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2007年6月10日 (日)

NHK風林火山(23)河越夜戦(かわごえよいくさ)

承前:NHK風林火山(22)甲斐・武田、駿河・今川、そして相模・北条

河越(館)城跡地図

1.背景
 関東管領上杉憲正が、北条綱成(つなしげ)のこもる河越城(埼玉県川越市)を八万の軍で囲んだ。この中には、古河公方足利晴氏(はるうじ)も含まれている。城中三千、北条氏康が小田原からともに来た兵力はたった八千。この中に山本勘助も加わっていた。
 時は天文十五年(1546)の春だった。

 ところで、関東管領(かんれい)のことだが、再度調べておいた。
 つまりは、足利尊氏の時期に、関東の鎮めとして鎌倉公方(くぼう)という役職を鎌倉に設け、近親者を置いた。その補佐役が関東管領だったわけ。ところがいつの間にか補佐役が力をえて、鎌倉公方足利持氏(もちうじ)を関東管領上杉が、なんと京都の足利将軍の援助を得て、滅ぼしてしまった。これは足利家内部の争いでもあった~、それから想像するだに恐ろしいことがいろいろあって、結局上杉関東管領が関東を牛耳ったことになる。
 そこに堀越公方や古河公方という、足利家の別の親戚の話を持ち出すと、ますます混乱するので、忘れよう。

2.今夜の謀略
 今夜は、北条氏康の知略勝ちだった。
 かねてから氏康の間諜(すぱい)として、本間江州(長江英和)(ほんまごうしゅう)を上杉陣中に忍ばせていた。本間は矢文で城中に連絡を付けていた。
 勘助は、浪人者として関東管領の陣中に潜り込み、本間に「北条氏康が夜討ちをかけるから、開城して切り死にしてはならないと、城中に知らせよ」と伝える。
 北条は、遊女を管領の陣に送り込み、酒色で陣内を混乱させた。

 一方、勘助は管領のもとにいる真田幸隆に会い、武田への帰順を勧める。幸隆はうんと言わない。
 結局、夜討ちをかけられた上杉憲正は越後に逃亡し、八万の軍は雲散霧消。

3.見どころ
 大きな山はなかったのだが、流れるように場面が進み、満足だった。
 本間の演技というか、顔立ちがなんとなくフランケンシュタインじみていて、強い印象をうけた。北条のスパイにはなったが、上州の男として死にたいと、真田に正体を見破られたとき言ったセリフがよかった。

 関東管領が、あくまで小田原と呼び、氏康が北条という先の鎌倉幕府執権の名跡を名乗ることを唾棄したのもよかった。後・北条はもともと伊勢新九郎がうちたてた国で、新九郎すなわち初代北条早雲はなんと今川家に仕えていたらしい。この話は、「その時歴史が動いた」に詳しい。こういう、上杉憲正(のりまさ)が名家を重んじる、その旧来思想が、実際の戦場では敗走するのを上手に描いていた。

 真田幸隆(ゆきたか)は人気があるようだが、なるほどエエ男ぶりである。今夜はたっぷりアップがあった。しかし、どこがどうと言われても、あくまで脇役なので、書きにくい。渋みはあるが、すらっとしたいい男は主役以外では、動きにくいな。

 由布姫はおとなしく、四郎を生んだ。
 しかし、晴信は、勘助が討ち死にしたという報告を受けたとき、産後の由布には知らせるな、と言い切ったのは、なかなかに芸が細かいというか、ドラマ全体が丁寧に造られていると感心した。晴信も、勘助も、忙しくて訪ねられない由布姫に、「勘助戦死」の知らせだけが届いた日には、ああ、想像するだにおそろしい。由布姫は発狂するだろう。

 それにしても勘助。鉄砲で撃たれるなんて、ちょっとドキリとした。倒れ方が、まるで、「チェ・ゲバラの死にざま」というセリフをTVの側で耳にした。

4.まとめ
 ドラマが丁寧だと思った。緩急はあったが、河越夜戦が一幅の絵巻物のように眼に頭に入ってきた。
 それぞれの役割が、丁寧に演じられていて、関東管領には、おかしみすらあった。
 ところで、ふうまとか、根来鉄砲とか、当時のキーワードがいろいろあって楽しかった。
 本間の耳元で「今夜夜討ちをしかける」と囁いた遊女は、一体だれなのだろう。相当に化け猫じみていてオーラが立っていた。

追伸
 ガクト、上杉謙信が予告編で顔をだした。魔界転生世界であるな。噂では、謙信は戦術の天才だったらしい。
 考えてみると、戦国時代の各大名は、本当に「戦」に関して、職人技的に精魂込めていたのかも知れない。生死がかかっているから。少なくとも、武田、今川、北条、上杉。このだれが天下をとってもおかしくはなかったようだ。

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コメント

関東管領の背景について、よく分かりました。分かっているつもりでも、「関東管領って何?」という所がありましたので。北条を「小田原」と呼ぶのにこだわるのもそれなりの理由があったのですね。今回、それぞれのキャストがしっかり役を演じているのも良かったと思います。

投稿: なったん3211 | 2007年6月11日 (月) 12時37分

Mu→なったん3211 さん
 コメント返が遅くなりまして、どうも。

 日本史授業では、この鎌倉公方、関東管領、堀越公方、古河公方のあたりの区別を、しつこく試験に出された記憶があります。
 京都室町の足利本家と、関東の足利分家との争いも関係したようですね。しかし、武田、今川、北条のころはすでに都での幕府勢力も減退し、関東は管領さまが睨みをきかしていた背景。

 しばらくは、男女の機微やもろもろも考えなくて済みそうです。ひたすら謀略と戦に明け暮れて、ガクトの呪言に聞き惚れて、なんか別の世界に飛んでしまいそうで、楽しみです。

投稿: | 2007年6月11日 (月) 21時10分

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受信: 2007年6月11日 (月) 12時39分

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