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2006年5月 4日 (木)

山ツツジと522号線:滋賀県信楽町朝宮

朝宮(滋賀県甲賀市信楽町上朝宮)地図

 一昨日、山中の曲がりくねった道を走っていた。
 一車線しかなく、普通なら走らないような道だった。
 ……。
 そこに入るまでの、宇治から宇治川添いの天ヶ瀬ダムを通って、琵琶湖瀬田・唐橋にぬける道は近頃味わうことのないドライブの良さだった。水が豊かに流れ、奇岩はないのだが、おちついた山水図絵をつぎつぎと巻き上げていくようだった。山にはまだ山桜が点描され、地は緑で光っていた。遠くの山なみは徐々に空の青に融け、眼前には明るい翠、風、行き交う車もなく、爽快この上なかった。
 鹿跳橋で右折して宇治川を渡った。南郷洗堰の手前だった。
 そこからが、冒頭の山道、県道522号線に通じていた。

山ツツジ

山ツツジ
 狭い山道の両側に、突然水彩画が現れだした。鮮やかだった。車を停めてそばによると、花が桜ほどに小さく見えた。躑躅(つつじ)だった。町中でみるのはもっと花々が大きくてどっしりしている。しかしこの滋賀県甲賀の山中では、小さなツツジが紗のように山の翠を透かしていた。目を遠くに向けると、色が互いにすっと融け合いながら、波打っていた。

岩谷川
 熊笹の間に水があった。おだやかな流れだった。蕨(わらび)があった。

岩谷川
 

山ツツジと翠
 山はなぜ、春になると色鮮やかになるのだろう。薇(ぜんまい)もあった。

山ツツジと翠

RS

RS
 平坦地でしばらく車を、アイドリングのまま休めた。それまでシフトはずっと「S」にしていた。昔風にいうと、3速:サード位置。RSのオートマティックは無段変速で、とりわけSにする必要はないのだが、そうしてみると、なんとなく縦横無尽に走る感がした。どんなヘアピンカーブも、どんな上下道も、タイヤが山道に吸い付いたように走った。ライトをつけて左右の窓は空けて走った。一車線だから対向車にできるだけ派手に走行を知らせたかった。音も聞きたかった。さらに路面状態を知りたくて、靴を脱いでペタルに足を置いていた。ルール違反と言われそうだが、ブレーキは両足で踏ん張った。

山ツツジ姫
 花知らずの私には、ツツジなのか桜なのか分からなくなった。

山ツツジ姫


 雉も鳴かずば撃たれまい。茂みにフラッシュを向けたら、一斉に四羽飛び立った。

雉

 休日の一日は、このあと「ニューヨーク・バーク・コレクション」に続いていた。

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地図の風景」カテゴリの記事

コメント

いいですねえ

 (行き交う車もなく)この景色を独り占めできたのですね。
黄緑色の新芽と薄紫色のツツジ、素晴らしいですねえ。
何度も写真を眺めております。

 曲がりくねった山道を昇り降りする時の運転ぶりは幾度も隣の席で経験させていただきました。
ヘッドライトは自分が見る為だけじゃなく対向車に知らせる意味も大きい、とF-1レーサだった中嶋悟氏も語っていますね。
足元は・・・運転する人の勝手でよろしいんじゃないでしょうか。

投稿: ふうてん | 2006年5月 4日 (木) 16時57分

ふうてんさん、
 いま夕べの温泉風呂からあがって、コメントに気がつきました。
 脳がじょわりと柔らかくなって気持がよいです。

 この日(二日でしたか)は、山ツツジもよかったのですが、途中、宇治平等院→天ヶ瀬ダム→喜撰山→信楽への分岐点。この経路が絶景でした。この道は十代の頃からバイクで、すでに百回以上は走っていましたが、この春先の風景は、これまでの記憶になかったです。

 それとRSとの相性も良かったですね。以前は重なるヘアピンにしんどくなっていたのですが、このRSは、魔法のように回りきって行きます。不思議なチビRS君です。多分、シフトモードをSという、往時のサードに入れたままがよかったのでしょう。カーブで粘りがでて、その上、減速しても立ち上がりが早いから、ストレスが無かったのだと思いますよ。

 で、その後の522号線、山道はものすごく起伏があって森があって、……。空がもし、以前の鞍馬の往還時のように暗くなっていたら、恐怖でしたでしょうね。慣れない道、ラリー用にあつらえたような道は、まだまだ怖いものです。ひとたびごねると、一キロはバックで戻ることになる(!)

 両足ブレーキは、オートマチック車の教則本では禁止されているようです。私は30代からオートマチックだから、それまでのマニュアルミッションの慣例から両足を使っていましたが、現代では、右足アクセル、右足ブレーキと決まっているようです。混乱しただれかが、以前、事故でも起こしたのでしょう。

 さてこの記事の続きは後日、美術展・観覧話です。ごくまれに、美術をみるのです(白テン婦人みたなのは、……)。

追伸
 以前、ふうてん大兄の記事に、池波正太郎さんの作品から一行引用して、そのすばらしさを書いておられましたね。
 あれはですね。
 池波先生、梅安さんに日常もなりきっているから、生の、地の言葉としてでてくるもんで、誰も真似の出来ない、要するに、逆に評価することもできない文章でしょうね。そんなふうに思いました。

投稿: Mu→ふうてん | 2006年5月 4日 (木) 18時49分

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