私の京都:ブックファースト京都河原町店
コトクロス阪急河原町(ビル)ブックファースト3~6階
京都近辺に住んでいる人で、阪急河原町(四条河原町)をご存じない方はいないと思うが、先週「葛野図書倶楽部2001」の面々と話していたら、「南座」をご存じない学生が多数おってな。倶楽部には遠隔地の遊学者が多く、秋田、千葉、静岡、新潟、福井、岡山、鳥取、愛媛、滋賀、京都と多様なのだ。仕方ないので、四条河原町の地図をまず冒頭に掲げたが、さて、地図を読めない「女子」は多いらしいので、無駄無駄しい親心かも。
ブックファーストの風景
ブックファースト(Book 1st)が京都にできたという、新情報だった。京都の大型書店に興味はあるが、書店評論家の看板を掲げているわけではなく、こういう情報がMuあてに来たことに、少し不審だった。しかし差出人は、一種の図書館マニア、書店マニアの趣き濃い人なので、素直に受け取った。
場所としては丁度良いところだった。往き帰り道だから。実は、この近辺の高島屋にもそれなりの書店はあるのだが、そこには何人かのマニアチックな見知りの人が勤めているので、気恥ずかしくて立ち寄れない、シャイなMuであった。
そんなところで、清純女優の写真集なんか買えないじゃない脳(嘘です)。
そういえば、余があまり図書館通いしないのは、そこここで見知りの司書からチェックをされそうな強迫観念に包まれて、立ちすくむのじゃろう。あはは。
ブックファーストの結構
一通り全階を見て回ったが、やはり京都に再度進出するだけあって、小さな工夫が一杯見えた。もちろん書店評論家じゃないので、「そんなこと、今時、当たり前」かも知れないが。
まず明るい、しかも軽薄じゃない、書店とか書店員の細かな設計の表れが感じられた。明るさの中に「書店」という重厚感、プライドが見え隠れした。「バカ本でも、売れればよい」という昨今常識をカバーしながらも、「こっそり、良い本、一杯ありますよ」というプライド、それがありましたね。必要な図書はすぐに買えたし、関連図書も一杯ありましたなぁ。(Muの求める本は大抵、図書館にも、大型書店にも、ありませえん)
要するに、気に入った!
目だったところでは、「コーナー」というか分野ごとの小空間が、まるで小部屋のようにそこここに配置されていることだ。大抵そこには椅子が数脚あって、丁度、書庫の片隅の空間、もしもキャレル(ちょっとした椅子と机)があれば、現代図書館と変わらない。
そうなのだ。
限られた空間を書庫的に造作しておるね。その、多少の狭隘間が肌にせまってきて、包み込まれたような味わいがありましたよ。
それと。
近頃の書店は、「趣味」「ホビー」に重点がある。これを最初に感じたのは、三条・新京極の紀伊國屋でしたが、ブックファーストも実に丁寧に趣味本・雑誌を収集しておりました。Muは、稀な図書を入手して狂喜したあとは、ミステリと、そしてこの「趣味」コーナーを動きませんでした。「時計、懐中時計」は、男性のファッション部門にあったのですが、これは知りませんでした。
このブックファースト、末永く京都に居て欲しいと思いましたよ。
伝統ある「丸善」大書店の跡ビルは、おお、真っ昼間から茶髪鼻ピアス青少年のたむろするカラオケビルなんだ。そういうファッションも現代なら、新装なったブックファーストも現代。ただし、Muは前者がなくても痛みはないが、後者の現代が消えると、悄然とする。
河原町の古民カフェ:インパルス
このインパルスは繁華街のど真ん中にある洒落た珈琲店で、これまで何度か入った。京都らしく間口は狭くても奥までずっと深くて、落ち着く。
店の由来は知らないが、ブックファーストの上階にある喫茶部に後ろ髪引かれながらも、結局伝統的古民カフェまで足を伸ばした、わけ。餅は餅屋と言うが、本は本、茶は茶と、Muは無意識に区別しておるようだ。
この後は三条まで歩いて、幕末史跡石碑や美味しい所の写真をとって、三条京阪から特急に乗って帰りました。先週日曜日の午後のことでした。
盛りだくさんのMuBlog過去記事
承前:古民カフェ:私の京都・河原町通{四条→三条}
承前:京都の書店
承前:新装のジュンク堂BAL店:私の京都・河原町通{四条→三条}
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コメント
多摩地区にもブックファーストが
記事を拝見して興味を覚え、ブックファーストのホームページを見ました。
阪急が(駅ビルの書店)という発想で10年ほど前から始めたのですね。
東京進出は1998年の神田駅前店が最初のようです。
(古本の街神田というところにも意気込みが感じられます)
多摩地区では今年八王子に出来たとあるのでいつか寄ってみたいと思います。
センスが良く、ちょっとハイ・ブロウなホームページで思いが伝わってきます。
名前の由来、ロゴマークが何故フレンチ・ブルーなのか、などなど。
Muせんせ~、はまるはずやわ。
ブックファーストはブックオフとは大違いの店だったのですね。
ええ店教えてもらいました。
投稿: ふうてん | 2007年11月 4日 (日) 03時39分
ふうてんさん
じつは、ずっと長い間、ブックファーストと、ブックオフとを混同していたというか、同一系列の書店とおもっておりました。
パソコンパーツ店で、新品と中古品とを、店名を微妙にわけて営業しているところがありましてね。
いやはや。
ただ、今回のブックファーストは2006年初頭まであった京都の同店とは、まったく異なりますね。以前のは、それ以前に同一場所にあった「しんしんどー」の良さをそのまま引き継いでいて、いわゆる今回の「ブックファースト京都店」のおもむきとは違いました。大型店舗であることを、そのころはとても意識した造りでしたなぁ。
しかるに、このたびの「結構」は、思想的にも感性的にも、フランス革命並です。もちろん、Muが他の箇所の店(東京などの)を知らなかったから、今頃フランス革命だなんて死語るわけですが。
いや、ナウイ(きゃきゃきゃ)。もう、シティーボーイもシティーギャルも、この店に一週間に一回おとずれないと、心身が古くなる。そんな感じでしたよ。
デザイン、意匠。コンセプト。そういうことの虚業に属することの、現実的迫力を味わいました。書店が書店でなくなる、つまり従前の書店でなくなる。新しい書店が京都に誕生した。
と、Muは心底思いました。
あとは、恐ろしくて絶対に試さないけど、店頭にない図書を取り寄せ依頼したとき、どういう対応になるのか、それだけですね。
一応、店のblogには、他店にあれば数日とかいてあるから、ネット並とはおもうけど。
日本の図書流通って、特に書店と版元との関係なんて、いまだに江戸時代の商売と変わりません。悲惨です。「客」の、図書を思い焦がれる気持なんて、入る余地ないですよ。
追伸
大型書店(30万冊在庫らしいから、そう呼んでおきます)の機能を持ちながら、分野分野で、ひっそりした洒落た小店舗という、感じが一番よかったです。ブックファースト京都店は、うむ、優秀なデザイナーとかコンセプトクリエーターに投資したのかもしれませんな。
もうMu感性だけの話ですが、巨大フロアの仕切無し店舗は、運動場を歩いているような気分になって、疲れるこのごろですな。
投稿: Mu→ふうてん | 2007年11月 4日 (日) 08時54分