北九州の旅:松本清張記念館
承前:北九州の旅
松本清張記念館・銘(地図)
松本清張記念館前
入場パンフレット(1)
圧巻は書庫だった。約3万冊の蔵書と言われているが、これが当時を再現したまま累々たる書架に並んでいる。そして書架のある部屋は目測で六畳から八畳ほどの部屋に別れていて、分野や、現代物、古典ものという風に、部屋単位で別置されている。展示目録で確認したところ、8つの書庫に別れていた。
書架によってはレプリカか本物かまではしらないが、古物が並べられていたり、あるいは付箋のついた古典籍が平積みされていた。また大型の美術書なども多数あった。
こういった三万冊の蔵書をガラス越しに見ながら、これが自由に手に取ってみられる図書館方式を想像してみた。貴重図書も多いことだし、いわゆる万人が自由に、別の意味では図書を手荒く扱える公共図書館方式では無理だろう。いつか併設専門図書館が生まれたらよいと、思った。
「火の路」誕生秘話:古代史家との往復書簡を中心に
点と線のころ:常識の盲点。虚線に隠された実線。
松本清張記念館図録
博物館では大抵図録を入手する。なんとなく記念という意味もあるが、廉価版だからだろう。日本の印刷物は諸外国に比べて安価で美しい図書冊子を提供してくれる。ついでにというと申し訳ないが、江戸川乱歩と清張の共編による文庫も手にした。記念館オリジナルと思われるカバーが欲しかったわけだ。以前、ここのカバーをつけた『火の路』を頂き、感動した覚えがある。図書とはメディアであるが、内容はメッセージだから文庫も初版本もメッセージとしては大きな違いはないのだが、その図書固有のメッセージを持ったメディア、つまり物神化したものもある。私は、この日、記念に文庫本を記念館で買った。だから、そこには固有のメッセージが込められたのである。
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コメント
火の路
清張はんの古代史関連の本は仰山読みました。”火の路”は確か表紙の挿絵を見ると酒船石ですから、斎明天皇がゾロアスター教(拝火教)の信者であり、酒船石は麻薬製造装置であったという説ではないでしょうか?
清張さんの、確か”飛鳥からペルセポリスへ”という本でもこのペルシャから中国経由で渡来した拝火教のルーツを追いかけていましたね。
家内は大のミステリーファンで清張さんのフアンですが、私は彼の怖そうな顔と古代史が好きでした。(笑)
投稿: jo | 2006年8月10日 (木) 10時02分
松本清張さんって、孤影あって、底辺志向とか、なかなか~三島由紀夫さんとのこととか、政治献金とか、Muにも複雑なところが多々あるのです。
私がいくつかの点で松本清張さんを高く評価しているのは、そしてわざわざ小倉にまででむくのは、簡単な理由からです。
1.作品によっては、とてつもないロマンがあること。
2.80歳を越えた最晩年の『神々の乱心』(未完、文藝春秋社から上下本)、このエネルギー、みずみずしさ、おもしろさ、こたえられません。
3.『火の路』の作者であること。
4.『点と線』の作者であること。
そういうわけです。
よい物はよいという、単純さです。
追伸
芥川賞は、「或る『小倉日記』伝」で名作です。そして1953(昭和28)年、一緒に受賞した五味康介「喪神」、これも最も好きな作品です。歴史のアイロニーを味わいます。
http://asajihara.air-nifty.com/mu/2004/05/post_25.html
投稿: Mu | 2006年8月10日 (木) 12時20分