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2007年6月 3日 (日)

NHK風林火山(22)甲斐・武田、駿河・今川、そして相模・北条

承前:NHK風林火山(21)御神渡:おみわたり

 今夜は、日本史を復習しておくべきだった。関東管領(かんれい)上杉、古河公方(こがくぼう)足利といえば、日本史教科書の欄外に細かく注記があって、いまだに笑えるのだが、某大学の日本史受験には必ずその注記から大部分が出題されていた。しかし、内容が本文ではなくて注記だというのがくせ者だ。

 当時都に足利将軍がおって、さらに関東に足利の親戚とかいう古河公方という旦那がおって、さらに関東管領がいるという当時の様子は、中世史の専門家以外には、複雑きわまりないことなのだろう、よく分からない。
 いまちょっと図書をみてみると、さらにちょっと前には堀越公方(ほりこしくぼう)足利という旦那もおるようで、頭がパンクする。

 わからないが、今夜限りならばこうだ。
 今川と北条とが臨戦状態になった。今川は、上京したいので後顧の憂いを断ちたかったようだ。そこで今川は雪斎を使者にして、武田晴信に援軍を要請する。しかし、晴信が北条と戦えば、今度は信濃の村上が攪乱するは必定。
 そこで勘助は晴信に、今川と北条との和睦を進言する。

 晴信は、雪斎の口ぶりを読み取り、雪斎も実は和睦を願っているとよみ、勘助を今川へ使者にたてる。
 今川義元は勘助をさんざん小馬鹿にしたあげく、雪斎の深い謀略の成果として、聞き入れる。
 次に勘助は、板垣とともに北条へ行く。
 ここでも了承を得た。

 よって、今夜は、甲斐、今川、北条の三国が血を流さずに和睦したことになる。
 と、言えば話は簡単なのだが、なかなか難しい。
 この三国の頭の上には、常に関東管領上杉と、古河公方が虎視眈々としている。
 三国のうち、北条は歴史的に関東管領と争って進出してきた経緯があり、来週は関東管領と河越(川越市)で一戦交えるようだ。

 なお、後日の上杉謙信は、もともと長尾景虎だったが、越後に逃げてきた関東管領上杉憲政(のりまさ)が景虎に感謝し、彼を養子にして上杉姓と関東管領職を譲ったわけだ。
 ややこしい。

 と、るる記していると、なんとなく歴史談議に終わりそうだが、やはりいくつか見どころがあった。
 そのうち、二つを選んでおく。

 今川義元は勘助を全く認めたくないようだ。これは勘助が醜男だったという設定が以前あった。そういえば、三条夫人も、そして初期の由布姫もなんとなく、勘助を不気味と感じていた。
 結局義元は、雪斎の進言と解釈し、「今度は、もっとまともな家臣を使者に立てよ、そう晴信に言うておけ」と、ひどいセリフを吐いた。義元はなにしろ、もと新選組の参謀伊藤甲子太郎だから、インテリだし顔もよい(なんのこっちゃ)。それにしても、美形の憎々しさが上手だと内心思った。

 さらに雪斎の軍師ぶりもすごかった。目とかセリフとかいろいろあるが、全体の雰囲気だからなかなか描きにくい。彼は大化改新クーデターで、もと蘇我倉山田石川麻呂として三韓の使者の前で上表文を震えながら読んでいたが、あれ、迫真の演技だったなぁ(なんのこっちゃ)。

 もう一つは、勘助が板垣大将に痛いところを突かれた。諏訪の御寮人が逃げたのを、どういう手管で引き戻したのか、それが要点だった。さらに、しばしば二人で会っているそうだが、まさか、二人してお館さまをたばかっているのではなかろうな? と。 
 これ、板垣のセリフが鋭い。
 板垣は勘助を美醜では見ていない。由布姫の魅力も知悉している。そして由布姫の聡明さも。
 板垣は勘助を優れた男としてみている。
 ……
 やめておこう、このあたりの心理の奥底を探り出すと、収拾がつかなくなる。

 要するに、板垣の注意したことは半ばあたっている。
 そして勘助が、「人は国、国は人。お館様も、板垣様も、由布姫様も勘助の国」と答えたのは、一点の嘘もない。だから、そこが難しいところなのだ。
 嘘が無いだけであって、二人がどうだったかは、実は誰にもわからない。 
 勘助は、由布姫の息子勝頼を信玄(晴信)の跡継ぎにするため、それはそれは激しい謀略を、将来武田家内部で仕掛ける。
 たしか、夏頃、由布姫は死の床に着いたとき、勘助を呼び出すはずだ。これは、実は将来見たくないな。哀切きわまりないセリフを、由布姫がはき、勘助がまたしても号泣するのかと思うと、痛々しい(笑)。

 公平に見ると、勝頼に無理矢理あとを継がせたのが、それが武田家にとってよかったのかどうか、歴史のIF。
 嘘のない真心と、その解釈は難しい。

今夜の名台詞
 由布姫「わたくしは、……」
 この、ワタクシというセリフが新鮮である。わらわでもないし、あたいでもないし、わたしでもない。由布姫には実に似合っている。

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コメント

Muさん、こんにちは!なんか最近コメント常連になってしまっていますが、いつもさすがだな~と感心しています。板垣の勘助の読みの鋭さ、おっしゃる通りですね。彼は勘助の能力と由布姫の魅力をきちんと理解したからこそ、疑念を払拭したかったのだ、という。二人のシーン、私的にはとても感動しました。
関係ありませんが、風林火山以外の記事もときどき楽しませて頂いています。理系職なのでとてもコメントできる知識がありませんが、勉強かなと思って。

投稿: なったん3211 | 2007年6月 4日 (月) 11時10分

なったん3211さん、毎度ありがとうございます(笑)

 いま、御記事拝読し、精密なのに驚きました。これは理系職のあらわれかともおもいました。

 Muなんか、記憶にのこっているもの、ぎゃっと内心叫んだことしか、小説でもドラマでもおぼえておりません。客観的な観察が苦手なようです。

 それにしても、板垣の千葉さんは、よいですねぇ。
 この方、大昔は、なんとなく体操選手みたいな役ばかりめだった人でしたが、仁義なき戦い(昔のヤクザ路線です)とか、柳生十兵衛役とかで、目の覚めるような思いがしました。

 男性の加齢が、男を男らしくした、という典型に思えますね。
 こういう重厚さというか、雰囲気をだしたいものですが、たいてい世間の男達、Muにしろオジキ達にしろ、しょぼくれたまま余生を過ごすものです。

 想像では、板垣さんあたりは、もうすぐ戦死すると思うのですが、それまではきっちり楽しませてもらうつもりです。
 勘助さんは、まだ先がある(笑)、12月まで。

投稿: Mu→なったん3211 | 2007年6月 4日 (月) 13時52分

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