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2007年4月 1日 (日)

NHK風林火山(13)仕官、就職とは命がけ

承前:NHK風林火山(12)晴信、板垣、勘助の心・桜

1.猛将との戦い
 戦国時代、どの大名家にも猛将と言われる人がいたことだろう。もし読んでみたい時代小説があるとするなら、家中一同からっきし駄目男ばかりで、戦になると逃げて逃げて逃げまくる、なのに敵がいつもなにかの事情で自壊して、しらぬまに戦国一の名君と呼ばれるようになった、そんな大名はいないだろうか? 
 そんな小説ならその要点は、武将達がどれほど駄目かという詳細を縷々描くひつようがある。刀を持つとすぐに重くて落とす、弓矢をひくと明後日の方角に飛ばす、槍や鎧は戦が終わるとすぐに質屋(土倉と言うたのかな)へいれて、次に招集がかかると侍大将レベルでもふんどし一丁。
 将兵はすぐに逃げるが、他国へ行ってもその駄目さかげんで、結局自国に戻る。殿様は気が良すぎるのか、あっさり「お~お~、やはり余の側が良かったかぁ。まあ、しばらく頑張ってくだされや」と受け入れる始末。

 今夜の武田家に、そんなところはみじんもなかった。当たり前か(笑)。綺羅星のような猛将達の中でも、群を抜いた原虎胤(はら・とらたね)が新参者の山本勘助と真剣勝負にでた。いや、勘助がそういいつのったからだ。「真剣じゃないと、力がでない」と。
 
2.勘助の智慧
 山本勘助は智慧で仕官した。猛将板垣に策略じみた方法でアポイントメントをとったのだから、度胸もあったことだろう。40歳越えて、それまで命を張って生きてきたのに無職だったのだから、勘助その時やけくそな所もあったろう。
 相手方に受け入れさすには、面目を立てねばならない。それも命がけ。結局行き着くところまで追い詰められて、智慧と言っても机上のものではなくて、生きるか死ぬかの瀬戸際で絞り出すような真性智慧となる。
 舟上での戦い。双方に足場が悪いから、義経並の八艘飛びをしないかぎり、どれほどの猛将も力が減殺される。この策は勘助の口舌で導いた、考えたものだ。
 勘助が採った方法は、水を刀で切り飛沫をあびさせ目つぶし、返す刀で舟底を突き破り浸水さす。自らは若い郎党の操る小舟に一艘飛び。
 晴信も、家中一党も、双方に血をみなかった勘助の詭略に喝采。何故かいつも勘助、ふところから紙を引っ張り出して人に見せる。「兵者は詭道也」(へいはきどうなり)と。ちょっと、笑える。

3.入団儀礼、通過儀礼
 どういう言葉がよいのかすぐに思いつかなかったので、とりあえず「入団儀礼」としておく。つまり古来、人は成人するとなにかの組織に入って、そこで共生することで、生きて行けた。つまり就職、仕官ができた。村などでも通過儀礼があって、これは結構しんどいことだったろう、バンジージャンプ。
 フリーメーソンなんか、秘密結社も難しいようだ。イチゲンさんでは入れない。紹介者がいて、いくつもの試練をへて、ようやく結社メンバーになれるわけだ。
 山本勘助は、今夜その命がけの試練を乗り越えた。仕官、就職というものも、通過儀礼の一種なのかもしれない。

4.関東管領と諏訪
 関東管領(かんとう・かんれい)とは、要するに室町幕府による関東の鎮め役で、幕府縁者の職・鎌倉公方(くぼう)の元にあった。委細は省略するが、後に長尾景虎(かげとら)が、弱体化した上杉憲政(のりまさ)管領の養子になって上杉謙信と改名し、最後の関東管領になる。これがガクトなのだ(笑)。
 当時、その憲政関東管領が武田晴信の押さえる信濃に兵3000で押してきたのは、晴信にとって痛手だった。それを見透かすように、晴信の妹婿諏訪家は、武田の援助なしで動き始める。
 ややこしい話だ。そのうえ、ドラマでは真田幸隆まで再登場してくる。当時の戦国日本の様相は、そこら中で蜂の巣をつついたような喧噪だったのだろう。来週あたり、さて勘助どのような軍師ぶりを発揮するのか。

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 今夜、やはりドキドキした。主役が死ぬわけはないのに、どきどきするのは、人間の「理屈」を越えたところだろう。もちろん、倒叙法なら、最初に主役があっけなく死んで、あとは延々と回想になる場合もあろうが、一般に主役はなかなか死なない。義経だって、近藤・土方だって、一豊だって千代だって、どんなピンチがあってもなかなか死なない。それが分かっていても、剣の達人とは言えない勘助が、どうやって勝つのか逃げるのか、終始目を離せなかった。おもしろい。
 
 以前から「はるのぶさん~」と呼びかける三条夫人は、今夜は息子の疱瘡や、勘助の異形に鬱になっていた。来週あたりから諏訪の美少女が武田とややこしい関係になるから、そうなると、うむ。女同士の駆け引きが少し増えてきそうだ。一度も言及してこなかったが、大井夫人の女優「ふぶきじゅん」さんは若い頃の姿を覚えているので、最近の役回りを感心して見ている。

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コメント

ハノイに帰りました!

 ご挨拶もせずに、関東の桜を愛でて帰国しました。ハノイには桜はありません。北米では大丈夫なようですが、亜熱帯地方の気候は、桜さんはお好きではないようです。

風林火山は面白いですね、毎回観ています、ハノイでも。今回は信州は白馬村の往復で甲州、諏訪を通過しましたよ。

 映像で、是非、八ガ岳とか南アルプスとか背景に入れた映像を期待しています。

 今回、勘助が舟から舟に飛び移りましたが、足が不自由なのに意外な展開に驚きました。実は、足が悪いと見せかけているだけか?まるで、義経でしたね。

 

投稿: JO | 2007年4月 4日 (水) 16時16分

Joさん、元気に帰られましたかな。
京都は昨日、今日と寒くて。雪はなかったけど、凍えそうでした。合い物のスーツのズボンが風で足にぴたぴた張り付いて、安物だから、それが冷たい。明日からラクダのパッチでもはかないと、身動きならない。
さっそく季節外れの「桐灰カイロ はる」を背中に張りました。

 案の定、気温の急激変化に杖をつくしまつ。

と、愚痴っぽくなり申した。
財布も軽いし、花狂いの副作用というか、脳がぼんやりするし、ここ数日は駄目ですね。
なのに、桜写真だけは50枚、100枚単位で増えていく。

そうそう、この極寒の中で木幡桜(未撮影)は、完璧な満開(そめいよしの)。桜というのは、寒くないと満開にならないのかな。花冷えが一種のショック状態で、それが最後の満開を引き起こすのでしょうね。

それにしても。
枝垂れ桜はもちろんよろしいが。庶民の桜・染井吉野の満開時って、本当に狂気じみています。今夜、駐車場でそれを実感しましたよ。酔っぱらいも、花見の喧噪も、ライトアップもなにもない暗黒の中で、宇宙を埋め尽くす勢いで咲いていたのです。

投稿: Mu→Jo | 2007年4月 4日 (水) 21時32分

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