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2005年12月31日 (土)

大晦日の朝、木幡で思うこと

 昨日ようやく江戸からエドルンも帰郷して、正月を迎える心の準備もととのった。あと、またりん翁(愛猫)がおったならと、死んだ子の歳を数える気分にもなってしまう大晦日の朝。かわりにグリ銀とグラ赤(愛魚)がおるのだから、それでよしとしよう。グリ銀はあきらかに、またりん翁が憑依している、不思議な動き。

1.文学・創作
 初秋の九月から長編小説をblog連載し始めた。この第一期は平成18年の三月には完了したい。第二期は同春から始めたい。blog連載の方法論にも慣れてきた。原稿数枚のくり返しが蓄積されていくのを、他人事として眺める「目の修練」もだいぶ積んだ。現代にあって文学とは、表現の凝り固まった物であると同時に、他人に読んでもらう物だという当然のことを、今更ながら味わっている。
 1960年代中頃から、文学というものを意識しだし手を染めて、1970年代中頃まで熱中し、一旦2000年頃まで手放していた。だから数えてみると15年間ほど専念していることになる。苦痛も多いが、なかなか心身にあったことである、とこの大晦日、思った。
 平成18年は、だから文学の年月にしてみたい。

2.文学・研究
 今年も毎夏恒例の二ヶ月論文専念がうまくいった。通算13年間継続しているから、これも心身に合ったことなのだろう。今夏は保田與重郎『日本浪曼派の時代』の絵解きを終えた。
 昨年までは四年間、三島由紀夫『豊饒の海』をあれこれ手探りしていたが、今年は保田與重郎に戻った。保田さんも三島さんも、現実の生きた姿はあまり気にしないでおこうと思っている。私とは別の人なのだから、彼等が生きたようには、考えたようには、私は生きてこなかったし、これからも別の余生を送るのだから。
 ただ、文学というものの不易流行を十代のころに確認できるように導いてくださったのは、保田先生であり、その文学虚構を見せてくれたのが三島さんだった、とそう思っている。
 私にとっては、深いところでは文学は楽しみでもないし、ファッションでもないし、教養でもない。それがないと、生きることが辛いと思わせる、核のような実体が文学である。
 そして研究とは、なぜ文学がわたしにとってそうなのであるかを、残された膨大なテキストを前にして、道や地図を探し求めることが、私の研究なのだ、と大晦日の今朝に、思った。
 平成18年は、保田與重郎の「万葉集の世界」を研究対象としたい。予想するに、おそらく文学とは歴史であり、歴史とは文学であるという結論がでそうである。人間の営為なのだから、カテゴリーは相互に溶け合っているものだろう。

3.教育・司書・倶楽部
 司書を育てるのが私の日常の仕事であり、それは教育に属することである。今年も、十三年間続けてきたように、同じスタイルで行った。可も不可も無し、というのが年末の感慨である。教育の改革が世間の流行だが、これには賛同していない。昨年の教育と今年の教育が、大変化して、昨年よりも今年が良くなったと思うのは迷妄にすぎない。なぜなのかは省略する。
 で、今年の結論は、2001年に「葛野図書倶楽部2001」という一種の同好会を作っておいて良かったという感慨である。好きこそ物の上手なれ、といわれるように、基本的な「司書」の雰囲気を好む学生の核なくして、教育はうまく動かない。倶楽部とは、目に見えるシンボル、里程標のようなものである。
・学生達が過去にまとめ上げた作品の維持管理を倶楽部がしてくれている。
・学生達の副教材になる雑誌を倶楽部が作ってくれている。
・学生達の好む図書を収集し、維持管理そしてサービスを倶楽部がしてくれている。
・学生達のグループ演習を円滑に勧めるための支援を倶楽部がしてくれている。
・こういったことの諸々を、blogやホームページで宣伝広報し、必要なデータを倶楽部が記録管理してくれている。

 以上のようなことを、私一人で出来るわけがない。だから、倶楽部があってよかったとおもう、大晦日の朝の思いだった。

4.MuBlogのこと
 昨日三十日に、MuBlogの全データをダウンロードして、自製のデータベースに格納し整理し、併せて目次記事を更新した。全部で610記事だった。
 このデータベース(MuDB2005)をネットで操作出来るようにセットするのは、数日後葛野研に行ったときの初仕事になる。そして、2005年分記録341~610のレビューは、正月仕事の楽しみにしておく。これと同時に、2005年分からいくつか好みの記事を選んで解説しまとめることもしておく。
 というわけで、MuBlogも一時の狂躁が沈静化し、日々の生きる証となった平成17年の大晦日だと、今朝思った。
 MuBlogに沢山のコメント投稿を寄せてくださった人々に厚く礼を申し上げます。
 また、影の読者さんたちにも、感謝していることを懇ろにお伝えしておきます。

*.今朝の予定と読書
 今朝は、アン・ライス『呪われし者の女王』その下を、読んでいます。例の「レスタト」シリーズですが、なかなか翻訳もよくて、さらにライスの才能が満ちこぼれ落ちるような内容です。この作品は「レスタト班総長」という方からお借りしている図書です。こういうのをお持ちの方が、葛野にはわんさかおるのです(笑)。
 今夕は、エドルン君たちと、祇園さんなんかを歩いて、京都の大晦日を楽しみます。毎年の定例です。帰還したなら、越前名物おろし蕎麦をたべて、一杯やりながら大NHKの紅白を鑑賞し、おそらく北島サブちゃんの風雪ながれ旅に感涙むせぶことでしょう。
 ああ~、浪花節ですよね人生は。バチがなければ指で弾けばよいと、思い定めたなら、人生苦もやがて甘い蜜になります。
 筆ガナケレバ、空ニモ書カン、とおっしゃったのは敗戦時の保田與重郎先生でした。

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小説木幡記」カテゴリの記事

コメント

Muの旦那

何処の場所で、長編小説の開陳をされ始めたんですか?未だ、内緒ですか?

しかし、Muさんも今年は忙しい一年でしたね。もう暫くは続くんでしょうかね。

今日は、祇園から八坂さんあたりを、エドルン君と歩いておられるんでしょうね。アタシャ、炊事当番で多忙です。

テンプラ揚げから、年越しそば、煮物、すき焼き、ホンマ多忙なる大晦日です。

素晴らしい、新年をお迎え下さい。二人の金魚さんにも宜しく。

投稿: jo | 2005年12月31日 (土) 18時04分

joさん、2005年12月31日 午後 06時04分

1.作品についてはいつかちゃんとリンクを張りますよ。
2.祇園さん、お参りしておきました。寒さはそれほど厳しくなかったです。後刻、記事を掲載します。
3.午後に、ホテル日航とかのレストラン製でしょうかね、おせちセットが贈られてきました、変だね。そんな覚えはないのに。
4.金魚水槽、午後にしっかり清掃しました。ぴかぴかになりました。
5.というわけで、おっとりした年末年始です。

投稿: Mu→Jo | 2005年12月31日 (土) 20時33分

浅茅ヶ原竹比古作品、期待しています

 幻の古代王朝。
あれはもう25年くらい前になるのでしょうか。

 文学、音楽、映画に我々の世代はずいぶん救われ、支えられました。
Muさんはやっぱ文学やろね。
文学の中でも、詩でもエッセイでも評論でもない(小説)やろね。

 いつだったか車で京都一周してもらった時いきなり(狂え!)とMuさんが叫んだのでビックラこいたことがあった。
車がどっか突っ込むのじゃないかとハラハラした。

 来年あたり潮時かもしれませぬね。

投稿: ふうてん | 2005年12月31日 (土) 20時59分

ふうてんさん、2005年12月31日 午後 08時59分
 さっきNHK紅白、TMリボルーションでした。いま、ハナミズキ、これは歌名か歌手名か、どちゃらかわかりません。小さく、一青なんとかとか読めますが。
 よい歌ですね。……

さて、ふうてんさんの記憶も、もしかして激しい潤色があるのではぁ。運転中に何故「狂え」などと絶叫するのでしょうか。わからない。どうやってもそんなことを叫んだ覚えがないのです。もしかしたら「来るでぇ、(パトカー)が」じゃなかろうか。Muは運転中、高速では50%後ろを見ています。市街地でも30~40%ですね。だから、後ろにパトカーとか、あるいは白バイなんかつかれると、そりゃ「来るでぇ~」と、なんやら染みついたセリフがでるんですよぉ。

ところで、人だから、ご飯以外のものがないと、しんどいようですね。Muの場合は、確かに文学でした。今は、マシンも等量ですね。

あと数時間後の来年、節目になればよいですね。Muは、いろんな意味で、心理的時間的にキツイ日々ですね。とはいうものの、「造る」しんどさに比べると、会議とか雑務とかは、CPU3%稼働のアイドリング状態とも考えられますしね。

どんなことも、定めがきめてくれることでしょう。究極の宿命論です。

ふうてんさんも、新しい一歩を踏み出される予感。戌年万歳(笑)


投稿: Mu→ふうてん | 2005年12月31日 (土) 22時28分

 先生、
 お久しぶりです。
 今年は、仕事に明け暮れました。
 でも、本当に楽しい職場なんです。
 
 母校に遊びに行きたい、と思いつつ、
あっという間に一年が過ぎてしまいました。
 来年こそは、遊びに行きます。
 
 先生、どうぞ良いお年をお迎えください。

投稿: 羊 | 2005年12月31日 (土) 22時38分

羊さん、2005年12月31日 午後 10時38分

 あなたのblogとっても安定してきていると最近思います。よい兆候ですね。
 どうぞ、遊びに来てください、弁慶うどんで、中華麺タイプなど、御馳走しましょうぞ(笑)
 寿司なら、最近は外大横の蔵寿司がはやりのようですね。あははは。

投稿: Mu→羊 | 2005年12月31日 (土) 22時49分

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