男たちの大和(DVD)/辺見じゅん原作、佐藤純彌監督
戦艦大和終焉海域・昭和20年4月7日(北緯30度43分 東経128度4分)地図
映画「男たちの大和」が公開されてから八ヶ月後にDVDを入手し、初めて観た。
佳い映画だった。
戦艦大和・菊花紋章
家持が萬葉集に残したのは「陸奥国で金が出たことの詔書に、歌一首をもって賀する」(賀陸奥國出金詔書歌一首)という背景がある。時代は東大寺の大仏建立前後だった。歌の中に仏は現れない。少し長いが引用しておく。
……(略)
いよよ思ひを 大伴の 遠つ神祖の その名をば
大来目主(おおくめぬし)と 負ひ持ちて 仕えしつかさ
海行かば 水漬(みづ)く屍(かばね)
山行かば 草生(くさむ)す屍
大君の 辺(へ)にこそ死なめ 顧(かえり)みは せじ
と異立(ことだて)て ますらをの 清きその名を 古よ
今のうつつに 流さへる おやのこどもそ 大伴と 佐伯の氏は
……(略)
異(こと)のつかさそ 梓弓(あづさゆみ) 手に取り持ちて
剣大刀(つるぎたち) 腰に取りはき
朝守り 夕の守りに 大君の
御門(みかど)のまもり
われをおきて また人はあらじ と いやたてて
思ひしまさる 大君の 御言の幸(さき)の 聞けばたふとみ
この歌を天平時代、当時の世界観のなかで理解することは、現代人にとっては非常に難しいことだと思う。そしてまた昭和初期、信時潔(のぶとき きよし)が作曲(1937)した当時も、現代の者にはわかりにくいものである。ちなみに、信時さんは、私の勤務大学・校歌の作曲もされている。私は気に入っている。
男たちの大和より、戦艦大和
秘録・大和伝説
傍にいた魚船員見習いの十五歳の少年も、老人の昔の気持を理解した様子だった。
しおり(映画 男たちの大和 YAMATO)
ただ。
と、いま書きながら思ったのだが、水く屍、草むす屍となった人のことは忘れない。
そうしてもう一つ。こんな風に考えている。様々な法で人を裁くのが法治国家であり、このことによって時代時代の秩序安寧が保たれる。そして戦勝国による東京裁判での戦争犯罪者に関して、それが破廉恥犯罪なのか、政治・思想犯なのか、この違いは熟考するべきだと思う。
コスモポリタニズム(世界市民)は、国を半ば否定しながらも、その国々あってこそ各国を自在に歩き回り、活動し、生活ができる。国々が無くても、まったく別の世界秩序が保たれると考えるのはユートピアンであろう。そしてこれまでユートピアはこの世になかった。
参考
長迫公園:旧海軍墓地(MuBlog)
呉鎮守府司令長官官舎(MuBlog)
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