« 擬態:カムフラージュ/ジョー・ホールドマン・著、金子司・訳 <異星人と未来人> | トップページ | 小説木幡記:20070529(火)本日休心身脳 »

2007年5月27日 (日)

NHK風林火山(21)御神渡:おみわたり

承前:NHK風林火山(20)勘助の心、由布姫の心

 今夜はあまり記すこともない。心身いささか、ここ数回の風林火山で消耗したようだ。今夜の勘助、由布姫の熱演にも、いささかあてられた。当てられたというのは、人の恋路にいわゆるアテラレタのではなくて、どうしても人の心というものはしんどいことだのう、という、そういう熱気ともうすか、しんどさに、疲れたと言うことだ。ニュアンスがむつかしい(笑)。

 なにも考えない少年のころならば、今夜の由布姫のセリフのいちいちは、それなりに理解できた。晴信の首をとると言ったのは、彼を三条夫人からも奪いたい、彼が戦で死ぬことも見たくない、自分一人の晴信にしたいため、浅ましい心ばかりの由布だった、という告白はそれらしく、リアルに味わったかも知れないが。

 由布姫も、女優柴本も、またしても嘘嘘しいセリフよと、内心おもっていることでしょう。いや嘘じゃないから余計に嘘嘘しいと言ったのだ。だれも嘘はついていない。そこが人の世の難しいところだ。
 人は自分の心をようわかるものではない。
 ここで京極堂がさっとあらわれて、パチンと手を叩くか、鈴を鳴らさないと、勘助と由布姫はまだまだ霧の中から抜け出ることはできない。

 実はさっき、京極夏彦『前巷説百物語』を読み終えて、主人公の「小股すくいの又市」の話を充分味わい尽くした所なので、嘘と真の境界がぼんやり滲んでしまったあとなので、今夜のドラマも、そんな風に思えてしまった。「御行(おんぎょう)したてまつる」、というセリフが、勘助の最期にでてこないと、ドラマの複雑さは、いろいろな解釈に枝分かれして、そのままで戦の謀略に隠れてしまうのかもしれない。

 諏訪湖の御神渡(おみわたり)があった。由布姫はそれをみて吉凶占う立場の少女(16歳かな)だった。専念できる仕事だったろう。立場が変わり、状況が変化し、自らの心身も複雑になり、引き裂かれた運命に投げ込まれると、もう、もとには戻れない。もどれないまま諏訪の御寮人として生きていくしかない。

 と、曖昧模糊になってしまったが、侍女が自ら命を絶ったのはなかなか息苦しいことであった。
 予告編では、雪斉坊主がでていた。来週がまた楽しみ。本当に、上手な脚本だね(爆笑)。
 そろそろ戦国末期の騒乱がまた始まることになる。

 というわけで、今夜は余も心身完全ではなかった、脳も冴えず、筆も走らぬ。
 ただ、それでは今夜の決着はつかない。
 だから、一つ。
 勘助は、小刀、そして大刀もすてて、由布姫を捜し求めた。
 由布姫は、心のすべて(らしきもの)を勘助にぶちまけ、そして勘助を受け入れた。
 これが今夜の結論だ。

補足
 由布姫は心のおりを、勘助にみせた。
 私には姫の目元がこう語っていたように、思えた。
 「こんな浅ましい由布を、勘助、そなたはひきうけてくれますか」と。

|

« 擬態:カムフラージュ/ジョー・ホールドマン・著、金子司・訳 <異星人と未来人> | トップページ | 小説木幡記:20070529(火)本日休心身脳 »

NHK風林火山」カテゴリの記事

コメント

Muさん、こんにちは!私もレビューを書いていて今回はすごく疲れてしまい、なんかまとまりのない記事になってしまいました。いっそ完全にギャグにした方が面白かったかな…。
由布姫の柴本さんは一生懸命やるあまり、ちょっと役にはまりすぎてしまっているかな、という気がしています。由布姫、視聴者に愛されるには怖すぎるキャラになっている気がするし。

でも、Muさんのブログを読んでいて一つ解決できたこと。どうしても勘助が由布姫を慕いつづけているように見えるのですが、実は由布姫が勘助を必要としているのかもしれない、と。鋭い!と思いました。
そう考えると勘助のいささか度を越した動揺ぶりにも少しだけ、納得がいく気がします。
見る人によってまったく解釈が変わる。その通りですね。

投稿: なったん3211 | 2007年5月28日 (月) 14時39分

なったん3211さん、どうも。

 もう少し心身冴えている時にコメント返をした方がよいのですが、ともかく一筆。

 「人間の絆」というのは、愛とか恋とかを凌駕するものだと考えています。
 由布姫は、勘助と晴信への気持が違うことを、昨夜少し気がつき、勘助は先回あたりで、由布姫を殆ど知ってしまった。
 
 晴信負け説はMuBlogの売りですね(爆笑)

投稿: Mu→なったん3211 | 2007年5月28日 (月) 16時13分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: NHK風林火山(21)御神渡:おみわたり:

» 風林火山・第21回「消えた姫」 [大河ドラマ風林火山、韓国映画、その他本の感想サイト]
重い雰囲気からのスタートとなった今回ですが、見終わった後に一筋の晴れ間を見たような気分になりました。 由布姫が「毒を出しきってしまった」からでしょうか。 それぞれの思いもやっとはっきりしてきたような気もするし、 (ここまで長かった!) 何と言っても今回は勘助のシーンが迫真でした。 内野さん自身の内側から噴出しているような、燃えるような力強い精神。 映像から熱気が伝わってきます。 あの力は、どこから出てくるのかといつも思います。 「俳優は蝋燭の..... [続きを読む]

受信: 2007年5月28日 (月) 14時40分

» 消えた姫(風林火山 第21話) [崖っぷち日記]
ようやく録画しておいた風林火山が見れました。 今回は、村上義清が信濃府中の小笠原を焚きつけるシーンなどで若干きな臭い予感をさせつつも、ほとんど恋愛ドラマのような展開でした。 晴信への想いを抱きつつ素直になれない由布姫と、そんな姫の気持ちをどこか感じつつも周囲への配慮から積極的になれない晴信、そして密かな想いを隠しながらも必死で姫を支えようとする勘助。 そして極限の状態でようやく自分の心に素直になれた由布姫。 小坂の観音院で、やっと晴信と心から抱擁し合えた喜び。 ということで、よ... [続きを読む]

受信: 2007年5月29日 (火) 22時23分

» NHK風林火山(22)甲斐・武田、駿河・今川、そして相模・北条 [MuBlog]
承前:NHK風林火山(21)御神渡:おみわたり  今夜は、日本史を復習しておくべきだった。関東管領(かんれい)上杉、古河公方(こがくぼう)足利といえば、日本史教科書の欄外に細かく注記があって、いまだに笑えるのだが、某大学の日本史受験には必ずその注記から大部分が出題されていた。しかし、内容が本文ではなくて注記だというのがくせ者だ。  当時都に足利将軍がおって、さらに関東に足利の親戚とかいう古河公方と... [続きを読む]

受信: 2007年6月 3日 (日) 21時55分

« 擬態:カムフラージュ/ジョー・ホールドマン・著、金子司・訳 <異星人と未来人> | トップページ | 小説木幡記:20070529(火)本日休心身脳 »