
↑当記事によれば「使用車両は推進運転に対応改造を受けたDE10-1104号機と無蓋貨車のトキ25000を改造した客車5両で編成されます。最大の特徴は先頭に当たる貨車にも運転台が付いている事で,一見するとディーゼル車の様にも見えます。」とあり、客車が無蓋貨車トキ25000の改良と思われる。
→KATOのモデル「トキ25000」
(3)サロ124形からの新たな課題
二階建ての利点および必要性はいくつかある。
1.書庫の圧迫感を一般利用者に感じさせない。書庫を1階に別置することで解消。
2.読書室として、地上(線路)に近い座席は、特定利用者によっては好まれる。
3.読書は一般に拘束感がある。これを広い空間に近接した二階閲覧室によって解消する。
4.構造的に、列車重心は低い方が安全である。書籍の重量を一階に集める。
以上の諸点が要件になるのだが、実際には、サロ124形と嵯峨野鉄道図書館プロジェクトとの間にはギャップがあるので、このプロジェクトでは、図書館列車を全体に縮小する必要がある。
しかし全長が10~15mになると容積は相当に悪化し乗車定員も減少する。全高も4mでは構造上からみてバランスが悪いので、3m強にすることになる。「二階建て列車考」を<中二階方式>として練る必要がある。その場合、嵯峨野トロッコ列車のように、無蓋貨車を改造する方法がある。
参考
・ 車両図鑑(JR東日本)「113系」(注:トミーテック社の実車ガイドでは、「サロ124形は、113系用のグリーン車」とあったので、113系をみてみた)
・ サロ124・125形(Wikipedia)
MuBlog参考
・ 昭和の鉄道模型をつくる(19) 喫茶店(ラメール)→19:未来の図書館、過去の図書館
・小説木幡記:2008/02/02(土)二階建て電車:京阪ダブルデッカー:近鉄ビスタカー
・ 嵯峨野鉄道図書館ジオラマ(01) はじめに
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