ブラック・ラグーン(広江礼威)とヨルムンガンド(高橋慶太郎)
先週末に、漫画(コミックス)を数冊読んだ。その中で、ブラック・ラグーンとヨルムンガンドのメモを残しておく。
ブラック・ラグーン;6 表紙
う~む。
強いていうと、わけがわからず、それに暴力がキツイので、公序良俗に反するかなとおもって(大笑)、躊躇していた。しかし、すでに六冊も読んだということは、余程に気に入った証拠で、これを黙って隠しているのも子供っぽいと言うか、嘘をついてはならないという、公序良俗よりもさらに上位の検閲エージェンシー・マシンが、余を責め立て始めた。これは書くよりしかたない。
普通のロベルタ:キリングマシーン
いろいろな事情で、南米某国の農場主のようなご主人様にひろわれて、そこの幼い息子さんの子守もしている。その農場主のような人は、ロベルタの父親の友人で、事情でロベルタが父を失なったとき、住まいと食べ物と仕事(家政婦)を与えてくれたわけだ。
と。実わぁ。
物語は、これが本筋ではない。本筋は日本の青年が会社のなにかの仕事で東南アジアに出向しているときに、事件に巻き込まれ、異形の男女数名に助けられたのか拉致されたのか。そのあとてんやわんやの大騒動というか、ドンパチというか、血は吹き出る、爆弾は花火のように爆発する、自動車はふっとぶ、船は空を飛ぶようなスピードで海賊する、沈める、麻薬はキャンディーのように部屋に散乱する、中国人、露西亜人、日本人、ヨーロッパ、アメリカ、わけのわからん人、国際色豊かで、言葉ひとつとってみても、ほんとうに、理解できない。おまけに先回五巻では、日本にまで騒乱が及ぶ、……。と、書いていても、どういう風に説明して良いのか、Muもお手上げのトンデモない暴力悪書。
今回は、超厳格なカソリックの暴力尼さんまで出てくる始末。なんだか、悪夢。
しかしなぁ。心からおもったね。悪書にこそ、滋味があるというか、読んだ後、内容はまったくわからないのに、理解できないのに、スカーッとする。ものすごいカタルシスを味わう。これは、小説では、映画では味わえない、まさに漫画的、ああ漫画だった、コミックス世界だよ。
ヨルムンガンド;1 表紙
五つの陸を食らい尽くし
三つの海を飲み干しても
空だけはどうすることもできない。
翼も手も足もないこの身では。
我は世界蛇。
我が名はヨルムンガンド。
なんとなくゾワッとする言葉ですな。さて、この作者高橋慶太郎さんの漫画は初見になる。まだ、完全にはMuになじんでいないが、そのズレが微妙に心地好い。「絵が素人っぽいね」と、漫画博士に言ったところ「いや、特徴がでていて、風変わりで人気があるようです」とのこと。
さて。暴力描写は、ブラック・ラグーンほどではないが、……。ときどき度肝を抜かれる。内容は読んでのお楽しみとして(笑)、ヨナという少年兵が主人公のようだ。もしかしたら彼は世界蛇なのかもしれない。ヨナはココという武器商人の仲間に入る。
……。
もっと書きたいのだが、やはりネタバレはミステリだけじゃなくて、こういう漫画世界でも禁忌だと思っている。
(だから、プルート4を、記録できない、まだ悩んでいる)
ヨルムンガンドも、もう少し二巻、三巻と続いたら、書ける範囲で記そう。
そうだね。
ココというリーダーは超暴力的な人間だが、それ以上に智慧が回る。それがおもしろい。
ヨナ少年は、まったく笑わない、全く話さない、仲間とおしゃべりもしない、ただ下手な卵料理をつくって、兵器を身体の一部のように使いこなすだけ(も、ものすごい能力だがね)。ともかく、ココが時々「う、撃つなー」と叫ばない限り、叫ぶ前に反射的に引き金に指がかかる、おそるべき少年。
ページ閉じれば、硝煙がただよう。
追伸
世の中には、ごく普通のおとなしいサラリーマンというか、OLというか、教員というか聖職者というか、気弱な少年少女達、まじめそうな人達が、ひとたび何かの引き金に触れると、目が血走り△になり、次第に白目をむいて、よだれをたらし、牙をむき、ツメをとがらせ、月に向かって吠える。というような、危険なことにならないように、こういった過激バイオレンス・暴力漫画(18禁、ではなさそうだがね)、コミックスが流布しているのかも知れない。
知らず。人間は、複雑だ。
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