« 小説木幡記:2007/11/25(日)TV三昧 | トップページ | 点と線/松本清張:TVで観た「新・点と線」 »

2007年11月25日 (日)

NHK風林火山(47)決戦前夜

承前:NHK風林火山(46)難攻不落の小田原城

成田長泰の忍城(おしじょう)→浮城

埼玉県行田市本丸

成田長泰
 彼は北条とは相性が良かったのか。彼の忍城は後世、1590年に秀吉が小田原攻め(つまり、北条攻め)の際にも、石田三成の水攻めをしのいだ城。
 ガクト政虎に馬上から引きずり下ろされた理由は、関東管領上杉政虎に下馬しなかったからとドラマでは描かれた。古来「下馬礼」があって、天皇・皇族・公卿に対しては礼を尽くさねばならない。が、乗馬自体が一般に武家に属することだから、朝廷の定めと武家の定めとは微妙に異なることだろう。関東管領職は、室町幕府の職制である。だから、成田長泰がどのような立場で下馬しなかったのかは、朝廷との関係、つまり官位では計れない。
 これがたとえば、天皇に供奉する騎馬武官は、行幸時、自分よりも目上の皇族に出遭っても、下馬しない。これは分かりやすい。その武官は、天皇の行列と一体化しているから、他の何物にも拝礼する必要はない。

 ところが国司とか守護とか、入り乱れた世界では、一応朝廷の定めた位が従五位あたりだから、分かりにくい。上杉謙信は生前従五位下だし、武田信玄は従四位(じゅしい)下である。もしすれ違ったなら、ガクト政虎は信玄に下馬の礼をとる必要があるが、それは信じられない。

 ドラマでは成田長泰が名門だから、下馬の拝礼をしなくてもよいとなってはいたが、こういうことは力関係なのだから、関東管領を継いだガクト政虎に下馬礼をしなかったのは、もし事実ならば、異様な風景だったに違いない。
 戦国時代は、下克上の世界だったからこそ、今、現にパワーを持った者に対する非礼は、喧嘩を売ったのと同じだと思った。有職故実、故事来歴をたたきつぶした時代が室町末期だったのだろう。だからこそ、新たな権力者に下馬をしなかった成田は、ガクト政虎に打ちすえられた。

見どころ
 ガクト政虎が太刀を左手で前にかざし、右足を後ろに引いて、檄をとばしたのはさすがに決まっていた。部下達は彼を毘沙門天と仰いでいた。戦とは、参謀や大将にとっては理屈がまさる仕事だろうが、戦う兵士にとっては理不尽で、無理強いされている所も多いから、味方の大将を神仏と拝める軍団は、それだけ強くなるのだろう。

 勘助のセリフまわしがますます老成、老獪、重厚になってきた。勘助も政虎も、敵の心はある程度読めても、身内や側近の気持ちはいまひとつ焦点をはずす。リツを香坂弾正に嫁がせる算段も、最初はリツに「旦那さま」と呼ばれて、外してしまった。だが、勘助亡き後どうなるのか、気にはなる。
 リツの実父、原さんはどこに隠れているのでしょう。

 海津城の守備はどうなっているのか、鉄壁なのかどうか、そのあたりはまだ描かれなかった。その点で、関東進出も、成田を馬から引きずり落とすこと、伊勢を人質にとること、敵の矢面に立つこと、それぞれにガクトの活躍はあった。本心なれば、小田原城の攻防を内外からもう少し精細にえがいてもらいたかったが、まあ、これでよし。

 今夜は真田も、平蔵もそれぞれ決戦前の覚悟をしていた。
 ところで葛笠村の人達は、今夜、伝さんが信玄公から「三すくい、の褒美」をもらってうはうはしていた。黄金を両手に三杯だから、数千万円ほどの報奨金だろうか。憶ではないにしても、これは嬉しい。余もわかいもんたちに、札束二掴みほど許したいものじゃ。あはは。せいぜい、チョコか柿のタネを片手一杯が限界じゃ。

|

« 小説木幡記:2007/11/25(日)TV三昧 | トップページ | 点と線/松本清張:TVで観た「新・点と線」 »

NHK風林火山」カテゴリの記事

コメント

第四回川中島の戦いに出陣するに際して、
Gacktの鎧一式が新しくなってましたね。
青色で度派手になったというか。

大河の衣装さんが、Gacktさんなら衣装負けしないだろうとのことで、出来るだけ派手に作ったそうです。
赤系の武田信玄に対し、青い鎧のGacktの対比が、お互いが一騎打ちをする上でも
いいコントラストになるという計算もあってのことでしょう。

出陣の檄、「運は天にあり、鎧は胸にあり・・・」
のセリフ、以前の出陣の時にも言ってましたが、
今回は途中からちょっとバーションを変えてましたね。
「いざ、出陣じゃ~」流石に迫力ありました。

投稿: 伽羅 | 2007年11月26日 (月) 01時13分

カイロスの伽羅さん
 青鎧ですが、奇抜でど派手な戦装束は理にかなっていると思いました。
 装束だけで敵がひるんだりする事例はたくさんあるようです。

 ガクトのセリフで、関東管領の職責よりも、越後守護の責任感を姉の前で披瀝していたのが気に入りました。為政者は民の安泰を計ることに業務目的(笑)を置くという普通の話を、ガクトの重みで話すと、「そうか、そうなんだぁ」と思わず納得してしまうところに、役者の力がありますね。

予告編では、変な婆さんが一瞬眼に止まりました。シェークスピアの芝居に思えてきました。
 義経の時もそうだったけど、妖しい老婆は物語という肉塊をタコ糸で縛り上げて、そこに通す一本の編み棒みたいな衝撃力を持ちますね。うまく肉汁が出てきたら、手頃な焼き上がり、とか。

投稿: Mu→伽羅 | 2007年11月26日 (月) 04時38分

昨日の大河、ガクトの演技とセリフには、
渾身の力が籠められていましたね~。
見ているほうも、心震えました。

うちのブログに書きましたが、
今日創刊のN/S EYES ONという
フォトカルチャー誌があるのですが、
Gacktの華麗なフォトと、
Gacktの考え、
大河ドラマの裏話など満載で、
とても豪華な内容でした。
できれば多くの人に見ていただきたい。

ところで
次回登場の謎の老婆は、
ネタばらしになるといけないので
あまり言えませんが、
大河ドラマ25年ぶりに出演の
往年の「魔」女優のようです。
川中島の決戦に大きな影響を与えるようで・・・・

投稿: 伽羅 | 2007年11月26日 (月) 19時15分

カイロスの伽羅さん
↓御記事、読みました。
http://blog.livedoor.jp/ideamilia/archives/50744551.html
「彼は、孤高でありながら博愛的で、
人を超えるほどの高みに登りながら
あらん限りの心を籠めて、
人生とこの世界を 愛しているのだ。」

 この評価だと、ガクトは仏陀や聖徳太子、そしてキリストに似た宗教的教祖なのだと思いました。
 人びとを惹きつけるのは、容貌容姿や演技だけではなく、心底から「何かに」突き動かされた原理のようなものがあるのでしょうね。

 昔、キリストを「スーパー・スター」と言った流れがありました。抹香くさい仏陀も、実は当時、スーパースターだったと思います。

 ガクトは一代で終わると思いますが、伽羅さんの文章を読んでいると、彼を知った多くの、特に若い人が熱中するのは当然と思いました。
 きっと、ガクトには「なにか」があるのでしょう。そのなにかは、現代の荒んだ虚ろな精神風景を埋めるものだと思いました。

ところで某「緑」女優のことですが、楽しみです。脚本や演出も、ちょっとした遊び心を出すのでしょうね。

投稿: Mu | 2007年11月27日 (火) 06時00分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: NHK風林火山(47)決戦前夜:

» 風林火山 第47話 [一期一会の彩りを求めて・・・]
前回、馬上を降りなかった成田長泰(←古来下馬せずに挨拶すること許された名門出身)をGackt政虎が物凄い形相で打ち据えて終りましたが… [続きを読む]

受信: 2007年11月27日 (火) 21時57分

» NHK風林火山(48)川中島・山本勘助の最期(1) [MuBlog]
承前:NHK風林火山(47)決戦前夜  今年の大河ドラマも12月に入りました。Muはこの「風林火山」の主人公を山本勘助(内野聖陽)と考えていますので、今夜から3回にわたって「山本勘助の最期」というタイトルにしました。三夜観ることで、なぜ軍師山本勘助が上杉政虎(ガクト)や、軍師宇佐美(緒方拳)の策に討たれたのかを、ドラマとして考えてみます。そして、武田信玄(市川亀治郎)の判断がどう関わっていたのかも... [続きを読む]

受信: 2007年12月 2日 (日) 21時54分

« 小説木幡記:2007/11/25(日)TV三昧 | トップページ | 点と線/松本清張:TVで観た「新・点と線」 »