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2007年12月16日 (日)

NHK風林火山(50)川中島・山本勘助の最期(3):最終回の放映前

承前:NHK風林火山(49)川中島・山本勘助の最期(2)

観映前のよもやま話
 今夜は平成19年NHK大河ドラマ風林火山の最終回です。ここ何年も大河ドラマの最終日は気持が落ち込んでおりました。「終わり」という言葉に寂しさばかりを味わうのは、年齢というよりも、気質なのだと思っています。

 ドラマを見ている普通の者でこうなのだから、参加していた人にとっても「終わり」は解放感だけじゃなくて、きっと寂しさが一杯だったろうなと、想像しています(多分初秋には撮影収録が終わっていたはず)。勘助も、信玄も、由布姫も三条さんも、ガクトも真田幸隆さんも、……。おお、板垣さんも甘利さんも、さぞ淋しかったことでしょう。

 Muも、毎週欠かさず日曜の夜に古くてちっこいTVの前にかじりついてこの一年を過ごしました。木幡研でも全部みたのはMuと愛猫またりん君の遺影だけでしたなぁ~。途中二度ほどは、録画したのを日曜の深夜(10時頃)にみたことがありますが、MuBlog 記事は毎回休講なしのはずでした。我ながら、Muは才能よりもこの愚直さで世間を渡ってきたのだと、笑えてきました、今。

 この世の終わりとまでは思いませんが、相当に今日のMuは朝からめそめそしております。

 毎週日曜の夜、ドラマをみたあと茶を一杯飲んで、やおらPCの前に座り、8:50~10:00ころまでかけて感想文を書いてきました。そのあとチェックして、深夜10:10~20分ころまでには掲載してきたのです。まるで大河ドラマ感想文ロボットでありました。

 こんな時間帯にニフティ社ココログがメンテなんか入れたら発狂したことでしょう、がそれはなかった。ココログもブロガーの心理をちゃんと知っているのですよ、きっと。「日曜の夜は、メンテをいれるな!」とね。

 それにしても。
 年間50回、日曜の夜は必ず木幡研に居るというこの性向、なんだか、自分が怖くなりました。ぶるぶる。こういう世間人も、ちゃんとおるんです。

四方山話
 俳優女優のことですね。さて、年間通してどうだったか?
 このこと、また午後にでも。昼食後、夕風呂後に記しましょう。では、あとで。

 いい夕風呂でごじゃりました。
さて、
 役名も役者名もうろおぼえなので、NHKのHPから引用して思い出してみましょう。しかし多分この参考記事は来年自然消滅するので、あえてURLは記しません。(NHKもドラマの記録を残すことには迷いがあるのでしょうね。)

武田信虎(仲代達矢)、大井夫人(風吹ジュン)夫婦。
 このお二人とも若い頃から知っています(以下、面識はないです)。信虎の狂気は怖かったです。いつ周りの人を斬り殺すのか、とはらはらしました。クルミを手でゴキゴキこするのが耳に残っています。クルミは信玄もおなじでしたけど(笑)。大井夫人は若干若く感じられました。この方、昔は歌手だったと記憶しているのですが、どうなんでしょう。大井さんは、由布姫を諏訪に帰した発起人だったようですね。息子の側室が、手に負えない気性の娘であるのが発端でもあり、同じく、自分自身が信虎に負けた人を(たしか)父にもつ身だから、由布姫を地元に帰すことが、幸せと思ったのかもしれません。地元なら、由布姫はたった一人の諏訪家跡継ぎですから、粗略には扱われません。そうそう、由布姫の弟を、駿河に出家させるときの大井夫人の悲傷は、胸をつきました。

武田信玄(市川亀治郎)、三条夫人(池脇千鶴)夫婦。
 晴信(市川亀治郎)さんと三条夫人(池脇千鶴)のことですね。亀さんは良い役者だと思いました。とくに坊主頭になってから、その衣裳のせいでもありましょうが、まるで信玄公その人になっておられました。独特の歌舞伎口調がはいった、場面それぞれのミエを切る姿がぴったりとおさまっていました。凄みがあってちょっとヤーらしく、愛嬌もあって、眼を細めた思慮深さと陰惨さと、目を開けきった怒気、罵声、なかなかものすごい役者ですよ。同性から生身の亀さんをみていると、なんとなく現実の幸さん(由布姫)にどう接するか迷いがあったようにも見えました。その姿が、かえって手を焼いている役姿とかさなって、リアルでした。

 さて三条夫人、嫁いだ頃の京言葉「晴信さ~ん」、これ絶品でした。由布姫を訪れた時の複雑な表情。それぞれが最優秀と思いました。池脇さんのことは、対する柴本さんと同じく、語ることがおおいので簡単に。おそらく大河ドラマをみた壮年男たちはこう言っていることでしょう。
「そうだな、妻にするなら三条夫人。恋人にするなら由布姫だろうね」
 こういった、男達が勝手きわまる性根をもっているのは、女性達と変わりはないものですね。世の中ちゃんとバランスがとれているものですって、さ。
 で、一つ言えるのは全編はらはらどきどきの風林火山でしたが、三条夫人が出てくるとほっとした、というのが視聴者の一人、わたくしめの偽らざる感想ですね。

武田の諸将
 NHKの登場人物表には七人の侍が出ておりましたが、板垣信方(千葉真一)と甘利虎泰(竜雷太)、そして小山田信有(田辺誠一)の三人に触れておきます。
 板垣と甘利は、男性の高齢時における生き方に、見ている方が自信を取り戻せそうな印象を持ちました。二人とも現代換算するとたぶん70歳くらいの老武者に相当するはずです。それなのに現役。そういう覇気を味わいました。さらに、ふたりとも武田家への忠誠心が深いです。お屋形さまが優れものの信玄だったせいもありましょうが、脚本の忠誠心が生身の肉体で歩いている走っている刀をふりまわしている、そういう典型からの大いなる安堵感を味わいました。
 こいつらなら安心できる。こいつらに軍馬をあたえ、兵糧、金を渡せばなんでもし遂げてくれる。見ていて爽快でした。そうですね、私にこういう老将がいたなら、いまからでも遅くはない、さっそくゲチして~、そんな幻想を抱かせる老将達でした。

 小山田さんは、ニヒルさがふんぷんとして、武田家の一種の刺激酒でした。こういうぬえのようなとらえどころのない知性を晴信さんが信頼していたところに、風林火山の面白さがあったのでしょう。勘助は小山田さんに最初はずいぶんやりこめられたし、反撃もくらったのですが、最後は話が通じる二人になりました。小山田は、当初は晴信にすら二心を持った雰囲気なのに、結論の出そうな軍議では手のひらを返したように、あっさりとお屋形さまの意見にしたがう、そういう「君子豹変」の趣をもった知性に、目が覚める思いをしました。
 勘助にしきりに由布姫のことを話しかけ気にするところは、脚本の一つの伏線だったわけでしょうが、小山田は最後に美瑠姫に殺されました。姫の誤解もあったわけですが、これは勘助と由布姫の死別以上に、私には衝撃でした。由布姫の死は予定調和的な死と味わい、小山田の死は、理不尽と感じたのです。脚本への不満ではなく、生の不条理を小山田の死に顔にみた、ということです。

上杉憲政と北条氏康
 全員「役者やなぁ~」と感服いたしました。心底、NHKの底力に感嘆しています。これだけの役者を集めて、それぞれにそれぞれが重厚に軽やかに演じ、戦国末期16世紀の諸国を描ききった。日本史の教科書よりも印象が深いでしょうね。

 上杉憲政(市川左團次)、この関東管領の人の好さとか権威主義とか、遊興好きとか、いわゆるええとこのぼっちゃんがそのまま殿様になってそれなりの貫禄がつくと、かくありなん、そういう風情が全身からただよっておりました。悲憤慷慨したり、馬鹿殿エロ爺になったり、悲劇的父親になったり、関東管領の名にかけて威厳をたもったり、本当におおいそがしの役柄でした。

 北条氏康(松井誠)、若き日に、訪れてきた勘助にサザエや酒をすすめておいて、自分は生煮え貝はあたるとか、酒は判断を誤るとか、ごたくをならべて箸も杯も手にしない一夜の場面が鮮やかに甦りました。声調に独特のものがありますね。気に入った役者です。

今川義元(谷原章介)、寿桂尼(藤村志保)、雪斎(伊武雅刀)
 三人組の悪役ではないのですが、ドラマに独特のワサビを効かせたのが今川家でしたね。義経の時も後白河法王(平幹二朗)と、えっと夏木マリさんかな、と、草刈正雄さんでしたっけ、ものすごい性格混成軍団がおりまして、懐かしいです。
 義元役の谷原さんはどうしても過去の新選組を思い出してしまいます。インテリの伊東甲子太郎役で、参謀でありながら脱退して御陵衛士という別隊の頭になって、あえなく土方歳三さんらの粛清にあって死亡という悲劇的役割でした。で、今回も、途中からその当時の姿がちらちらして「ああ、また死ぬのぉ~」と悲しみながら見ておりました。
 勘助にむかうと、なにかいいようもなく悪心がほとばしり出てきて、イジメ。それが伏線とは言いながら、せっかく勘助から桶狭間なんかで休憩しちゃいかん、と忠告されたにもかかわらず、胸の底から突き上げる衝動で反対の策をとり、あえなく信長に討たれてしまった。

 その母親の志保さんは、常に息子の短慮をいましめ、勘助の知謀を重くみ、今川家を守ることに腐心しました。しかし、由布姫の弟を、越後の軍師宇佐美の誘いにのって信玄暗殺に向かわせたところで、勘助の怒りをまねき、あえなく今川は信長に敗れることになりました。いろいろ見てみると寿桂尼という人は歴史的にも今川家の隆盛を維持した女性として著名な人のようです。藤村志保さんには、複雑さを秘めた、しかし京女としての上品さを持った聡明な女性として、似合っていた役と思いました。

 さて、でました雪斎(伊武雅刀)、不気味でした。どのくらいの腹黒か想像もつかないほど、妖しげな目つき、立ち居振る舞いでした。この坊主がでてくると、わたくしめは心から喝采をあげたものでした(遠い目)。思い出してみると以前のNHK古代もの「大化改新」で、たしかに、蘇我石川麻呂役じゃなかったでしょうか。事件当日、入鹿や三韓使節の前で上表文を読み上げ、緊張で震えた重臣役でした。すごかったです、声が裏返るのです、名優ですよね。
 今回風林火山でも一仕事終えて自宅で酒を飲む、その杯の重ね様は今後何年もMuの脳裏をさらないことでしょう。酒を飲むにも、その名演というのは視聴者の心を掴むものだと思いました。そのままあっけなく脳梗塞のような状態で死ぬわけですが、このことで、今川は終焉を迎える一段を登ったと思いました。寿桂尼と同じく、勘助を重用しました。腹の探り合いではあるのですが、怒気とか好き嫌いを押さえて、双方に益になることを求める、ひとつの軍師の典型でしたね。


 さすがに、一度ではまとめられませんなぁ。
 そろそろ夕餉ですし、
 続きはまた後日。
 それより、風林火山正編を見ましょうよ。

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コメント

毎回かかさず、風林火山を楽しみにしながら、月~土までを過ごしていた自分がいます。来年度は苦手な時代なので興味がわかない自分がいます。再来年に期待して、風林火山の録画を見ながら過ごそうと思っている自分がいます。本当に勘助役の内野さんの演技、武田信玄役の亀ちゃんの演技政虎Gacktさんの演技、他の役者さんの演技とどの方も素晴らしいもので、45分が短く思いました。そしてこの1年間もあっというまでした。今日は、寂しい気持でいっぱい、Bshi,総合、Bs2と土曜日の再放送としかと目に焼き付けようと思っています。きっとウルウルになるでしょう。

投稿: タカ | 2007年12月16日 (日) 10時51分

タカさん
 はじめまして。
 「Bshi,総合、Bs2と土曜日の再放送」
 こんなにも放映されているとは知りませんでした。Muは「総合」しか見たことがないです。しかし、それだけ御覧なら、Muの感想文はよまれなくて結構ですよ。気恥ずかしい限りです。一回だけ見て感想記すのは、思い違いや不正確なところもありますからね。

 役者のことは、本編「四方山話1」で、今夕にちょっと記しますので、またご笑覧ください。

 たしかに、よい配役陣でした。主役級はよいとしても、脇役やちょい役が多彩でしたね。みなさん、その時代の人になりきっていたような印象でした。

 そうそう来年ですが。
 幕末ものは、苦手のようなコメントでしたが、それはそれで薩摩の篤姫が、花のお江戸に来て、結局幕臣たちを納得させるのですから、大奥ものでもないし、騒乱の京都ものとも、ひと味違った新機軸と、期待できるんじゃぁ~ないでしょうか。

投稿: Mu→タカさん | 2007年12月16日 (日) 12時36分

勘助の初恋のひと、
ミツ役の貫地谷しほりさんも可憐でしたね。

さっさと風林火山の画面からは撤退して、
秋からは朝の連ドラ、「ちりとてちん」で、
コミカルな演技を披露しておられますが。

風林火山の最後の言葉が、このミツさんの言葉で
締めくくられていたのも優しい後味となりました。


伝兵衛の有薗芳記さん、太吉役の有馬自由さんも、
土臭くて面白みのある役をよくこなしていました。
最後まで、このお二人には大事なお役があったのですね。
特に伝兵衛が、戦場の累々の屍の中で
勘助を探し回っている時の
めちゃめちゃハイトーンの大声と、
勘助の首のない亡骸を見つけたときの、
つぶやきうめくような「かんすけ・・・・」
という言葉のコントラストが印象的でした。


投稿: 伽羅 | 2007年12月16日 (日) 23時48分

まいど、伽羅さん

1.ミツ
「貫地谷しほり」を「ちりとてちん」で見ることがありますが、多才と思いました。風林火山から別の世界へすっと溶け込んだのも才能と味わいました。

2.伝兵衛(有薗芳記)と太吉(有馬自由)
 家族の痕跡が見えない勘助にとって、彼らが一家、家族そのものだったようです。二人によって無事冥途へ旅立てたのですから、ドラマの結末としてこの二人は重要な役柄だったと、視聴者にもわかりますね。序盤は多少ざらざらしたのですが、勘助が出世してからは、ずっと、空気のような味わいでした。
 風林火山の成功の素は、こういう役柄にあったとも思えました。 

投稿: Mu→伽羅 | 2007年12月17日 (月) 04時31分

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