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2006年11月 5日 (日)

ミホミュージアムの秋

ミホミュージアム(滋賀県甲賀市信楽町桃谷300)地図

ミホミュージアムの秋

ミホミュージアムの秋
 ミホミュージアムは滋賀県の山奥にある。宇治市木幡からはRSを駆って70分かかる。甲賀といえば忍者。それもよいが、狸の置物で有名な信楽町の山中と言えば想像がつくかも知れない。博物館は「桃源郷」をイメージして造ったようだ。つまり広大な領域を持っているので、施設は全部自然の中に埋もれている。レセプションホールと博物館とはトンネルで結ばれている。駐車場から降りてレセプションホールへ行く途中で、秋を見つけた。

おにぎりと天ぷらそば

おにぎりと天ぷらそば
 レセプションホールにはレストランもある。この博物館は1999年以来何度も行っているので、様子が分かっている。つまり11時半から昼食サービスが始まるから、その時間に着けば良い。昼を過ぎると列が出来る。何故か。極めて美味しいからだ。最初に行ったのも、20世紀末の新聞で自然食のおいしさという記事を見かけたからだ。私は自然食党でもないし菜食主義でもない。美味しい物ならばうれしい。おそらく、実際に食されるとびっくりするはずだ。何故、おにぎりがこれほどの味を持っているのか。何故山菜そば・うどんがこんなに味わい深いのか。「自然食だから」と書いてある。それだけじゃないはずだ。気持がこもっているのだと私は結論付けた。ただし、価格はそれに見合っている。おにぎり定食が1600円。山菜天ぷらそばとおにぎり一個で1400円。町に比べて高価だ。それは仕方ないことだろう。

博物館のエントランス

ミホミュージアムのエントランス
 電気自動車がひっきりなしにレセプションホールと博物館を連絡している。トンネルを越えて乗車時間は数分。無料。トンネルを抜けると竜宮城、というおもむきがある。私は長年この博物館の総てが気に入っているが、この竜宮城だけはなんとなく中国っぽいのでひりひりする。中国といえば極彩色に気持がなってしまい、するとこの硝子造りの竜宮城は違和感がある。ところで、最近流行ったダヴィンチコードではルーブル美術館が舞台になったが、あの硝子ピラミッドとこの竜宮城、というか博物館全体の設計は中国系のI.M.ペイという人だ。ものすごい作品だと、いつも思う。竜宮城はさておき、一歩中に入ると驚愕する。

博物館(奥)の喫茶室

美術館(奥)の喫茶室
 小一時間特別展示を見た後、いつも奥の喫茶店に行く。生ジュースやケーキが美味しいからだ。というよりも、この建築物の結構を見るにはここが良い。空が見える。地下から地上、そして空を見上げる仕組みになっている。中庭もある。椅子やテーブルは広々とした空間に点在する。あっさりした印象だ。それがなんとなく自然農法にかなっていると思った。こういう自然っぽい中に、ステンレスだろうか、巧妙な金属の結節を持つフレームがきりっとした手応えを感じさせる。要するに、私好みなのだ。

栗のモンブラン

栗のモンブラン
 私は甘党ではないのだが、栗100%という案内に、つい手を出してしまった。本当に栗栗していた。こういうお菓子をここでは造っているのだ、と感心した。和菓子もよいが、モンブランもよい。他には絶妙のプリンもあった。これは凄い。えてして、人の食べるものは美味しく見える物だが、ともかく、桃源郷だからこそ味わえた。

追伸
 ところで、常設展はいつか案内するとして、今日の特別展は「青山二郎の眼」だった。

  昭和の文芸サロン、通称「青山学院」の中心人物青山二郎は、柳宗悦の民芸運動の設立に参画し、小林秀雄、白洲正子の骨董の師でもあった稀代の目利きでした。 その眼に適った中国・朝鮮・日本の古陶磁の逸品を中心に、彼及びゆかりの人々の旧蔵品、手がけた装幀作品などを通して、伝説の人物である青山二郎の眼にせまります。

 青山二郎のことは案内にあるように、私の場合は小林秀雄、白洲正子関係の読書でずっと気になっていた。今日も沢山の図書をショップで買って持ち帰った。そのうち、さっき名古屋は瀬戸物・加藤唐九郎(参考HP)についての文章を読み終えた。二郎さん、一筋縄ではいかない御仁のようだ。
 一番気に入ったのは青山の手になる装幀だった。
 なお、この件はまた後日にMuBlogに書いておきたい。今日はひたすら山菜蕎麦とモンブランとに終始した。

参考
  MIHO MUSEUM
  MuBlog:山ツツジと522号線:滋賀県信楽町朝宮(2006年5月にミホミュージアムへ行ったとき、その途中の道が気に入った)
  地界のMIHO MUSEUM/浅茅原(現在不首尾でインターネット・エクスプローラIE以外のブラウザでは写真がでません。)  

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コメント

出雲安来の語部は古代王権でも別格だった。そういう思いで山陰鉄道のあめつちの旅を楽しみたいと思います。

投稿: オノゴロ島研究家 | 2021年12月18日 (土) 19時41分

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