木曜会SとAccess
どういった風のふきまわしか、久しぶりに青年達とデータベース管理システム(Access)の勉強会を開いた。今のところ1月(毎週木曜)と、3月(一週間連続)をすませたところだ。
ところがうまくいったので、今後奇数月は毎週やっていくことにした。題して「木曜会S」。末尾のSはsystemの符号。別に木曜会L(Librarian)も調子にのって4月から偶数月、似たような青年達数名とする決心がついた。
私も、なんだか「お勉強」ずいてきたようで、笑っている。
10数年前に、マイクロソフト社のこのAccessを授業で教えるはめになった。数年で降りた。おりた事情はいろいろあったが、徹底的に当時の私はこのソフトウェアを嫌った。まがい物RDBの、厚化粧の、欠陥品と内心唾棄していた。マイクロソフト社の力は偉大だが、手抜きもあった、それは今でも言える。しかし当時にして、すでに大学でソフトウェアを教えるには、一応標準品を教材にするという暗黙のルールがあった。だから言語なんかも、すでにPascalやModula2じゃなくて、Cを教える状態だった。マイクロソフト社のCである。
私は情報工学研究者ではなかったので、降りるのも気楽だった。私は文系の図書館学の先生だから、無理してデータベース管理システムを、教壇で話す必要もなかった。そんな気安さもあった。
ところが。先年晩秋くらいから、葛野図書倶楽部2001のシステム回り維持が多少心細くなってきた。どういうことかというと、今年で五年目だが、歴代優れた学生がいて、倶楽部業務の根幹にかかわる業務をシステムに組み込んできた歴史がある。
その一つに、倶楽部では一定の図書(現在はまだ千冊程度か)データベースを自製、管理運用していて、図書貸し出しサービスを行っている。このシステムはAccessという、冒頭に記したマイクロソフト社製のデータベース管理システム(DBMS)で作られていて、実に使い勝手がよい図書館システムである。ところが、これをメンテナンスするだけの2006年要員がまだ育っていないことに気がついた(うかつというか、笑)。これまでは、そういう世界に埋没してにっこり笑っている部員が輩出し、気楽に考えていたのだが、……。
「先生、私、データベースって、全く分かりません」
「どうしような、二番隊長2006」
「こまりましたね、先生」
「一緒にみんなで勉強するか」
「はい」
というわけで、一念発起して数名の学生を集め、冒頭にあげた勉強会を、これを合計10回程度行った。
で、安堵。
奇蹟に思えた。考えてみれば、葛野の女子大は文系どっぷりの大学なのだ。こういうことに洗練された感性をもつ学生は極めて、~。そういう中でこの五年、私が「うん」とうなずくようなシステムを構築し、動かしてきた、そういう学生が倶楽部にごろごろ居た、そこが奇蹟の第一。次に、さあ大変となったとたん、わずか10回程度の勉強会で、「おお」と私が目を開くような成果がでるという、この第二の奇蹟。
これはもってここに記録すべき事件であった。
記録
主要な論点
1.表(テーブル)、項目(フィールド)。これは比較的慣れているエクセルをもとに説明。
2.関係(リレーション)。これは、まあ概説。リンク・キー項目での表間結合を、あれこれ説明。
3.データ入力:直接、入力画面(フォーム)利用、インポート(他に存在するデータを一括入力)説明。
4.問い合わせ(クエリ)の意味と説明。SQLは今回省略。
5.印刷など出力形式:レポート・ライター説明。レポートのソースを、先のクエリにすることの説明。
注意点
名前を付けることの工夫。表や項目やリレーションや、クエリに対して適切な名付けをすることで混乱解消。
どのようなややこしいDBMSであっても、入力→蓄積(編集)→選別→出力、この流れがあることの説明。
そして、DBMSは、一つの表やリレーションに対して、多様な入力様式、出力様式を持たせることができることの良さ。
だいたい以上のような論点と注意点とで、ほぼ全員がそれなりの練度を達成した。
課題
課題は倶楽部で必須の内容なので、練習がそのまま実用に転じる。各員に分担した。
1.図書貸し出し管理システムの分析
2.経理システム(一種の徴集システム)
3.人事システム(歴代倶楽部員)
4.過去作品管理システム(演習成果)
5.機関誌目次記事索引システム(機関誌の全目次、書誌)
6.教育システム(倶楽部員の内部研修、リテラシ度)
もくろみ
五月、七月はまた10回程度かけて、この1~6を統合するリレーショナル・システムに結合転化。
感想
若いということは、柔軟性がある。何人かは秘められた能力が開花した。みていて実に、気持ちよい。
参考
Microsoft ACEESS Club(マイクロソフト アクセス クラブ)
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