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2007年8月19日 (日)

NHK風林火山(33)道安(内野・勘助)絶体絶命

承前:NHK風林火山(32)山本勘助:景虎と宇佐美の思惑

 つまり、今夜、あまりに上手に総てが動いたので、感極まって何を書いて良いのか解らない。要するに余韻にひたりたいという、もっとドラマを思い出して噛みしめていたいという気持だな。

 原作なのか、脚本なのか、演出なのか、内野・勘助なのか、緒方・宇佐美なのか、ガクト・景虎なのか、……。晴信なのか、大井・ジュンなのか、それとも由布姫なのか。一体だれのせいで、こんなに楽しいというか手に汗握るというか、爽快なドラマが見られるのだろう。やはり、NHK様か。いや、それを支える視聴者なのでしょう(実に、Muの日頃にないセリフやね)。

 と、いわばベタ褒め。これじゃ、栄光の、大河ドラマ日曜評論家Muの沽券にかかわるな。こんな甘い劇評では喰うてはいけない。ボランティア批評家でよかった。

1.一番良かったところ
 内野・勘助が春日山城の牢内で、ヨガというか、体操していたところ。じっと座ってばかりだと、エコノミー症候群にかかるから、ああやって、逆立ちしたり、屈伸したりするんだろうな。戦国軍師は、まず自らの身体を大切にしないと。これが、とてもリアルでよかった。

2.一番切なかったところ
 勘助が逆立ちしたとき、空耳というか由布姫の声が聞こえた。この声が吹雪の中の由布姫を思い出させて、まことに胸にせまった。場面変わって諏訪。甲斐からの知らせを聞いたとき、由布姫が「わたくしが勘助を助けてやりたい」と言い切ったそのセリフ。まことに、よろしい。

 考えてみれば、由布姫は15,6歳で勘助に出会って、みまかるのが20代半ばだから、たったの十年。その間九割方は、晴信から諏訪に置き去りというか甲府から離されて一人住まいのようなもの。晴信との子も一人で終わりだった。話相手は勘助くらいだったような設定に、自然になる。

3.時の流れ
 大井夫人がそろそろのお歳になったこと。晴信が唯一頭の上がらなかった母親も、ようやく「おばばどの」と孫の太郎に言われる時がきた。三条夫人とはうまく行っているようだし、旧家臣も晴信も大井夫人には懐いているが、それにしても夫・信虎追放劇を傍で見て、頭をそった時から、ここまで来てしまった。

 晴信に「お前は、村上に二度まで負けたのだから、もう戦はやめて諏訪一国と手をとって甲斐を固めるべきです」という意味のことを云ったが、Muもそう思った。Mu自身は、このセリフに賛同しながら、自分も防御タイプだと思ったぞ。

4.はらはらしたところ
 それは、もう内野・勘助とガクト・景虎との掛け合いだった。なにがどうだったかとは、もう思い出せないのだが、それは印象が薄いからではなくて、全体が一つのパックされた掛け合いだったので、一々を抜き出して感想を云えない気分だ。

 ただし、こうは白状しておく。
 あわやと言うときに、ガクトが懐から風林火山の紙をとりだして、それを勘助の図上に懐剣で突き刺して、それを狙う。そういう場面をみて、「これは、菖蒲の剣といっしょで、ガクトは外すつもりかな」と、安心したのだが。その後、カメラワークの巧妙というのか、紙と勘助の頭が重なって写ったので、「やはり、駄目か」と落胆した。

 Muの想定では(内心笑いながらも)、ここで勘助銃殺されて、あとは年末まで延々と総集編の小出し、回想場面でいくのかな、とさえ思った。
 あるいは勘助に双子がいて、ここで死んだのは本当は根来寺に預けられていた兄の方で、弟の本当の勘助はひょっこり諏訪の由布姫の前にあらわれて、「姫さま、ただいま帰参いたしました。ははぁ~」と頭を下げるのかも知れないとも思った。
 それくらい迫力ある絶体絶命場面だった。

5.どんでん返し
 しかるに。なんと、射撃する寸前に、根来の者が鉄砲百挺を持参したというではないか。結局、なんとなく晴信か由布姫か大井夫人かが、金を出させて勘助を助けたのだろう。まちがっても、「晴信さぁ~ん」の三条夫人ではなかろう。

 こういう場面展開には、ほとほと感服した。いや、じつは日曜作家を自任しておるが、この伏線だけはというか、このトリックは見抜けなかった。一体どうやって、助かるのだろうと、この一週間考え込んだのだが、でてきた結論は、「勘助、夏死亡で、年末まで回想番組」、これしかなかった。これじゃ、大河ドラマの脚本は、Muには書けないよねぇ。

*.エピソードの佳さ
 反抗する従兄弟が景虎の軍門に下ったとき、景虎が菖蒲の剣(つるぎ)で、従兄弟を一旦討ち果たしたポーズをとったところが感興をもたらした。従兄弟も姉も景虎も、もしかしたら子供時代は一緒に菖蒲の剣で戦争ごっこをしていたのかもしれない。身内同士で争う愚を、国主として示したのだろうか。なかなか、よい演出じゃったのう。

 というわけで、今夜も実によかったのだが。来週が、またまた気になる。真田幸隆夫婦がなんとなく危機におちいる様子だ。一体どうなるのでしょう、来週も見逃せないな。

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コメント

(一番良かったところ)

 内野勘助が、ガクト景虎に寝返らないと言い切った場面。勘助は、神仏にさえ祈らない。

「それがしは、人を好んでござりまする。人の醜さ、ずるさ、弱さ、・・むなしい欲深さも好んでござりまする。さようなものに救われてまいりました。」

 汚い勘助の風貌から発せられるこのセリフには、すごいリアリティーがありました。
 デイファインしたかのような人工的な美しさのガクト景虎とは、対照的でした。

 そんな勘助を(私が助けに行きたい)と言った由布姫もあっぱれ!です(笑)。

 久しぶりに(勘助さ~ん★)と叫んでしまいました。テヘッ。

 

投稿: wd | 2007年8月20日 (月) 08時24分

 Wdさんが引用した勘助の長い台詞は、実はMuもとても気に入りました。しかし、長いので覚えていることもできず、ついとばしてしまいました。
 こうして、コメントに残ったので、よかったです。

 さて来週は勘助も道安改め、戦装束の軍師として返り咲くようです。しかし本文にも記しましたが、真田幸隆夫婦がとても心配です。奥さんはなにやら自害しかけみたいな予告編でした。勘助と異なり、一応脇役ですから、自害しても年末まで番組は継続できますが、Muはあの夫婦の立場がとても気に入っているので、心配です。
 ではまた来週。

投稿: Mu→Wd | 2007年8月20日 (月) 09時29分

こんにちは~!
私は勘助が脱走するのではないかと思っていましたが、さすがにあの状況では無理でしたね。
情報収集するつもりが半年も監禁されて、一番大事な武田の情報を知らないという、軍師にあるまじきことになってしまいましたが、ドラマにはなったので許します。
鉄砲を用意したのは津田堅持の言葉から、やはり晴信のようです。御北様や由布姫にそんな大金とツテはないと思いますので。
「人間の力」を信じる勘助と「神」を信じる景虎。
どちらも限界がありますが、対比が面白かったです。

投稿: なったん3211 | 2007年8月20日 (月) 10時47分

なったん3211さん
 津田監物役ってなかなかよい役者でしたです。いかにも一癖ありそうな、インテリやくざみたいな俳優ですね。
 それで勘助が助かるのだから、脚本もうまくできています。

 逃亡。
 これはMuもそれなりに一週間かけて考えましたが、逃亡できないということよりも、そんなクサイやり方じゃ、泣きたくなる、とこれが本音でした。勘助のもとに女忍者が天井から降りてきて、格子戸を切るヤスリなんかを手渡して~九の一が降りてきたのだから勘助もそうすりゃよいのだが、なにしろ足が不自由だから、同一床からじゃないと逃げられない~。こんなことをしょっちゅう考えていた一週間でした。
 うむ。
 Muは由布姫か大井夫人が、晴信を叱責するか口説いて金を出させた、とおもったのです。晴信の度量一つで、すませてもよいですね。

投稿: Mu→なったん3211 | 2007年8月20日 (月) 12時27分

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