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2007年3月25日 (日)

NHK風林火山(12)晴信、板垣、勘助の心・桜

承前:NHK風林火山(11)晴信謀反、信虎追放

1.大膳という浪人
 この人は、以前から分からなかった。分からないままに今夜まで来た。先回は、富士の見える高原(見えたかどうかは、確かでないが、イメージとしてはそう記憶された)で、駿府に案内される信虎を大膳は斬ろうとした。今夜も、勘助を斬るつもりで、勘助の勧めに応じて武田の板垣信方を斬ろうとして、勘助に斬られた。(むつかしい)
 この三者の関係をみていると、たしかに勘助は家督を継いだ武田晴信(信玄)に仕官しようとしたから、そのために板垣に恩を売ったとなっているが、いささか気持にすとんと落ちない。
 要するに、駿河の今川方に縁の深い山本勘助(親戚は、今川の重役)が、なぜ武田の軍師になったかの、その史的事情の分かりにくさを、大膳という狂言回しをつかって、なんとか納得させようとしたのか、と思った。

2.板垣の気持
 板垣は、最初ミツが信虎に虐殺されたことを恥じて、その内縁の夫・勘助を採用した。勘助は晴信にも出会うが、まだ板垣や晴信に臣従する気持はなかった。板垣はその後、勘助を駿河への間諜として送り出したが、勘助はいつのまにか今川義元に就職願いを出して、醜いと言われ断られた。
 そこでまた、勘助は真田と出会い、信虎に攻められている城へ行き、軍師として振る舞った、……。
 結局勘助は破れ晴信や板垣の前に引き出される。板垣は武田軍を悩ませた軍師が、自分の部下の勘助だったことに激怒、斬ろうとしたが晴信に止められた。
 こと、山本勘助に関しては、これまで板垣はふんだりけったりというか、まるっきり人間らしい関係を形成できなかった。客観的に考えると、すべて勘助の就職のネタに使われただけともいえる。
 勘助のこれまでの真意は、ミツの腹を裂いた信虎憎し、武田憎しにつきるから、途中に出会う板垣や、もろもろは、勘助の心の中で人間像を結ばない。利用できるかどうかだけだった。
 板垣の立場に立てば、今夜勘助の真意を見抜き、斬らなかったのは腑に落ちなかった。

 たしかに、今夜はるると、晴信から勘助機略の絵解きを聞かされたが、難しい内容だった。

3.晴信の気持
 どうなんだろう。優れた武将だったから、勘助の特殊な能力を見抜いたのだろうか。
 妖しい新参者勘助が、100貫どころか200貫で召し抱えられ、足利家ゆかりの「春」の一字まで下げ渡される。これには家中騒然。ついには、勘助真剣で剣の技量を明かさざる得ぬ死地に追い詰められた。しかも、真剣を許し、不気味な笑みを見せたのは、晴信だった。さて。
 二つある。一つは、勘助は42歳まで浪人者だったのだから、道場剣法ではなく、死地に立たねば勝てない。もう一つは、ここで家中の前でなんらかの面目を立てないと、勘助の先はないと晴信が決意した。

4.勘助の気持
 就職したかったのだろう。喰うために、とは描かれていなかった。志を実現させるために、就職し場を得たかった。北条でも今川でも武田でも、どこでもよかった、のだろうか?
 以前、ミツに築城のジオラマを見せていた。そういう城を造り、ハンディのある、武将として戦のしにくい身体の代わりに、軍師としての智慧を縦横無尽に使いたかった。
 もう、年齢は42だ。就職するためには、卑怯にもなる、信義も破る、まさしく自己中心の鬼だった、と描かれている。それがとてもリアルだ。知らない間に勘助の右往左往裏切りに感情移入してしまっている。
 兵とは奇略なり。騙りもの以外ではない。
 そして、晴信自身が、家中に勘助の解説をするとき、それは「騙り」だった。

*.軍師といえば
 いつも、蜀の諸葛孔明を思い出す。彼は、就職活動をせずに、三顧の礼をもって、劉備らに迎え入れられた。
 ちかごろ、もう一つの諸葛孔明像が図書になった。著者も書名も思い出さないが、「あの人、後宮小説」とは知っているので、一度読んでみる。そしてまた思うに、この風林火山の原作者井上靖さんは、十年も前に孔子さんの長編小説を書いている。よい作品だった。そこでの孔子は、それまでの孔子像とは異なった強調があった。就職活動に奔走する、着の身着のまま、諸国を行脚する人として描かれていた。勘助と同じく、志を果たすためだった。

附録
 今日昼に、桜・前衛を目にした。一つは嵐山、一つは広沢池近くの佐野籐右衛門邸だった。記念に掲載しておくが、風林火山とは無関係なような、あるいは、「少し咲いたころに勘助が仕官したなぁ」、と来年思いだそう。
 それにしても、この頃毎回、次回が待ち遠しくなった。
 桜と違って、年内一杯楽しみが続く。

嵐山の初桜

嵐山の初桜

佐野家の初桜木
佐野家の初桜木

佐野家の初桜姫
佐野家の初桜姫

 初桜に、言葉はいらないと思いました。今年も、咲き誇ることでしょう。

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コメント

 履歴書やリクナビがトラックバックされてきました。

 失笑しながらも、これもご縁、TBを開示するのも功徳なりと、思って開けました。

 山本勘助就職作戦がこの三ヶ月のテーマだから、これもよいでしょう。

投稿: Muメモ | 2007年3月26日 (月) 23時07分

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