小説木幡記:2007/11/25(日)TV三昧
1.森博嗣の反語
最近のMLA:MoriLogAcademy で、「反語が通じない」という記事に興味を持った。要するに、これまで普通に中学や高校で余が学んできた日本語が、今の若い人には殆ど外国語並にあつかわれているということだ。だから、作家なんかは、現代の若い人に通じる文章を書くのか、伝統工芸品的文章で押し通すのか、腹をくくって決めた方がよい、という筆致だった。
余は、日曜作家兼極早朝作家なので、命がけで決心するほどのことでもないが、それでも身につまされるというか、世間の無理解(笑)に悩むことが多い。
実情として、余の日本語は2割程度しか通じておらず、常に翻訳官、通詞が数名必要になる。
もしかしたら高校教育が原因なのかなぁ。古文はあると思うが、漢文は無いのじゃなかろうか。漢文は日本人が漢籍を読みこなすために苦労して造った翻訳語だが、実に口調がよい。そして、反語とか比喩とか強調、針小棒大白髪三千丈、に満ちていた。否定の二重否定なんかあたりまえだな。あにはからんや、とおもうなかれ~と、かくあるとおもわざるはなし、~。あはは、実によい口調じゃありませんかぁ。これを捨てるなんて、なんの楽しみで生きていけるのか知らん、わけじゃない。
でオチは、森博嗣先生の小説は、実はものすごい皮肉と反語だらけなのに、それが書店に平積みされているということは、ものすごい皮肉やね。賞味期限改竄どころの騒ぎや無い。ものすごいミステリィ騙し。そして、読者は、その騙しにひかれて書店に通い図書館に行く。ようするに、どれだけ激しく騙されたかで価値が変動する。余はつねひごろ記しておるが、ものすごく毎回騙されてばかりなので、よい読者なのだろう。
ところで、年に一回程度、余が激怒して言うセリフは、若い人にはどんな風に解釈されているのだろうか。
「君みたいな横着な人は、司書の資格がない。余程反省し、性根をあらためないと、君を通すわけにはいかん!」
「いえ、先生。私、司書の資格が欲しいのです。今度こそ頑張ります、見ていてください!」
なんかねぇ~、謎は深まるばかり。
直言が通じない、そういう世界もあるんだぁ。
2.TV三昧
三昧(ざんまい)とは仏教用語で、精神状態が空(くう)にいたる修行をともなった瞑想の状態をさす。日常語では、どっぷり、○女の深情けにはまったような、あるいは対象と心身が一体化し恍惚とした様態を示す。早い話が、「はまった」「そればっかり」で、いいようにもわるいようにも使われる。
で、先程森先生を引き合いにだして反語なんちゃらについて書いたのは、実は、一瞬、タイトルに「三昧」という言葉を使ってしまって、迷いだしたからだ。余の用語には仏教用語も混じっていて、有名なのは「おしゃかになる」用法であった。この度は、三昧したてなので、はてこれが世間で通用するタイトルかと、迷いだした次第。
ままよ、結論に至ろう。
3.点と線(松本清張)上下、聖徳太子がぶっとんだ、風林火山
昨日土曜の夜に、点と線がTV(朝日系)で放映された。ビートたけし主演で、丁度犯人の東京駅空白の四分間トリックが割れて、いよいよ北海道旅行と香椎海岸の同時存在トリックくずしが、今夜になる。
書き出すといろいろあるのだが、今夜の「下」を見てからにしよう。すでに、小説については読書感想文をMuBlog に書いておいた。
さて今夜なのだが、午後七時から聖徳太子さまの、なかなかおもしろそうな番組がある。七時~九時までだ。聖徳太子さまについては、日出処の天子(1)/山岸凉子で読んだし、最近は「遙かなる大和/八木荘司」で太子さまの最期に涙を流した。学術的なものはおくにしても、昔、TVでモックン主演のを観て、感動した。
今夜の太子さまは予告では、西遊記なみにぶっとんでいる。しかし観ないことにはわからない。
ところが。
夜の八時~九時は風林火山じゃないですか。
さらに九時~十一時は点と線の「下」。
4.大結論
聖徳太子さまは録画して、ご飯を食べながら、最初の一時間だけ直鑑賞。残りは後日。
八時から風林火山を直鑑賞して、~。そこからが問題だ。
毎週、すぐに感想文を書き出して、夜のぎりぎり睡眠前に、MuBlogに投稿する。
だが、その九時から十一時までは、点と線。
昨日からものすごい葛藤に襲われて、鬱になりかけ。
第一、深夜十一時までTVを観るなんて前代未聞、まるで大晦日。
うむ。
解けない問題は、この世に一杯ある脳。
*.補足
結局、風林火山の感想も書けず、一晩眠ったら、すべて忘れて、「TVを観たかなぁ」と明日の一限目の授業で、頭の片隅に疑問符が踊っていることでしょう。録画データは永遠に見付けられない、3番の500GBハードディスクの奥底に沈みこむ。
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