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2007年6月17日 (日)

NHK風林火山(24)晴信の妄念とガクトの妖艶

承前:NHK風林火山(23)河越夜戦(かわごえよいくさ)

春日山城跡
新潟県上越市大字中屋敷

 番組予告の後で、新潟図書館に所蔵しているとかいう絵地図が見えた。それが、この上杉謙信の居城跡なのだろう。

 由布姫。またその話になりそうだ。
 始まると同時に、由布姫が四郎を差し出し、「勘助、生まれたのです、あなたの子が」とセリフをなげかけた。これにはドキリとした。種を明かせば、真田の助けで、上州の寺で鉄砲傷の療養をしていた勘助が十日間も眠り続け、そのあげくの夢の話だった。

 一方、晴信が諏訪を訪ねた時、由布姫は晴信の<勘助と晴信と、どちらが良いのか?>という意味の質問に、姫がけっこうキツイことを晴信に投げつけた。怖い娘さんだな。
 要するに、「良い悪いのもんだいじゃない。勘助が居なければ、お屋形さまは戦もせず、しても敗れていた」と。それはつまり、晴信が優しい心を持った武将だから、勘助とは異なるという意味を含ませていたのだが、晴信はそうはとらない。さらに姫は、板垣と勘助との、お屋形さまを導き助ける内容まで話したものだから、晴信はだんだんおかしくなってくる。

 だが。晴信がおかしくなってくるのは、私には当然のことだと考えた。それは、プライドを傷つけられて当然とか、晴信が瞋恚をもって当然とかのレベルの話ではない。
 晴信は、勘助と由布姫の仲を疑うレベルの話ではなく、二人の「切り離せない繋がり、絆(きずな)」を知って愕然とした、というのが今夜の筋立てだと思った。
 それは由布姫が家出して、それを勘助が探し、連れ戻した時点で既定の事実である。

 しかしなお、それをして勘助が姫と男女の仲になったとか、そういうことと思ってもらっても心外だ。ことはそんな軽いことではない。仲になってもならなくても、自然なのだ。
 要するに、由布姫はすべてを勘助に預けた。最初から、勘助が「お屋形さまに可愛がっていただきなさい」と、指導したからそれに従っただけなのだ。
 今後、晴信は「女性」に空虚を味わい、戦の血なまぐささでそれを補い、部下に苛烈になることで安定し、さらに美しい女を漁ることで空隙を埋めようとする。しかたないことである。

 と、まだ由布姫の余韻は残る。それはそうだ。核心は、今夜見た「わこ」、四郎が如何にして武田勝頼として、信玄(晴信)の後を継ぐのかにある。その背後に勘助がいて、その勘助の心には由布姫が見え隠れすることになる。

 風林火山、基底にある話が重い。
 とはいうものの、真田幸隆が武田晴信の後押しで信州真田郷、小県(ちいさがた)に戻った時、昔の部下達が村上の配下を離れ、領土をすてて参集したのは感動的な姿であった。さらに、その前に上州を去るとき、幸隆の妻忍芽(しのめ)が、「夫は一国一城の主として、その責任感のもとに、この何年も諸国をめぐり、屈辱に耐えてきた。だから、武田は憎いが、夫の判断に従う」という意味のことを言ったのもよかった。

 仕える身と一国一城の主とでは、見識が異なってくるという好例だった。昔風に言うとこれは、「むしろ鶏口となるも牛後となるなかれ」、の諺が似通っている。ちっこい鶏であっても頭になるほうが、でっかい牛のお尻になるよりもよい、という意味かな。
 真田幸隆は小国の頭なのだから、宮仕えという「牛の尻」とは全く考え方が異なる。

 ところで、ガクト。
 妖艶きわまりないな。セリフまわしは、一昨年のタッキー君に似通っていた。すこし素人っぽいところから、義経も始まった。ガクト謙信もそうなのだと思った。そう言えば、数回前の由布姫も同じだった。
 役者に芸は必要だが、人びとにとっては、その芸以前に圧倒的なオーラがかもし出す存在感に引きずられるのだろう。私は毎年毎年、ベテランと新人とが、だんだん時とともに、所をえていく大河ドラマが好ましい。

復習日本史:上杉謙信
 まだまだなのだが謙信、今の内にすこしずつ復習しておこう。
 上杉謙信は新潟県(上越)の戦国武将で、1530年~1578年、49歳でなくなった。信長や、後世江戸時代の芭蕉もそのくらいしか生きていなかったはず。やはり人生50年の時代だったのだろう。
 長尾景虎(かげとら)と名乗っていたが、関東管領(かんれい)上杉憲正(のりまさ)の養子になって、いろいろあって(笑:詳細は知らない)上杉謙信になった。

 大昔、NHK大河で見た記憶がある。ウィキペディアによれば、石坂浩二が謙信役だった。1969年「天と地と」、ぼんやりと覚えている。そうかぁ、今から40年ほど昔の話なのだ。初のカラー作品だったが、水前寺清子さんが娘さん役をしていたのが、ぼんやりと目に浮かんだ。カラーがどうした、と現代人は思われるだろうが、高額のカラーTVを持っていたのは友人の某I君の家くらいしかなかった。そこで、カラーを見た。自宅では、白黒TVだったので、驚いた。
 ↑これも復習日本戦後史だね。

 で、その謙信が妻帯しなかったのは事実のようだ。なんとなく性を超越した人のようで、わずかに数十秒の出番でも、いささかガクトが似合いすぎだ。狂気をはらんだ神秘家だったのじゃなかろうか。ものすごく戦いが上手だった。毘沙門天を信心していたが、実は~、幼児のころ我が父も、守り神は毘沙門天じゃ~と、本気で話していたので、その後もなんとなく毘沙門天と聞くと気持が和む。なお、我が父は決して狂信者ではない。ごく普通の涙もろい(元・鉄道省勤務の)土建屋の親方だった。

 なんとなく話が右往左往するが、今回の人事、じゃなかったキャスティングはどれもおもしろいが、ガクトの狂・軍神役は、火炎の絵に描いたように見えて、空恐ろしい。

参考サイト
  春日山城:埋もれた古城
    バーチャルマップ春日山城
  [Mu注:春日山城の話だけではなく、上杉謙信のこと、NHK風林火山のことなど盛りだくさんの内容です。]

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コメント

なるほど…晴信の女性に対する「不信感」が、後の彼の「女を漁るような」態度に発展していくというシナリオに本当に感心します。また、晴信も、登場初期はそんなことしそうな人に見えなかったのに、今の彼であれば、してもおかしくないように見えます。表情も声も違ってきているので。
景虎は、Gacktのインタビューによれば「女ものの柄の服を着ていたり、女性説もあった」とのことですね。彼の描いているイメージとビジュアルはよく一致しているようです。わたしもMuさんと同じように、役者の成長をドラマを通して楽しんでいる一人です。

投稿: なったん3211 | 2007年6月18日 (月) 12時13分

なったん3211 さん

1.春信の豹変は上手ですね。声、目つき、身振り、全部上手に変わりました。
 由布姫という、このころおそらく17歳ほどの女性が、かくも男性を変えるのかとおもうと、人類史始まってこのかた、あらためて異性の怖さをあじわいました(爆笑)。

2.ガクトさんはまだまだ論評できるほどには、情報の蓄積がないのですが、謙信・女性説があったというのには驚きですね。もしかしたら、ガクトさんも本当は宝塚出身の女性とか、ふと思いました。
 
 ともかく、今年の風林火山、まいどまいど飽きさせません。背後に隠れたかと思った由布姫がまたまた、爆弾おとしたり、これまで知らなかった幸隆が、えらい好ましい男優として一般ドラマで光ってきたりで、世情にうといMuにも、ものすご刺激的な毎週です。

追伸
 ところで、風林火山のことばかり褒めていますが、実は、この新選組!! 以来、義経も、昨年の一豊・千代さんたちも、お気に入りなのです。
 それぞれの大河ドラマ、と思っています。

投稿: Mu→なったん3211 | 2007年6月18日 (月) 18時20分

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