京都嵐山オルゴール博物館
京都嵐山オルゴール博物館(京都市右京区嵯峨天竜寺立石町)地図
<HP>
オルゴール博物館の葛野図書倶楽部2001
博物館は二階にあった。オルゴール自体と、オートマタと呼ばれる自動人形の二種類が中心だった。またオルゴールは、大きく分けると巨大なディスク(曲を穴などで表した金属円盤)タイプと、円筒状のドラムタイプに別れる。これはまるでコンピュータ黎明期の外部記憶装置にそっくりである。それで合点した。つまり、コンピュータはこういうオルゴールとかオートマタの伝統を色濃く継いでいるようだ。
現代の作品では、巨大な丸顔をしたカラクリ人形あり、他は19世紀のものが中心だった。殆どはオートマタ自身の中にオルゴールが組み込まれていた。まず最初に観たのは昼食中に、一階のレストランで間近にあった巨大なカラクリ時計で、女性の学芸員のようなスタッフが説明してくれた。高さ3.8mとあるから、してみると一階レストランも相当に大きな造りだったといえる。
二階の博物館では、いくつも実際に説明付きで演奏や動きを見せてもらえた。フランスのもので、黒人がバンジョーを弾くのは、目の動き、手や足の動き、そして胸の動きがとても自然だった。次に三日月に向かって詩人のようなカラクリ人形が演奏をするオートマタ。これはコラージュ写真右下の壁面の飾りと同じものだ。その他に、テディベアが酒を飲むカラクリもあった。飲み干す時に杯を持った左手が肩まであがり、傾斜で杯の中の水が身体を通って右手の酒瓶に移るから、酒(水)は尽きない(笑)。
パンフレット
パンフレットにはオートマタを中心にいくつかの解説があるが、やはり現場で実地に見るのがよい。展示室は、たいそう丁寧で、ある作品の前にたたずむと大抵スタッフがネジを巻いて動かしてくれる。局長と三番隊長がじっと作品の一つを見つめているのに気がついたので、見てみると、競走馬がカラクリで走っていた。実に楽しいオルゴールだった。
ショップ
二つのショップがあって、一階はおみやげ品で価格も手ごろだが、当然アンチークの趣はなかった。二階のショップは、全品アンチークと、現代の至宝のような作品ばかりで、お値段も目が点になった。たとえば、ドラムタイプのミカン箱ほどの大きさのオルゴールは、650万円の値札があった。す、すごい。気に入った懐中時計もカラクリ付きで、60万円前後だった。いずれもスイス・リュージュ社関連の作品のようだった。というわけで、こういう世界は私の世界とは異なるのだが、なにかしら自動人形・カラクリ・オートマタと聞くと心が弾んだ。こういうアンチークを集める趣味も、なかなかによろしいなぁ。
後振り
暇に飽かせて晦日に嵐山を散策したわけじゃなく、それなりの事情がある。今日も幾つかの仕事があって葛野に行くと、局長と三番隊長とが、葛野の過去作品(歴史ある一品ものだから、アンチークかな)をしこしこと整理補修リスト化していた。もちろん最高顧問としては感動した。それでは、甘いものでも後で御馳走するよ、夕方には仕事も終えるから、というと。
「ありがとう御座います。で、実は~」
「なんだ」
「お昼をまだ取っておりません。外は雪なんです。オロオロ」
「そうなんかぁ~」
と、ここで私はよよと泣きはしないが、涙ぐんだ。
というわけで、半ば芝居(笑)に載せられて、今すぐに喫茶店でも行こうということになった。実は私はすでに昼に伏見薮そばで、上天ぷら蕎麦を食してきたので、もう入らない。で、喫茶店というても某所のビフカツサンドは高価すぎるので、では初めてのオルゴール博物館でお茶を濁そうと思った次第。
ところが、どっこい~。
そういうわけで、昼食を取ったあと、二階の博物館をじっくり見学したわけである。
犬も歩けば棒にあたる。顧問も嵐山に行けばオートマタ。
外は雪だった。
追伸
説明をしてくださった学芸員、スタッフの方の応対はすばらしかった。局長も三番隊長も感心していた。説明が、小さな静かな声なのに、染みいるようだった。短時間なのに、オートマタとかオルゴール世界にどっぷりとひたり込んでしまった。
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