作家の値うち/福田和也
2000年に飛鳥新社というところから、福田和也『作家の値うち』がでてている。当時の現役作家100人(娯楽作家から芸術作家、半数づつ)の主要作品574作を100点満点で評価したものである。
Muは当時随分熱心に読んで、そこで選ばれた数作を読んだ覚えがある。
それ以前にMuが感動して読んだ作品が「人前で読むな、恥ずかしい」と書かれていたり、「なんだこれ」と思ったのが90点(90点を超えると文学、いや世界文学史上残してもよい作品となる)以上あったり、ふむふむとうなずいたりで、なかなかスリリングだった。
しかし反響がいろいろあって、扱いの難しい図書と今でも思っている。
おもしろがってこっそり読んでおれば良いのだが、最近気むずかしい本も時には読まなくてはとおもって、今朝ぱらぱら眺めていた。
索引(INDEX)がおもしろく、つい読み浸った。そこだけ部分・引用してメモとしておく。福田の評価では50点以上が優れた文学となっているようだ。50点以上だと読むに値するのだから。
90点以上 : 世界文学の水準で読み得る作品。
96点→『ねじまき鳥クロニクル』(村上春樹) 他古井由吉、石原慎太郎
90~96に17作品/全574
80点以上 : 近代日本文学の歴史に銘記されるべき作品
89点→『海辺の光景』(安岡章太郎) 他阿川弘之、島田雅彦、山崎豊子、町田康
70点以上 : 現在の文学として優れた作品
79点→『龍臥亭事件』(島田荘司) 他
60点以上 : 再読に値する作品
50点以上 : 読む価値がある作品
40点以上 : なんとか小説になっている作品
39点以下 : 人に読ませる水準に達していない作品
29点以下 : 人前で読むと恥ずかしい作品。もしも読んでいたら秘密にした方がいい
で、このガイドブックに対するMuの評価だが。
うむ。
75点。
ただし、評価表(各要件の中には、「ともかく良い」「ともかく悪い」というきわめて独断的項目もふくめてよい)の整備と、各作家内での最高と最低との、それぞれ詳細評価があれば、世界文学批評の貴重なガイドブックとして92点。現状と先行投資(笑)とで、足して割って、成績簿には86点優を付けることだろう。素晴らしい。
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