小説木幡記:2007/09/01(土)夏休み・宿題の相場
◎大学教授は三角縁神獣鏡説
昨日8月末で論文の基礎データ整理が終了した(無理矢理だね)。約80日かかった。7月末からは日に平均6時間、週6日間、フルタイムといえる。こんな豪勢な時間の使い方ができるのも大学教授だからだろう。どこの世界に、これだけの贅沢を許す企業があるものか。いや、ない。原稿料は、なし。完成したなら読者はいるのか、いや無し。意味はあるのか、いや多分無いだろう。自己満足か、そんなことはない、余は窒息しそうな思いでこのひと月を駆け抜けた。それが満足なら、余は超絶のMになってしまう、そんなはずは、断じてない。
(ちなみに、Mとは公然の秘密だが、S&MのM、つまり講談社「犀川&萌絵」シリーズの、萌絵さんのことだね、あはは、嘘)
意味はひとつだけありそうだ。
そういう職業が、まだこの日本にもあるという、厳然たる事実だ。
その職業に就く者の、全部とは申さぬが、何割かは、余と同じような一見超絶Mに近い日々を過ごしておる。していない人も、内心は「俺も、そろそろした方がよいな」と、思っているに違いない。
まあ、別のたとえで申すなら、博物館の三角縁神獣鏡のようなものだ。
その心は?
あんなものを磨いて顔を映して化粧するすっとんきょうな人は、どこにも居ないだろう。しかし、博物館にはあれが、せめて一面でもなければないで、寂しいものだ。
大学教授も、一部、そういう雰囲気だなと、余はおもっておる。
要するに、遊んでいる一部学生達への抑止力、鑑だな。
「この世には、勉強なんて無駄なことと捨てたりせずに、諦めず、勉強ばかりしている人もいるんだよ。君らも、卒業するためにレポート書いたり、卒論書いたりするなら、せめてあれくらいはがんばらないと、立派な卒業生になれないよ」という、そういう見本として、大学の先生はこの世に存在する。
さて、今日は9月1日、残暑残暑と耳にはするが、今日は雲も厚くて、外気温は先週よりも下がり、夕方に葛野のベランダに立ったら、気持のよい風があった。初秋だな。で、そういう気分佳さのなかで、今日はいよいよ論文の序章と第一章を書き出した。結論を含めて全部で6章構成だから、なんと一日で2/6→ 1/3もはかどったわけだ。基礎データ整理、つまりさまざまな実験、検証に比べれば、まとめて文章にしていくのはずっと楽だ。ただ、それでも9月一杯かかってしまう。今度は、文章装飾、別の手技が必要になる。
と、ここで目一杯、かこうと思ったが、タイトルとの関連で以下、メモしておくにとどめる。
◎2007年、宿題・代行業者の相場
夕刊(産経新聞)を読んでいたら、宿題の代行相場がリストされていた。夏休みの事だけと思っていたら、どうも年中営業のようだ。
1.算数の文章問題解答 一問 500円 (算数とあるから、小学生用か?)
2.読書感想文 2万円(多分夏期宿題だろう。それにしても高額だ。Muなら二掛けでよいでぇ~)
3.大学生レポート 2万円~(うむ、余も学生に宿題をだしているのを思い出した、あははは)
4.卒業論文 30万円 (おお。これは値が張りますね。Muなら「ヒミコの墓」で、ぐっとお安くしときますが)
5.夏期の工作 5万円 (葛野研でぇあ、透明ピラミッドタイプPC工作、部品代だけで、承ります)
6.夏期自由研究 2万円 (「アリの研究」とか、「水質調査」とかがあがっておりましたなぁ)
↑
上記自由研究なら、当方の葛野図書倶楽部助勤たちが、常時24時間お待ちしております。
サンプルとしては、未来の図書館、ミイラの研究、源氏物語大全、拷問の研究、オードリー、
その他、森羅万象、あらゆるテーマに関して、取りそろえておりますので、気兼ねなくご一報下さい。
優秀な部員が即刻、ご家庭までご相談に上がります。
お値段の方は、……。
というわけで、文部科学省も、識者も、ものすごく怒ってはりました。
「宿題の丸投げは、家庭学習の習慣を破る!」
「親も子も、お金でなんでも解決できるという、悪習に染まる」
さて、余がどうおもったかは、謎だな。
もともとモンスター親が大手をふって教育現場をかき回す時世なのだから、代金を支払うという殊勝さは、まだましかも(笑)
うむ。ただ、気に触ったのは、こういうことを代行する者のことを新聞が「有名大学の学生達」と書いていたところだ。「有名」というのが気にくわなかった。それなら、葛野の余が代行すれば、一挙に葛野が世界に冠たる大学になるのか。もともと葛野は有名だが、それにしても、別の云い方もあるだろう。
「偏差値だけ高い、ろくでもない学生が、こすっからい商売に手を出している大規模大学」とかな。
余もガクト並にいうと、「気に喰わぬ!」だな。
さてと、早速倶楽部幹部に相談して、わが葛野でも新商売を開拓しよう、とでも相談してみるか。
「夏休みの自由研究、すべて引き受けます。締切前日でも、速攻対応!」どうじゃろう?
しかし、幹部たちは、にべもなく、
「ボツ。うちら、そんなん、アコギな商売は厭どす。」となりそう。
| 固定リンク
「小説木幡記」カテゴリの記事
- 小説木幡記:楠木正成のこと(2013.06.07)
- 小説木幡記:腰痛と信長(2013.05.28)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント