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2007年9月16日 (日)

NHK風林火山(37)上杉謙信その前夜

承前:NHK風林火山(36)小山田の横死と美瑠姫の自死

 今夜のドラマはタイトルの「花」が不在だった。
 となると、どのような構成になるのか、好奇心満々でみはじめた。
 いくつかのエピソードで組み立てられていた。

1.関東管領上杉憲正(のりまさ)は、北条氏康の猛攻に耐えかねて、息子を部下(妻鹿田)に任せ逃し、自らは越後の上杉景虎に庇護を求めた。

2.その間、真田幸隆は、恩になった上杉家重臣長野の安否を気遣っていたが、硬骨漢の長野が北条に下る可能性がないことを思い、やきもきした。

3.山本勘助は、亡き小山田に代わって北条への使者というか、挨拶に出向き、北条、武田、今川の三国同盟構想を氏康に進言した。

4.婚姻による固い三国同盟は、越後の脅威が北条にも武田にも同じであり、背後の今川との和議こそ、後顧の憂いをなくすという、現実的な提言だった。

5.今川の姫→武田の太郎の妻、さらに武田の姫→北条の新九郎の妻
 となると、今川と北条との婚姻関係がなさそうだが、Muが忘れているだけかも知れない。

6.この頃の婚姻関係が両家にどれほどの結束をもたらすのか、実のところMuにはよく分からない。
 以前から危ういもとの思ってきたのは、おそらく異例の事実が史的に目立ちすぎるからだろう。たとえば、織田信長の妹が浅井の妻になったので結束は固いはずだったが、後日織田と浅井は大騒動になった。しかし、武田晴信も勘助もなんとかして、政略結婚で事をおさめようとしているのだから、それなりに効果もあったのだろう。

7.上杉憲正は無事ガクト・景虎に迎えられたが、そこで宇佐美から息子の死を知らされる。
 憲正が息子のことを頼んだ部下・妻鹿田は、竜若丸を北条氏康に差し出し、配下にいれてくれと頼み込む。
 氏康は竜若丸に太刀をもたせ、勝負の上で斬り、返す刀で不義の武士妻鹿田一統の首をはね、さらした。

8.一方、甲府では大井夫人が亡くなった。

 今夜のドラマをまとめると、
   大井夫人(晴信の母)の死、
   上杉憲正の越後への逃亡、
   武田を中心とした「北条←武田←今川」の三国同盟、
となろうか。

 大井夫人(風吹ジュン)の晩年は静謐に描かれたが、しかし夫人が由布姫、勘助、三条夫人の三人に、ドラマ2回を通して遺言したのは、どれも切実なのだが、難しい問題だった。

 ドラマの上ではほどなく由布姫が若くして亡くなり、四郎=勝頼が勘助の助力で武田を継ぐのだから、大井夫人の思ったようには進まない。この間、三条夫人と息子の世嗣・太郎との苦しみはきつかったと想像する。武田家の因縁じみた親子関係がまた再現される。
 しかし、そこに史実に近いドラマの佳さがあると思った。大井夫人の姿は真摯で苦労人の言葉の誠が切々としていた。しかし、後日それらの多くが果たされないという歴史を現代人は知っている。だからこそ、大井夫人の今夜の死が余計に胸にせまる。

 三国同盟は。
 これも難しい。今川はやがて上京し、織田信長と戦う。
 後(鎌倉執権北条とは無関係)北条氏は、そのあとずっと続き、秀吉に敗北するまで残る。
 武田は? と、ここまで書いて、それはネタバレと気付いたので止める。

 さて、上杉憲正のことだ。
 今夜あたりは、そろそろ上杉謙信の前夜と書いてもよいと思った。つまり、上杉憲正は景虎を養子にし、上杉の家名を残し、管領職もゆずったのが史実のようだ。もちろん紆余曲折もあろうが、今夜ガクトがはっしと目を開き<おまかせください>という雰囲気を憲正にみせたのだから、このあたりで世嗣を亡くした憲正の気持ちが、大きく景虎に傾いたと、とらえたわけだ。
 だから、今夜はガクト・景虎が上杉謙信と改名する、その前夜なのだ。

追伸
 それにしても内野・勘助さん、「姫しゃまぁ~」のセリフがないと、どうにもぴしっとおさまらない。
 周知のように、このドラマの主役は山本勘助である。
 勘助の相棒が諏訪の由布姫だという、その大筋さえ掴まえておけば、ドラマの複雑さに惑わされることはない。
 ゆめゆめガクトの華麗、晴信の渋み、宇佐美の老獪の魅力に惑わされてはならない。
 しかし、三条夫人、やはりなかなかよいものだ、ほっとする(笑)。 

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コメント

Muさん、こんにちは。
上杉謙信前夜祭という感じはしますね。
大井夫人の心配が単なる杞憂でないのがよりせつないです。

投稿: スペードのA | 2007年9月17日 (月) 16時47分

スペードのAさん
 大井さんの心配が現れるのは由布姫の死や晴信の親子喧嘩や勘助の暗躍に伴うとおもうので、その前後関係がまだ分かりませんが、秋からは悲しい話になりそうですね(笑)

投稿: Mu→スペードのA | 2007年9月17日 (月) 16時58分

私もMuさんとほぼ同じ感想で今回は見ました。
この頃の「家」意識は現代とは違うし、三国同盟の歴史的意義も「今だから言える」ことなんですよね~。
あと、三条は今回はすてきだと私も思いました(笑)由布や勘助と一緒でさえなければいい人です。

投稿: なったん3211 | 2007年9月19日 (水) 17時29分

なったん3211さん
 貴記事拝読、異存は御座いません。

 さて、家の意識ですが、多分、当時であっても家家、当主当主、場合場合によって、多少の揺れはあったと思います。

 ただ、みんな、「戦」の前には命がかかっているから、個々人の思いは通しきれないことが多いようですね。
 判断するのは家長というか殿様だから、名門であっても、上杉憲正さんの判断には従いたくないです。

 また、名門というても、たかが数百年前は大抵夜盗か強欲か、わけのわからんひとが創始者なのだから、子孫はその利子で名門風をふかしている。伊勢新九郎(後北条)が盗人なら、上杉も……。

 そう考えるところは、Muも戦後生まれの人間です(笑)

 なんか、現代、名門風を吹かすひとがいたら、いちいち先祖の悪行をリストして、意地悪したくなるなぁ~。あはは。名門「藤原」さんなんて、恥ずかしくってお天道様の下を歩けなくなります。
(おまえの爺さん、でべそ、とか)
 と、そういういろいろ家の事情があるのでしょう。

投稿: Mu→なったん3211 | 2007年9月19日 (水) 21時01分

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