NHK功名が辻(21)黄金十両の馬
承前[MuBlog]
安土城跡(滋賀県蒲生郡安土町大字下豊浦)地図
騎馬武者が花形だった時代、馬は高額だったのだろうと想像できる。黄金十両が現代でどれほどのものかは、耳を澄ませて聞いていたが、解説はなかった。高級輸入車に比定するならば、2000万円程度かもしれない。千代の隠し持参金として不破の家が貯めて渡したものだから、億にはならないだろう。
山内家、千代の伝説としてこの馬買い話は定番だから、~まず本当だったのだろう。
しかし当初、可哀想に千代は一豊から「小賢しい」とか「情の強い女」とか、さんざん言われておった。いま私の木幡研究所で突然、「男を上げるために、これでほしい物を買いなされ」と、数千万円渡されたなら、~。さてどうする。~そうだなぁ、葛野の大学図書館に寄付して、特別閲覧室に黄金の胸像でも作ってもらおうかいのう。
持ち慣れないお金を不意に持つと、ろくな事にならない。
財布にはいつも一万円しか入っていないぞ。
この「小賢しい」とか「情が強(こわ)い」とかいう、主に女性への罵倒言葉は、考えようによっては褒め言葉にもなる。ただ、なぜ「小」がつくかというと、それは大局観を見誤った局地的勝利に目がいきやすいことをしめし、情が強いというのは、強情っぱりの意味で使われるから、なかなか褒めたことにはならない。
小賢しいのは、小才がきいてノリがよくて日常にはよい場合が多い。いつもいつも大局ばかり考えてそれにしたがっていると、現今足下がずぶずぶと蟻地獄や沼に引きずり込まれてしまう。情の強いほうが、めそめそしなくて物事にクールに対応できるかもしれない。
というわけで、ここぞという節目での集中資本投下は、勝機をつかむことが多いのだろう。
我が年代の者達は、そろそろ勝負を終えた後のご隠居生活。
時代が一巡したようだな。
走るのか、歩くのか、止まるのか、それとも眠るのか。思案のしどころぞ。
最近、森博嗣先生の記したじり貧の奨め、つまり「維持のすすめ」というか、現状維持の意味とかに、感動した。(MLA:2006年05月21日(日曜日))
一豊&千代は、発展途上、まだまだ登り坂。それを観ながら、じり貧であることを噛みしめるのは、今夜の教訓としてここに記しておく。教訓とは、以前N恩師にいわれたのだが。
「Mu先生、9割以上は日常の努力です。成功した人とか、天才と言われる人は、チャンスが眼前を通り過ぎるとき、それを掴みきれる人ですなぁ。常の努力や準備なしでは、チャンスがすっと消えていきます」
じり貧の維持と、N先生の教えがどう関連するのかは、宿題。
というわけで、いろんなことを思い出して見終わったのだから、今夜はおもしろかったのだろう。
附録の木之本町については、以前その町の出身者に話をきいたことがある。長浜の少し北の湖北の町だ。多分数回先のドラマでは、その近くの賤ヶ岳が話題になるだろう。
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コメント
(黄金10両の馬の話)
家族で『功名が辻』を楽しんでいるのですが、昨日の馬買いの話は、私(千代)にすっかり感情移入して見ておりました。
黄金10両を見て(一豊さまは、どんなに喜んでくださるだろう)と思って見ておりましたら、いきなり「小賢しい」とか「情が強い」とか怒り出されるではありませんか。
(なんで???)と思っていましたら、横でダンナが(わかるワぁ~、一豊の気持ち。)な~んて言います。
(なんで!)と聞くと、(男の意地やな。まして一豊みたいな正直な男やったら、なおさらそうやろう。ありがたいと思てても、素直には喜べへんな~。)と。
なかなかに男の方を立てるというのは、難しいものだと思いましたデス。
馬一頭に2000万も使うのは、生き物だけに怖いなと思いましたが、黄金10両の名馬を買ったという(評判)を買ったと思えば、安いものなのかもしれませんね。
投稿: wd | 2006年5月29日 (月) 14時43分
Wdさん
従前、どこかで、blogに記しましたが、とかく男児を育てるのは難しいそうです。おだてて、たてて、ほめそやして、自信をつけさせて、やっとこさ嫁をもらって家をなし、自立できる、実に弱い生命体のようです。
一方、女児は育てやすいと申します。すておけば勝手に飯をつくり、端布で着物を造り、ついちょっと「おおかわゆい、綺麗なおなごじゃ」というだけで、すくすくと育つようです。
いずれも褒めそやすことが基底にありますが、男児の場合、タイミングがむつかしい。でないと、「お前は情のこわい女よ」とか「こざかしい」とふてくされる。他方は、タイミングなんか無関係に、いつでもどこでも、「きれい」と、一言、それだけで機嫌よくなる。
~
と、歴史的な、世上の噂がありますが。
はて、どうなんでしょうねぇ。
私には、わかりませんです。
投稿: Mu | 2006年5月29日 (月) 18時48分
面白い話をしてますね?
あのね~~~、私の意見を言わせてくれますか?
この時代の背景についてです。財産は妻と夫は別だったんと違いますか?今のアメリカみたいなもんです。
妻の財産である10両をどのように使うか?これは、妻が決定できるのは当たり前。本来は、戦争屋(殺し屋)の夫が死んだ時に生きる為のもんやと思います。
その金を夫の戦闘用具購入に使用した妻はこれからは、表の世界でも意見を言いますよ!という、株券を握った事になります。
どこやの、何とかファンドみたいな事やろね。
事実は極めて現実的な話やね。まだ、夫が中間管理職の時代では意味が無い!ほぼ、城持ちという役員レベルか社長の世界が展望出来たから投資したんやろね。
そこが、一豊の言葉となったんやろと私は思います。
どないダス?色んな見方もありまっしゃろ?ホホホ
投稿: jo | 2006年5月29日 (月) 19時58分
Joさん
わかりやすいお説です。
感服いたし候。
さて。とはいうものの、千代が現代にまで生き残ったのは何故か。
つまり当時でも実家が金持ちのおなごはたくさんおったことでしょう。だから輿入れ持参金をようけ持ってきた人もおると思います。
けど、千代と一豊ほどには、名が残らなかった。
つまり、千代の先行投資は極めて特例だったんやと思います。
だからこそ、この先行投資は、現代なんちゃらファンド流に解釈されるだけでなく、なんというか、いわゆる「ないすけのこう」という美談に変成したんだと思いますで。
要するに、一豊の才と人柄を見込んでの、きわめて情に厚い行動やったんやと、私は思いました。
……
どやろな。(笑)
投稿: mu | 2006年5月29日 (月) 21時14分
Muさんらしい解釈やね!
美談は美談として、受け入れましょう。
しかし、やね、私ね、あの女優さんあまり好きやないんやね。
この十両の話はこのドラマの全てでしょ!テーマそのものやね?司馬さんは女性を主役に書いた小説はこの小説と確か晩年に書かれたモンゴルの女性の話しか知らんダス。
何かね~~、司馬さんの奥さんをモデルに書かれたんとちゃうかな~~?最近ね、そんな気がするんやけど?
司馬さんの奥さんはね、司馬さんより優れた記者やったそうやね?それを、辞めたんや!
作家、司馬遼太郎を育てるという決意やったんと違うかな~~?沢山の司馬さんの講演録とか街道を行くを読んでるとそんな気がするんやけどね。
だから、今の俳優さんでは奥さんと比較するとね~~~?
どうもでした。(笑)
投稿: jo | 2006年5月29日 (月) 22時37分
Joさん
久しぶりに(笑)、Joさんの文意が読めなかった。
つまり。
~
Joさんは女優・仲間某がお好みじゃないのですねぇ。それは困った。ヒーローやヒロインが嫌いだと、話が止まってしまう。
こまりましたなぁ。
あいにくというか、私は一豊も、千代も、俳優として気に入ったのです。当然ですが、それまでは、みたこともないお二人でしたけどね(ほんま)。
私としては、いかんともしがたい。
投稿: Mu | 2006年5月30日 (火) 10時05分