« NHK風林火山(05)今川・北条・武田 | トップページ | 室町和久傳(むろまち・わくでん) »

2007年2月 5日 (月)

オーパーツ大全(感想文)

承前:オーパーツ大全 : 失われた文明の遺産

 別掲目次を見れば分かるように、沢山のオーパーツに触れている。各章ごとに数ページのカラー図版があって、イメージがわきやすい。盛りだくさんな内容をどんな風に感想を記せばよいかについて、迷ったので、その中の気がかりな点についてだけ述べる。

1.全体感想
 2001年にウィーンで展示会「未解明の謎展」を行い世界の数百のオーパーツ(あり得ない遺物)を並べ好評をえたようだ。その間の経験談が興味深く思えた。実はMuも以前、もっと小さい規模だったが「東アジアの文字」展覧会開催に参加して、西夏文字の権威・西田龍雄博士(京都大学名誉教授)の指揮下で半年間動いたことがあった。その時感じ経験したことがあったので、ドナやハベックの書いている内容が切実に理解できた。
 お宝というものは隠れている。
 場合によっては、管理している関係者が知らないお宝を西田博士はご存じだった。それを探し出したり、丁寧に対応して貸出を上手に図る。西田博士がご存じだったのは、長年「文字」という観点からお宝の所在を猟犬のように求めておられた。管理している人達は、他の観点でお宝を見ているから、そこで理解に齟齬が生じる。あるいは、司書も知らない資料倉庫の影にお宝があることを、博士は散逸を避けるために何十年も見張っておられた。そういう、なにかしら不思議な経験をMuはした、わずか半年だったが。

 ドナとハベックは言う。オーパーツは世界の博物館の倉庫や、展示品の片隅に埋もれている。学芸員も研究者も気がつかない場合もあるし、あるいはいろいろな事情で、知って知らぬ振りもする、と。だから、逆に正式に貸出依頼をすると、なにかと断りの返事がくる。つまり、対象物が公に曝され、そして展示会をする当事者によって、「分類:オーパーツ」と刻印されることを嫌うからである。オーパーツは、一般にそれまでの対象学問世界で分類しがたく、かつ、真であれば世界観を変える必要に迫られ、大抵は贋作が多い。どっちにしても、博物館や研究者としては関わりを持ちたくない物である。
 たとえば、大英博物館がそしらぬ顔をして長年「装飾品」として展示してきたものを、「未解明の謎展」で、一億年前の腕時計、などと説明されると、対応に苦慮する。博物館は、それが時計でないことの証明に迫られ、もしも時計だったならば、長年研究調査を怠ったことを白日のもとに曝される。まさしく、オーパーツとは君子危うきに近寄らず、にしくはない。

 アカデミズムの肩を持つと、歴史に関係する遺物とは、遺物の断代と断域とを明かすことで研究の大半が費やされる。1日2日でできることではない。時代を断じ、出所を断じる。この二つが厳密な学の証であると、西田博士はMuの前でつぶやいておられた。納西(なし)文字、女真(じょしん)文字であれ、西夏(せいか)文字であれ、解読と同じ比重で、断代と断域とが求められる。だから、Muがもしもそういう世界の専門家ならば、次々と眼前にもたらせる水晶ドクロの年代や、恐竜時代の巨人の骨を持ってこられても、むむむ、と唸るしかない。それ一つで生涯を掛ける決心を付けるには、なかなかに身が痩せる。

 とはいうものの、ドナとハベックの努力には頭が下がる。あらゆる著名な博物館や研究者から、関与することを断られ、しかしなお至宝のオーパーツが博物館ケースの眼前に転がっている。ある博物館では、その陳列ケースだけ電気を消され、懐中電灯で見ることも断られたらしい。p90

2.第3章 進化論と地球史を根底から覆すオーパーツ
 11 地球史の謎: 繰り返される大量絶滅
 12 足跡化石をめぐる論争: 人類はいつから存在していたのか
 13 太古の加工品: ありうべからざるもの
 14 恐竜と人類の共存はあったか: 遺物が語る真実
 15 巨人は実在した: 神話から実在へ
 16 人類発生にまつわる疑問: ミッシング・リンクは見つかるか

 この章がMuには特に印象深く思えた。つまり、現世人類は約5万年前から人類として、突然高い知能を持った生物になったようなのだが、世界には恐竜と人類が共存した痕跡や、二億年前の三葉虫を踏みつけた巨大な靴跡化石がある。すべて自然の悪戯、偶然とかたづける前に、各地にそういうとんでもない遺物がある。可能性としては、人類も、文明文化も、何度も絶滅し再生してきたという説が浮上してくる。地球は、直径一キロほどの隕石でも、まともに衝突すると地球全体規模で大変動を来す。そういう災厄は約一億年に一回程度の割合で過去に何度もあったようだ。隕石直径が10キロ程度もあると、地球はひん曲がるのじゃなかろうか。人類が5万年前に突然知能が付いたのも不思議だし、もしそれを現代人類文明とするなら、恐竜が絶滅しただろう6500万年前まで、その5万単位が1300回も過ぎたことになる。その間、何度も現代文明に近い文明があっても、数の上ではあり得る。痕跡がほとんど無いのは、綺麗さっぱり溶岩に押しつぶされたのかも(笑)
 と、地球史に疎いMuが記すとトンデモ話に堕してしまいそうだが、テキサス州のオルドビス紀の砂岩盤からすっぽり岩石にくるまれた純鉄のハンマー出土を写真で見たときは、冷や汗が出た。岩石に物を包むことが現代技術で出来ることなのだろうか。数千年前に地殻大変動があって、純鉄のハンマーがすっぽりはまって岩石になったのだろうか~。

3.与那国島のことで苦言
 与那国島の海底遺跡については、国内でもいろいろなサイトがあり、Muも知っていた。最近、全体の海底遺跡立体図を見て、これは人工のものだなと、Muも決意して思っていた。約12000年前のものだという説もある。そこからムー大陸との関係が浮上してくる。
 参考:沖縄県与那国海底遺跡博物館

 で、本書での日本への言及箇所で多少鼻白んだ。
 歴代天皇名に、神武、天武、桓武というようにムという音が付くのはムーとの関連を示唆しているのではなかろうかという一節があった。p300 
 これは外国の人が犯す間違いだと思った。翻訳者も注の一つでも入れれば良かったはずなのだが。こういう天皇名は諱と言って、後世の歴史の中で付けられた物だし、「武」がムー大陸なら、Muはムー帝国皇帝直系の子孫になってしまう(そうかもな)。
 さらに。
 飛鳥の石舞台や益田の岩船や各地の環状列石をまとめて日本氷河時代の先史文明とひっつけたり、与那国島海底遺跡との関係をほのめかされると、むむむ、となってしまう。東北の環状列石はしらないが、石舞台や益田岩船が12000年前の文明と関係を持つと言い放つのは、それこそMuのDNAがヤマトタケルと関係を持つというような話になる。
 出版社や翻訳者は、こういった外国著作を翻訳するときは、多少以上にアシスタントの役割をはたさないと、せっかくの名著が、一夜にしてトンデモ本の代表になってしまう。もちろん、紹介された多くの遺物が次々と贋作、現代作となったなら、それはそれでこの図書の別の意義も果たしたことになるのだが。

4.まとめ
 翻訳にもよるのだろうが「分類できない」という言葉が印象に残った。もちろん身長7メートルを超すような人骨だと、博物館も研究者も対応出来ないとは思う。それは、トンデモ話ではないのだが。困る。
 それ以上に困るのは、p322に掲載された白黒写真「エルチェの貴婦人」像に関する「どの文化様式にも分類することができない」という言葉である。研究者や博物館は既存の分類体系を持っていて、それが尺度になる。新たな遺物を、その分類全体のどこに収めるかで対象を断定できるものである。あるいは、その分類体系とどのくらい距離を持つかを測ることで、遺物の判定をできる。
 「分類できない」ものを了解するというのは、分類体系全体をひっくり返して、新たな分類表を造ることに等しい。ここにオーパーツの難しさを知った。遺物は遺物自体が自らを開示するのは稀なことかも知れない。「私は、縄文時代の物に見えるかも知れませんが、実はシュメールの土器なんですよ」と、語り出すのは稀なことだろう。

 図書はほとんど一気呵成に読んだ。章ごとにカラーの写真と解説があるので、章に入る前にそれを一通り読んでおくと、文章内容が理解しやすい。ネット上の「未解明の謎」は、写真が大きく豊富なので、参考になる。

|

« NHK風林火山(05)今川・北条・武田 | トップページ | 室町和久傳(むろまち・わくでん) »

読書余香」カテゴリの記事

コメント

 与那国海底遺跡

 わが息子が琉球大學の理学部でそこの先生がこの説を唱えておられるんです。確実に遺跡やと私も思いますがね?

不思議なもの、それに興味を持ち、そして科学が発達する。興味を抱かないと何も生まれん。

 興味がありすぎて、人生何もまともに出来なかったような気もするJOダス。(笑)

しかし、尽きることなくベトナムまで来てしまいました。

投稿: jo | 2007年2月 6日 (火) 13時21分

Joさん、こんにちわ。
 不思議が一杯あるから、この世は輝いて見えます。
 年に一回程度、ちょっと上等な和食を食べるだけで、「よいねぇ」と満足です。
 喰うや喰わずの若年時も、映画や小説をみて、気に入ったのに出くわすと、数ヶ月ぼんやりと「よいなぁ」とつぶやいておりました。

 与那国島海底遺跡、あれはきっと12000年前にあったMu大陸の名残でしょう。ただ、地図でみると、日本国というよりも台湾文明に近いですね。移動したかも知れませんが。
 いろいろな兆候からみて、12000年前は、人類史、地球史にとって、変動の時代だったことを別本で読みました。

 与那国島には、水中展望のできる大型船舶があるようです。ベトナムは遠いが、その大型半潜水船で、Muの遺跡を見てみたいですなぁ。

注:Muが人格か、Mu大陸か、書いていて分からなくなりました。そういえば、Muの由来は? ムー大陸の命名由来は、オーパーツ大全によれば、MとUに相当する文字がどうした~、と書いてありました。もう忘れました。つまり意味が無のようです。単なる記号です。

投稿: Mu→Jo | 2007年2月 6日 (火) 14時55分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/22035/13791098

この記事へのトラックバック一覧です: オーパーツ大全(感想文):

» オーパーツ大全 : 失われた文明の遺産/クラウス・ドナ、ラインハルト・ハベック共著 [MuBlog]
オーパーツ大全 : 失われた文明の遺産 / クラウス・ドナ、ラインハルト・ハベック共著 ; プシナ岩島史枝訳   .    (BA7333035X)   東京 : 学習研究社、2005.7   472p ; 20cm   ISBN: 4054024017   別タイトル: Lexicon of"out of place... [続きを読む]

受信: 2007年2月 4日 (日) 23時47分

« NHK風林火山(05)今川・北条・武田 | トップページ | 室町和久傳(むろまち・わくでん) »