小説葛野記:20070219(月)晴、異邦人の「私の京都」
今日は極早朝から元気だったのだが、午後から急に寒気がして身体がだるくなってしまった。これは、と臆病風邪にふかれて横臥した。夕方にようやく元に戻ったのだが、『心の社会』が一章も読めず落胆した。分かりやすいと言っても積年気にかけていた本だから、心身不調では読まない方がよい、いや読んではならないと思ってのことだが、落胆。まあ、明日もある。
幾つか横臥しながら気付いたことがあった。
1.MuBlogのアクセスが異様に高くなった。
さっき夕方六時に、MuBlogだけでアクセスが800を超え、サイト全体だと1000を超えてしまった。気味が悪くなった。調べてみると、日曜に書いた風林火山へのアクセスが大半を占めていた。それにしても、日々MuBlogだけで大体300強、写真を含んだ全体だと大体500強が普通なのに、このまま夜中までつづくと、平常の3倍近くになる。うれしいのは事実だが、事情がわからない。あとで、ココログのアクセス解析が壊れていました、なんて聞くとがっくりするなぁ。
2.熱があるなぁ、と思いながらも書架の新書を一冊取り出して読んでいた。
『京都人だけが知っている/入江敦彦』洋泉社、2001.5
全部読み切っていないので、まだ独立記事にはしないが、おもろいなぁ。これは考えてみると、今から7年前に買ったまま、不気味な感じがして置いておいた新書だった。
京都人は近辺の大阪や滋賀県や福井県を全く無視しているらしい。これには笑った。つまり、余は福井市生まれの京都市右京区育ちで、成人以後何年か後には宇治市に住んでいる。まさしく、圏外の人、エイリアンなんだなぁ~と長嘆息した。とは、嘘で、実は右京に住んでいたときも源氏物語や古典の授業なんかで、今の鴨川は死体置き場、右京は湿地帯、だから内裏のある真ん中からは疎外された土地と、知っていた。まして宇治市、これは京都府なんだ。藤原家の別荘地、平等院、これは僻地ですよ。田舎。木幡なんて、JR急行も止まらない。
しかし、山背、葛野を開いた秦(はた)さんは、その僻地右京区太秦や、伏見に拠点を作ったのだから、後から桓武さんが怨霊に追われて、長岡から今の市内にきても、まさしく今来(いまき)さん~
応仁の乱なんて、あんた、武家政権のしんねり、ねっちりした小競り合い、そんな戦の後に掘っ立て小屋たてて細々と生きながらえて、ネイティブ京都人なんて、遠く新羅や百済を思い浮かべれば、へそが茶湧かす、けけけ、などと笑いながら読んでいた。
そうですねぇ。ま、よろし。
で、やはり福井・原住民出自を誇る余としては、これまでMuBlogで「私の京都」と書いてきたのを、ちょっと綾つけて、異邦人の私の京都、としようかな、と思うとまたわらけてきて、しらんまに身体がしゃっきりした。
で、入江さんの図書で読んだのは、桜章と、喫茶店章を熟読した。これは、よろしなぁ。だから、今春は入江さんのこの新書をガイドブックにして、桜写そうと決心した、わけ。とたんに、起きあがったMuであった。余はなにかしら目的が定まると、軟体動物から、狼もどき(わんこ、かな)に変身する。
3.さて、起きあがったら溜まった事務手続きや研究読書に専念すればよいのに、
はや夕方五時だった。それで思い出して、ネットで入江さんをみたら、おお、ヒット。『イケズの構造』新潮社、2005。この本、脳のどっか片隅にあった。思い出した。さっそく屯所に出向き探したら、ありましたねぇ。こういう図書を購入している、わが葛野徒食倶楽部(正式には、葛野図書倶楽部2001)はすごい。学生達の選書眼が、備わっている。
それで、読み出したら早、夕方六時を過ぎたので、一旦やめて、MuBlogを書き出した次第なり。
このイケズ本、ほんまに、よろしおす。よそさんへの対応が事細かくえぐり出してあって、それは意地悪やない、イジメやない、まして皮肉でもアマノジャクでもない、そう、イケズそのものなのだ。
気に入ったのは(まだ一章分程度しか読んでいないが)、p159の、シェークスピアの名訳(?)
「自分のうちにいかなるイケズも持たず、イケズをしたい気持ちにもならない人間こそ謀反と謀略と略奪に適した人間だ」
これ、これだね。入江さんというひとは、ものすごい、ごっつい人や。ご幼少のみぎりのお顔は平野さんらしいけど、おそらく男子たるもの、三日で刮目せなあかんというのやから、きっとすごいお人にならはったんやぁ。めちゃ、ええこっちゃ。なぁ。
ああ、夕方が夜になってきた。
一体、本日は葛野で何をしていたんだ。
読書。
文化薫る読書。イケズの解明!
明日こそ、研究ちゃんとしましょう。
そいでも京都は、ぼけでもカスでも、教授は大切にされる町らしおすえ。
ほな、また明日に。バイチャ。
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