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2005年7月20日 (水)

北方謙三『水滸伝』十七「朱雀の章」

承前

 この十七巻もあっけなく読み終わった。これほどの長編になると、Muも心眼で読んでいるのかも知れない。あれよあれよという間に最終頁になってしまった。

 エピソードとしては、先年のNHK新撰組とおなじく、ともかく人が死んでいく。しかも懐かしい人たちが。戦死だけではなく、長い年月の無理による病死もある。余計に切ない。
 ここで、誰が死んでいくのかは、書かないで置こう。ただ、梁山泊の創設者グループの幾人かがこの巻では非命の最期をとげる。まだ、そう、まだ生きていてほしかった、生きているはずの者たちがだ。

 禁軍元帥童貫(どうかん)の恐るべき戦(いくさ)上手に梁山泊軍は苦戦する。
 梁山泊軍にあとはないという感がしてきた。今度正面対峙したならば、完全に梁山泊軍は敗走する予感さえする。それほどに、童貫の采配は優れている。地方軍を使わず、童貫親衛隊を動かすだけで、梁山泊軍は苦戦をなめる。

 梁山泊の致死軍と飛竜軍が、結局CIA青蓮寺の軍隊(高廉の闇軍)を壊滅させる。ここで、青蓮寺・聞煥章(ぶんかんしょう)の手先呂牛(ろぎゅう)が梁山泊・飛竜軍・劉唐(りゅうとう)らに殺害されるのは、すっきりした(笑)。実はこの呂牛という男がどうにも憎たらしかったのだ。
 致死軍総帥公孫勝(こうそんしょう)の過去が現れる。最初から陰影のつよい男だったが、この巻になって初めて過去が語られた。公孫勝にとって劉唐らの死がよほどにこたえたようである。
 それはさておき、この場合も、林冲(りんちゅう)騎馬隊が突然あらわれて、最後の最後に致死軍を救った。これは往年の西部劇における騎兵隊のようにおもえて、にんまりした。

 王進のもとの楊令が成長著しい。しかし、かつての青面獣・楊志(ようし)のように活躍するには、残巻があまりにわずかとなってしまった。あと、二巻ほどだろうか。楊志と目にしただけで、その最期をおもいだし号泣するファンが多いと聞く。楊志が命かけて守った子供が、楊令と名乗り父に勝るとも劣らぬ偉丈夫として現れた。ああ。

 歴史的には、北方、遼の国の少数民族「女真」が活躍しだした。族長の息子阿骨打(あくだ)という青年が、梁山泊関係者と親交を結んだわけである。はて、アクダ。東洋史を学んだ者なら、この名前をどっかで耳にしているはずだが(笑)。

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