お隣さん、さようなら:資料組織演習
資料組織演習作品
余の評価方法は、こういう共同演習作品の場合、各班の副班長の相互評価の平均と、余の評価と、そして余が指名した上級生「助勤」、この三者の評価を合わせたところで出してきた。助勤はこの秋、事情でなかったので、素人学生集団と専門家の余の評価だけで出した。
図書館の殆どの仕事は、「一般客」を念頭に置く。だから、専門家が褒めちぎる誰も見ない映画評とか、だれも読まない純文学では成り立たない。素人がどう見、素人と玄人の間にたつ助勤がどう評価し、そしてプロ(笑)の余がなんとみるか、その足して割ったところに「世間」に通用する仕事が生まれる。
だから、この8作のどれが一席になるかはまだ明かしていないが、少なくとも三席あたりまでは世の中に出して恥ずかしくない。一席だと、なんともいえない香り、華がある。
というわけで、余の勤務先をさしおいて(別の所には出した)、お隣さんの成果を華々しくMuBlogに掲載したのは、訳がある。このお隣さんには今年でおそらく8年目前後だろうが、これで終わりにした。事情は簡単で、時間が欲しくなった。そして余の本務校の共同演習・羊飼いで限界を感じてきた。体力と精神力とを盛大に必要とすることは、学生も同僚も、だれもかれも気がつかぬじゃろうが(笑)。
テーマ自由、方針自由、班内役職編成自由~、このすべてなんでもありというのは、もちろん初めて出くわした学生達は大抵目を点にするし、「放任すぎるぅ~」というものもおる。しかし、余自身にすれば、半期壮絶なセルフコントロールをしていることになる。なにしろ、課題の難しさに、人間関係に、諸々の中で、砂地獄に墜ちていくのを笑ってじっと見つめる労苦、これには気がつくまい。
そう。教育? 指導? ふふふ。
墜ちていって、強いて申せば、はい上がる、その一式セットを味わうのが大学なんだ。それをケケケと笑ってみているのが大学教授の真骨頂。時代が変わっても変わらぬものがある。しかし、見ていることが辛いことに変わりはない。作品が全部提出されると、どわっと冷や汗がでる。
その一つを、お隣さんを、これで今年で解除した。ほっ。
お隣さん、長い間楽しかった。君らが、最後のMuチルドレン(なんだか、古いなぁ)。
再見
| 固定リンク
「小説木幡記」カテゴリの記事
- 小説木幡記:楠木正成のこと(2013.06.07)
- 小説木幡記:腰痛と信長(2013.05.28)
「情報図書館学」カテゴリの記事
- 小説木幡記:アップル社のiBooks-Authorなどでうむふむ(2012.03.10)
- 小説木幡記:電子書籍と電子図書館はPMLで一つのものなのだ(2011.06.01)
- 小説木幡記:メディア変換の中での紙や電子書籍(2011.05.01)
- 小説木幡記:海辺の駅図書館(2011.03.01)
- 葛野司書・共同演習(2010後期)情報サービス・資料組織Ⅰ (2010.12.26)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
お疲れ様でした!
何年間、お隣りさんで教鞭をとられておられたのですか?いざ別れるとなると淋しいものですね?
その間に教えられた若者が元気に社会で活躍することを祈ります。
ハノイに住む”とっつあん”より。
投稿: jo | 2006年12月28日 (木) 16時27分
Joさん、コンニチハ
気になって帳簿を調べてみたら、お隣さんには1999年四月から行っている。だから、やはり8年間通ったことになるね。
この大学の学生さんは、異国語に堪能な人が多いから、もしかしたら、ハノイの街角で、飲み屋で(あるんかいねぇ)、オフィスで出会うかも知れないよ。もっとも、私のこの授業を受ける人は毎年50~60人だから、~。もし遭遇したら、奇蹟やね。
なんとなく、元気そうやね。葛野のトッチャンは、師走そのもの、怠け者の節句働き、どうにもこうにも、めちゃくちゃでござりますがなぁ~。と、古典的語りを漏らす、晦日月です。
投稿: Mu→Jo | 2006年12月28日 (木) 16時40分
8年間ですか~~~?
随分と永く勤められたんですね?約500人の卒業生ですか?とすると、外国語の学校やから海外にでて活躍する人は2割から3割として100人から150人が海外か?
そのうち、アジアで活躍する人々は半数として50人から70人程度。そして、運良く?ハノイに来る人は一割として5人から7人程度やね。
別に会いたいわけではないけど、計算しただけ。夏になればビヤホールか屋台で生ビール飲んでて,お会いできるかも知れませんね?
何せ、Muの旦那の昔の知り合いの郷端親父が隣の大学にやはるからね。不思議なもんや。
投稿: jo | 2006年12月28日 (木) 17時50分
Joさん、帰還したところです。
車を降りたとたん寒さに震えました。夕刊では明日の京都は雪みたいです。日本です、京都です。ハノイは暖かいことでしょう。
そのゴウバの旦那、ちゃんと目を覚ましてはりますかな。あの方の特技はいつ何時でも、どこでも、どんな場合にも、眠る、熟睡するワザ持ちの方なんです。
ハノイだろうが、NYだろうが、タヒチであろうが、ぐーすか、ぐうぐう。長生きされますなぁ。
私は寒さで今夜も眠れそうにないです。
投稿: Mu→Jo | 2006年12月28日 (木) 20時54分