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2005年11月 6日 (日)

狐闇/北森鴻

狐闇/北森鴻

狐闇/北森鴻
 きつねやみ/きたもり・こう、講談社文庫。おもしろく読んだ。伝奇小説なのか、ミステリなのか、どういうってよいのかわからないが、Mu好みの小説だった。内容を殆ど知らないままに、そしていくつかの賞をうけた著名な作家であるにもかかわらず、Muは先入観なしで読んだ。無知の幸であろうか。もともと、作品を自分で選ぶほどには目利きではない。自分で選んだ図書とか映画は、大抵見終わったあとに「ブー」、失われた時間と労力を思い、呪詛の言葉を木幡や葛野で吐き散らしている。しかし、それらは忘れる。人の失点、欠点をMuBlogであげつらっても、ほとんど意味がない。読まなかったこと、見なかったことにして、生を終えるつもりだ。
 だから、MuBlogは、いかにも読書好きの人間が、図書や映画紹介しているようにも見えるが、あんまり記事にはならない。そんなぁ、毎日毎週おもしろい本や漫画や映画が、あってたまるかい。

 狐闇、最初どう読んでいいのか困った。コアン、キツネアン、コヤミ、……。なかなかキツネヤミにたどり着けなかった。これは高校の国語の時間に、なにかしらあがってしまって、平野とよめばよいものを、タイラノ、ヒラノ、タイラヤと堂々巡りして、さいごにやっと「へいや」と読んだ思い出に等しい。Muは、そういうところが多い。(悲)

 さて次は、北森鴻という著者名である。最初、キタ・リンオウ、ととんでもない読みをしていた。コウノイケ(鴻池)をおもいだして、kouかもしれないと気づいたときには、キタ・リンコウだった。
 キタモリ・コウにいたるまで、ものすごい苦労を重ねた。

 実は、最初の最初から、この図書については探索に骨がおれた。ミステリマニアなら著者名を見て、一瞬でわかることだが、Muはマニアではなかった。だから、この著者を、さるコメントによって、それが故意にかミスかわからないのだが、誤った情報で懸命に探していたのだ。次のコメントをご覧下され。

税所篤は森鴻の「狐闇」(講談社文庫)に出でてきますね。これ、ミステリーですがおもろいでっせ。 名前: 冬狐 | 2005年9月27日 午後 05時57分
 元記事はMuBlogの、「墓盗人と贋物づくり:日本考古学外史/玉利勲

 ある日突然こういうコメントが入った。むろん、「冬狐」という人物はまったく、なにものなのか不明。ともかく、なんとなく「読まないとぉ」と、そそるようなコメントだった。そして、そこには大森鴻とあった。Muは頭が固いので、大森鴻で何度も何度も探した。……。信じられないことだが、数日かかった。どうしても「狐闇」では、さがさなかった(理由不明:多分、このタイトルに胡散臭さ、コメントを下さった方の誤植と思いこんでいたふしがある)

 ……

 周辺をぐるぐる回るのはこれくらいにしておこう。単純なことだ。Muはミステリの感想文を書くのが、最近ものすごく苦手になってきている。困ったことだ。
 で、しかしキーワードくらいは列挙しておく。
 ヒロインは、冬狐堂(とうこどう)という骨董屋さん。ただし店舗をもたないから、業界用語で「旗師」(はたし)と呼ばれている。本名は宇佐見陶子(うさみ・とうこ)、30代後半の独身女性。発掘物の目利き。
 彼女がある日、三角縁神獣鏡、しかもカラス・マーク入りの魔鏡を手にしたときから、事件に巻き込まれていく。その奥は深く、どうも明治期に仁徳天皇陵を盗掘したと噂のたかい、堺県令・税所篤(さいしょ・あつし)の線に結ばれていく、……。

 ヒロイン冬狐堂は、そうだな、アンドロイド的な魅力がある。徹底的に追いつめられるのだが、それを何度も何度も不屈の精神ではねのけ、切り開いていく。緊張度の高い作品である。そしてまた事件の背景には、明治政府の政治の根幹にまで抵触する、ある種の「怖さ」がある。

 と。これくらいにしておく。
 これは冬狐堂シリーズでは、二作目のようだ。一作目は「狐罠」らしい。また、読んでみよう。キタモリ・コウのキツネ・ワナとよむのじゃろうな(笑)。

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コメント

 今日の前ふり、読んで安心しました。Muさんでも、つまらない本を読んだり映画を見たりして、(時間を損した)って思われることがあるんだ!って、ちょっぴり嬉しくなりました。
 いつも、どうやってこんな本を探し出せるんだろうって思ってました。(失敗例も数々あったわけですね。)

 今日、本屋で平野啓一郎の『葬送』が、新刊文庫で出てました。買おうかな?って思ったんですけど、最後まで読みきれる自信もなくて・・。私よりかお金持ちのMuさんにお願いなんですが、ちょっくら『葬送』を読んで、解説していただくということはできませんでしょうか?
(それとも1冊だけ買ってみようかなあ。全4冊でした。) 

投稿: wd | 2005年11月 6日 (日) 17時35分

wdさん、2005年11月 6日 午後 05時35分

 すこしでも、仮想空間であれ現実空間であれ、MuBlog縁者の奨める図書でしたら、読んでみます。

 ただし、おそらくお正月でしょうね。
 これから深秋、Muの精神の最高度になる季節ですから、それを何に振り分けるかは考慮中。

 『葬送』は格別に気になっていたものですから、おそらく年度内(笑)には完読するんじゃなかろうか、……功名が辻を再読しなくっちゃ、来年に繋がらない、などと。

 黄泉の司馬さんか、現代の平野さんか、ふむむ。

投稿: Mu→Wd | 2005年11月 6日 (日) 18時19分

あんま面白くなかったのかな?

大山古墳(だいせんこふん)が舞台ですか、堺県令ですね。確かアメリカにこの古墳出土という環頭太刀と鏡がありますね。

4世紀末から5世紀の朝鮮半島激動の時代に大和ではなくて河内の瀬戸内海に面した場所で都を築いた河内王朝とは本当はどんな、王朝だったんでしょうか?

明らかに高句麗の好太王碑文には倭国との戦乱の記述がありますから、朝鮮半島で戦った王朝なんでしょうね。

しかも、半端ではない高句麗が5万の兵ですから、それ相当の兵力を朝鮮半島に送り込んだんでしょうね。

すくなくとも、当時は朝鮮半島の南部は制圧していたんでしょうね。ある歴史家が言うてましたね、38度線は北部朝鮮半島勢力と南部朝鮮半島勢力の兵站が途切れる場所だそうだ。

今も昔も変わらんという事だそうです。

投稿: jo | 2005年11月 6日 (日) 21時29分

joさん、2005年11月 6日 午後 09時29分
 狐闇、おもしろかったですよ。

 ただ、最近ミステリ感想を書くのが本当に難しくて、方法論を確立できていないのです。
 犯人Xや、物語の流れや、人物や事象を描くだけで、カンの良い人なら、分かってしまう。
 読みながら分かっていくのが楽しみでもあるのだから、それをどんな風に説明してよいか、迷っているのです。

 朝鮮半島と和国の話ですね(倭という文字を使うのがけったくそわるくてね)。
 これは清張さんの昔の意見に大賛成です。侵略とか征服とかの話じゃなくてね、昔は北九州と半島南部とは、同じ文化圏で、人が気楽に行き来していたような幻視があるのです。

 だから高句麗との戦争は。これは、北方朝鮮族混合・戎人(ほほほ、中国的やね)と、南方朝鮮和・混合人の争いで、朝鮮半島を主体にすると、なんとなく半島での国内戦でしょうね。
 だから「制圧」という言葉はうまくないような。
 そうやね。
 名古屋(愛知県)人が京都人を制圧していたような雰囲気かな(笑)

 なんとなく、話がずれてきましたね。
 河内王朝は、これは、ネイティブ縄文人の混じらない北九州朝鮮族の王朝と考えたら良いかも知れない。継体さんが、実は出雲・縄文系でね(笑)

 すんまへん。
 脳が半睡なんで、これで。

 

投稿: Mu→JO | 2005年11月 6日 (日) 21時50分

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