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2007年11月12日 (月)

少年司書ロボ1号(1) タンサーボーグの組立

 最近ロボットについて考えていたところ、バンダイロボット研究所が一昨年あたりに出したタンサーボーグ(TansorBorg)という、一見玩具のような虫型のロボットに気がつき、内容を十分に考えた上で入手した。
 実は、このキットは、ネットタンサー(NetTonsor)という無線LANを使った相当に複雑というか高度な機能を持ったセットの一部である。虫型だけを独立して入手することもできるが、まとめて手にした。
 全てを話し込むと、複雑になるので、今回はその虫型部分(タンサーボーグ)の概要について記しておく。

タンサーボーグのテスト走行
Testtsbavi
動画1(Mac&WIn)ダウンロード testTSB.mp4 (3755.7K)
動画2(Windows)ダウンロード testTSB.wmv (3318.0K)

タンサーボーグ(TansorBorg)のセンサー群

タンサーボーグ(TansorBorg)のセンサー
 タンサーボーグの特徴は「センサー」にある。つまり人間にたとえるならば、目や耳や触のことである。
 そのことは、自律型ロボットの原型を意味する。
 そしてキット全体の「ネットタンサー」まで含めると、簡単な視覚まで持っていて、それが無線LANで操作できるのだから高機能ぶりがうかがえる。
 自律型ロボットの要素として、現在の主流「人型二足歩行ロボット」の場合は、ジャイロセンサーというのを用いて、安定した姿勢を保つ、そういう機能が普及している。軍用にさえ転用される高度なヘリコプターの自律制御の原型である。
 タンサーボーグの場合には、そういった運動機能を向上させるよりも、純粋に五官の一部をシミュレートする方向に力を注いでいる。
 具体的には、赤外線を照射し、その反射によって前方障害物を感知し、あらかじめ組まれたプログラムに従って、回避(後退、右折、左折、停止など)することができる。他にもサウンドなど様々なセンサーが組み込まれている(写真をクリックされたし)。

タンサーボーグ:TansorBorgの部品一式

タンサーボーグ:TansorBorgの部品一式

動力本体部と制御基盤
 タンサーボーグは組立キットだが、組立自体は少年司書ロボ0号での「プチロボX」組み立て(参考1)のような妙味はない。つまり、工作に重点は置かれず、次号あたりで掲載予定の「センサー情報を処理するプログラミング」に目的がある。
 このあたりにこのキット、そして視力を備えた「ネットタンサー」まで含めたセットの大きな目的があると言ってよい。バトルなど運動機能の華麗さをロボットで実現するのではなくて、自律型ロボットの原型を確認することに目的がある。だから、複雑な工作は二の次で、「自律ロボット・プログラミング」の実習をするために、生まれたと言って過言ではない。見ていて、私はそう思った。
 (ここでの自律型ロボットとは、センサーによって多様な外界情報を受け取り、それを疑似AIシステムによってどのように処理すれば、あたかも意志あるごとく振る舞うのか、という意味で使っている)

センサーであふれたタンサーボーグ

タンサーボーグの側面

タンサーボーグの正面

側面(右側)の明暗センサー

ラインセンサー:床下の明暗感知

 写真のような様々なセンサーを実際にプログラミングする場合、この「タンサーボーグ」単体では、画面上にフローチャート(流れ図)を書き、そこに分岐を多様に組み込み、もしもセンサーAがこの値ならば、左右車輪を高速で回し、30センチ前進させる。
 あるいは、一定レベルの音を感知した場合には、右車輪を前転させ、左車輪を後転させ、その場で信地転回をせよと命令する。
 このような、様々なセンサー受容器からの信号量を計り、分岐を多用することで自律走行、自律行動を可能としている。それらが、グラフィカルに流れ図を描くことで、プログラミングできる。
 この点については、次号で掲載予定。

参考1
 少年司書ロボ0号(01) プチロボXの概略(MuBlog)

追補
 少年司書ロボ0号(プチロボX)と、今回の少年司書ロボ1号(タンサーボーグ:ネットタンサー)とは並立したものです。
 0号では、人型二足歩行ロボットという、複雑な多数サーボモータの連携操作を実際にシミュレートし、この1号では多様なセンサーからの情報を処理することで、自律型ロボットの外界情報連携操作をシミュレートするものです。
 両者はいずれ、統合されるものですが、現在はそれぞれが黎明期なので、それぞれの要素を個別に実体験するほうが、実り豊かだと考えました。

 0号の歩行や運動についても、メーカーがサンプルとして提供するスクリプト以上のものを作るにはそれなりの経験が必要です。また、この1号のシステムはプログラミングについては比較的分かりやすいものですが、センサーを見かけ上並列して処理する体験はまだ私にはないので、これもある程度基礎を体験する必要があります。

 この点で、虫型・タンサーボーグ単体ではなく、無線LANを操るネットタンサーまで同時に扱うことも考えましたが、これは人知れず(笑)、とてつもなく高度な機能を持っているので、基礎を固めておかないと、メーカー提供のサンプル実行だけに終わる危険性さえあります。
 基本的にしっかりしたシステムを、設計思想以上に多様に使いこなすには、やはり、(能力・年齢的にも)年季が必要だと考えた次第です。
 今後、じっくりMuBlogロボット記事をお楽しみください。

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コメント

クワガタのような

 0号は二足歩行、1号は自律型、を狙った。
この1号くんは(くわがた)ですね。

 同じラジコン(無線誘導というほどの意味)でもJOさんの飛行機とMuさんのロボットではずいぶん違いますねえ。
あとジオラマというのもありますが、あれはラジコンとは別世界なのでしょうか。

 昔、宝塚の(手塚記念館)に付き合ったことがあります。
考えてみれば手塚治虫さんという人は不思議な先進的なお方でしたねえ。
Muさんの自律型ロボットとJOさんの飛行機が結びついて、やがて鉄腕アトムが登場するのでしょうか。

 その時にはふうてんはソニーのハイビジョン・デジタル・ハンディカムでも持って取材に行きましょうかね。

投稿: ふうてん | 2007年11月13日 (火) 01時12分

ジオラマというのは、景観模型と思って使っています。

ふうてんさんが手塚記念館に関わりをもったとは、ちょっと知りませんでした。いろいろなシステム関係のことでしょうね。漫画データベースとか。

Joさんの模型飛行機は、たぶん、Joさんが操縦するから飛んだり、落ちたりするんでしょう。二足歩行ロボットも、操縦して動かすのがあるようです。

ロボットという言葉には、勝手にロボットが考えて動くという意味を感じますから、こちらから直に動かすという面では、違いますね。もっとも、そういう振る舞いをするプログラムは人間が、今のところは、作るわけですから。

記事中の無線LAN使用「ネットタンサー」は、LANで操縦するというよりも、LANを通して自分のPC上で、ロボットからの情報(視覚、その他)をモニターできるという意味が強いですね。それに応じて、人がなんらかの制御命令をだすことも出来ますが。

ところで、ハイビジョン・デジタル・ハンディカムって、入手されたのですか。なにかしら、高価に思えます。そういうなのも、ロボット化したら、楽しみが減りますね。勝手に歩いていって、ジーコ、ジーコと唸りながら、勝手に対象を選んで撮影記録する。
宇宙探検ロボットだと、そういう雰囲気でした。

投稿: Mu→ふうてん | 2007年11月13日 (火) 06時03分

ロボコン

 毎年アジアの大学同士でロボコンの試合がありますね、自律ロボットはセンサーで探査して動くものですね。

今年はベトナムは負けてしまったけど、二年連続で優勝していました。

 さて、ゴキブリとかネズミとか捕獲してくれる自律ロボットはどうでしょうか?夜中に活動させてゴキブリと対戦するのです。

相手を見つけると、周りにゴキブリホイホイを並べて逃げれないように追い込むのです。

 完成したら、メキシコに輸出したいと思います。

投稿: jo | 2007年11月14日 (水) 12時43分

JOさん、ごぶさたしとります。
 ちょっと鬱っ気がぬけなくてねぇ、低迷です。
さて、
 ロボット模型へりも、自律型ですよね。自動航行するわけですね。あれのセンサーは、まずジャイロセンサーと、それからGPS利用の経緯度センサーでしょうか。さらに地形図を判定する目もあるのでしょうね。
 敵ミサイルを感知するセンサーもあるだろうなぁ~
 模型の小型、虫型へりと言っても、軍事用としておっとろしい能力を秘めているのは事実でしょうね。

注記
 2004年8月20(金)曇:昆虫ロボットヘリの話
 http://asajihara.air-nifty.com/mu/2004/08/200420.html

 そうそう、ネットタンサーのセットですが、国外に持ち出したらあきません! と書いてありました。
 玩具じゃなくて、研究用というか、ちょっと改造したら、ゴキブリほいほいロボットに転用される、……。想像すると、本当に怖くなるので、書くの止めます。バイオ(と、謎の単語)

投稿: Mu→Jo | 2007年11月14日 (水) 17時01分

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