古民カフェ:私の京都・河原町通{四条→三条}
承前[MuBlog:四条大橋界隈]
みゅーず(京都市下京区と中京区の境界)地図
『古民カフェ』という聞き慣れない言葉を2004年の秋に、「お隣さん大学」というところで耳にした。グループでなんらかの「目録」を作る課題で、その件の班が決めたテーマだった。班長に聞いてみると、古民家で営まれる珈琲、要するに伝統的喫茶店のことらしい。こういう喫茶店情報を京都中心に蒐集し、50件以上も班員が実地に尋ねてインタービューし、写真をとり、目録化するものだった。
これは、現今の若い人達がお酒抜きで一服するカフェ、つまり私も愛好するスターバックス、ドトール、サンマルク、……と「新しい店舗でセルフサービスが基本」のお店に比べると、「古い」世界である。新旧一番の違いは、基本の珈琲の値段に見られる。京都の古民カフェだと500円前後、スタバなどだと200円~300円である。さらに古民カフェはセルフサービスではない。メイドさんとか、カウンターならマスターがサービスしてくれる。
もちろん、500円前後の珈琲をだす店がすべて古民カフェではない。その定義が班の提出した作品には明確にあったのだが、思い出せない。ただし、雰囲気として言うならば、倉敷のエルグレコ、京都のフランソワ、イノダ、六曜社、スマートなどは古民カフェである。それらは全部目録に収録されていた。難しいのは、小川珈琲本店が、古民カフェなのかどうかだ。新装なって、どう見ても古民家とは思えないが、伝統がある。
さて、「古民カフェ」班はその年度末に、結果として第一位の成果をあげた。これは学生と私の共同判定結果なので、私の主観によるものではない。私が特に気に入ったのは、京都の老舗珈琲店「イノダ」の古い珍しい写真を、インタビューの成果として組み込んだ点にあった。店の対応者は班長らの熱意にたじたじとした様子だった。
しかるにこの作品は今、手元にない。優秀作品は葛野図書倶楽部2001の管理下で保管することになっている。昨年春に班長が「修復したい」と言ったまま持ち去り、以後ようとして姿を見せない。風の噂では、東京の某一流企業に就職したらしい。こういうことも、たまにはある。私は貴重な資産を「持ち逃げ」されたようである。
三月のある日、京都は四条小橋、高瀬川のそばにある「みゅーず」の前で、古民カフェをいくつか写真にとっているとき思い出してしまった、長い前振りでした。
築地の在る通り
しかし、私がこの界隈を徘徊し始めた十代末には、こんな様子はなかった。いまは、昼間しか一人では歩けない。夜は屈強隊員達の固いガード、ローマ軍の重装歩兵の楯に守られないと歩けない。いや、本心。
ところで、真ん中に見える「黄桜 祥風楼」という店はおなじみ伏見のカッパさん関係店で、いつか案内しましょう。
ソワレと写真家 地図に示した位置から南にソワレがある。若い人が私と似たようなポーズをしてデジカメで写していた。この後、この方は店に入った。後ろをみると、また他の人が写していた。なかなか人気のあるお店なのだ。[参考:喫茶ソワレ][ソワレ]
ソワレのショーケース
みゅーず 音楽が流れている。しかし堅苦しさはない。昔の音楽系喫茶店は、青白き秀才男女が、しかめつっらして、瞑想して、みんな黙り込んで聞いているから、なんとなく苦手だったが。みゅーずは、明るくて広々とした雰囲気なので、老若男女だれでも入れる。[参考:老舗名曲喫茶みゅーず]
築地の看板と軒燈 老舗です。私も二次会でよく行きます。一階に長いソファがあって、十人くらい入れるのが重宝します。
築地のタイル ただ、接客が店格にしては不思議なほど、ですね。毎度私は私だけですむように、一人で対応します。連れて行った人達には浪漫にひたってもらいたいですから。ネットを探してみるとそういう記事もありました。
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