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2007年9月21日 (金)

小説木幡記:2007/09/21(金)写真のない宴

近所の図書館から招待状をいただいた

Libannnai
 先週だったか、近所の図書館から「宴の夕べ」招待状をうけとった。なんでそれを受け取るのかは事情もある。ともかくこの3年近く毎年2回~3回は受け取って、その日になると、余はうきうきしてでむく。気持かろやかに出向くのは、どうも、昔から余は図書館とは相性がよいようだ。建物や本箱や書庫や大テーブルや司書さんたちの、どれもこれもが気に入っている。もしかしたら、余は「図書館」趣味、図書館マニアなのかもしれない。

 今夜、四条高倉の「たごさく:TAGOSAKU」なる創作料理店に招かれた。

 しかし年齢的に、ただ招待されて「いただきまぁ~す」ではすませられない。身内のような葛野図書倶楽部2001に対してさえ、それなりの寄付年貢を貢ぐ余だから、まして本式、ホンマ物の図書館相手だから、それこそ預金残高を空にするくらい喜捨してしまった。功徳なりや。

 例によって、Muチルドレンが3人もいて、そういう点でのアットホームな雰囲気は毎回保証されている。教師冥利に尽きることだ。だいたい卒業生は、人にもよるが、性格にもよるが、心映えにもよるが、爺さん相手でもセンセはセンセ、それなりの待遇をうけるので、気持良い。なにしろ夏期中独り言の世界、戦場のような心象風景の中で過ごすことが多いから、こういう宴があって、それなりの待遇を受けると、ほっとする。
 人間は、単純なのだ(爆)。

 余は大船にのった心地で、むしゃむしゃとサラダや竹輪もどきのチキンや、山海の珍味に舌鼓をうっておった。ついでに肉肉を、梅サワーやグレープフルーツジュースで、ぐびぐびいっしょに飲み込んだ。若者が好む、和風斬新な店で、薄暗い店内は一杯だった。店は一番若いチルドレンが選んだようだ。

 と、以上が事実記録。
 以下は相当な虚構記録。

 余が初めて言葉を交わす職員さんたちがいて、その三人の自己紹介を耳にした。みんな若い。若いということが力強く感じるほどだった。となると、生物学的には葛野図書倶楽部2001はもっと若いのだが、この倶楽部はときどき達観した人がいて、余の上をいく老成幹部もおるので、なんだか混乱してしまう。その点、ホンモノの図書館の職員さんたちは、すなおに、ナチュラルに、天然色的にわかわかしく思えた。ただ、薄暗かったので、鋭角が陰に消え、その分柔らかな部分だけが闇に浮かんでいたのかも知れないが。そのあたりになると、記憶も曖昧になる。

 一人は日本史の大学講師歴を持つ、弥生時代が好きな方だった。話は当然卑弥呼や弥生女性に及んだ。
 一人は淀城から葛野に通っていて、映画鑑賞が趣味らしいが、どうも妖しい。目を閉じた写真しか残さない妖しさだ。
 一人は声楽が趣味特技というか、雰囲気がオペラ歌手のような方で、今にも歌いだしそうな様子だったが、「また今度」と、余韻を残した。

 それぞれにおもしろき点、一杯ありそうだが、まだ見知らぬ人達なので、余は例によって無口に過ごした。余は軽い人見知りのようだ。
 ベテラン達と、なにかしら宿題の話をして、ぽつねんとしていた。
 そのうち、余は場所柄もわきまえず、ひたすらお墓の話をしだした。

 われながら、「こりゃ、もう、墓と年金しか余生にないなぁ」と諦めていることに気付いた。
 その上、だいたい、同年のオジサン二人の歓送迎会だからといって、墓と年金じゃ、いかにやさしいチルドレン達も、新人さんたちも、それこそベテランたちも、あはははは、困ってしまったようだ。
 せっかく招かれたのに、失礼なことをしたと思って、余はそそくさと席をたった。
 まだまだ、社会対応に未熟な余であった。

 ところで、さすがに卒業生たちは見送りがてら、みんなして、「センセのお墓つくるアルバイトに登録します」と、言ってくれた。ありがたいことだ、合掌。

追補
 1.携帯で写真を撮ったが、すべて真っ暗だった。余は木幡で頭を抱え込んでしまった。ヤキがまわったようだ。
 2.お墓話だが、実は後円部の直径がせいぜい10m程度の前方後円墳を造る話をしていた。
 3.すると、みんなして、それでは大きすぎる、バイトが数千人必要になる、となった。
 4.結局帰る間際には、
  「よっしゃ、全長2メートル、時間給2千円、ハンチク方式で土固め、どうや、乗るか?」
  「かしこまりました」と、手打ちした。今のところ3~5名確保した。
 3.明るい図書館のようだ。余はまた冬になったら招待されるのを期待して、タクシーに乗った。
  どうなんだろう?
  (今後は墓と年金話は御法度になるかもしれないな)

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