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2005年5月21日 (土)

読書のこと

 この3月から今日5月の後半まで、幾冊かの読書をしたのだが、なんとなくタイトルを挙げにくい図書が多くて、読書記が滞っていた。
 挙げにくいとは言っても、おおかたの紳士が想像するであろう類のものではなくて、評価がまだ困難な、あるいはそういう世界に私が足を入れていることをまだ知られたくないような、そういうものである。
 で。今夜は未読図書として近いうちに読むだろう数冊を展示して、大方にご安心願うということで、記しておく。

 ともあれ、若年時不良は服装と化粧とで分かるという。加齢不良はポケットのマッチと読書傾向とで分かる、と最近のMu説もある。前者はその点、Muなどは午後七時ころには半睡状態になるので、どこそこのオジキ達のように夜の巷を徘徊することもない。やれワインの焼酎の、やれママの白粉の香水の、付け馬のと騒ぐことは終生なかろうて。後者についても、至極まっとうな読書傾向に揺らぎはなく、たまに秘匿するにしても、それは故あってのこと。

 まずは、Muのこれからの読書傾向を一瞥なされれば、その精神の清純、安定振りがもれにじみだして余香となり、「おお、さすがわMu先生、自由闊達、道を外されてはおらぬ」と、喝采をあびることだろうて。

 夏期休暇までに読んで賢くなるつもりの本。

1.θは遊んでくれたよ/森博嗣.講談社、2005.5
 この図書から、知らぬ間に「Gシリーズ」と名付けてありました。これはMuも以前、「ギリシャ文字やからG」と勝手に思いこんでいたが、世間ですな、同じになってしもうた。しかし事実はきっと、グリコのおまけ、とか、ギロチンとか、Muの思いとはまったく別なんでしょう、命名規則。
 そうそう。ギリシャ文字は、大昔読めなくってね。数学と理論物理と情報学の本しか置いてなかった図書室で司書してて、困りました。で、当時岩波の数学事典かなんかの後ろの附録にギリシャ文字が載っていて、それで読めるようになったのです。
 トンデモ参考サイトを二つ。一つはMuBlogから。もう一つは、トンデモでもないのだけど、なんとなくそれとなく

2.武家用心集/乙川優三郎.集英社、2003.8
 帯に「静謐な筆で描く時代小説集。己を見失うことなかれ」とありましてぇ、すでに己のないMuなんかどうすりゃよいのじゃろう、と悩みながら読む小説のようです。初めての作家ですね。もしかして、Muの人格まで変わったら、ものすごい小説なのかもしれない。

3.足利義政/ドナルド・キーン.中央公論社、2003.1
 「日本美の発見」となっておりますね。
 義政が生涯に好んだ、そして作り上げた美が、現代日本の多くの人に愛される「日本美」らしいのです。東山文化、要するに銀閣寺ですよね。ふむふむ、そうかい、キーンさんや。なんとなくうなずける節もありますね。
 Muの好きな古式神社とか、〆柱は、日本美の本源と思ってはいますが、皆が皆うなずく日本美とはなっていない。隠された美でしょうね。それにくらべて、銀閣寺の佇まいや、キーンさん描くところの庭や絵画や焼き物や装束デザインの多くは、京都の美に直結しとります。
 翻訳は例によって角知さんという方で、読みやすく、格調の高い日本語です。
 楽しみです。

 とまあ、この三冊ほどを三ヶ月ほどかけて熟読し、見識洗練されて、ついでに賢くなりたいですね。 
 ふふふ、合計4400円でそうなれば、美容整形とか塾通いとか、夜の彷徨とか、……。もったいない。

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コメント

足利義政 ドナルド・キーン

面白そうですね、感想文お待ち申し上げています。

”加齢不良の傾向はマッチと読書傾向で判明する”・・・・最近は、マッチは有りません、それは20年前頃の時代ですな。

ポケットから”怪しいマッチ”が出現・・・・懐かしい響きでんな。そして、不良という概念も懐かしい響きがするな~~~。

しかし、夜の巷を徘徊し、いかがわしい場所をウロウロして、白粉の方々と文学論と芝居の話をする、身近な人でいたような気がするな~~~。

しかし、不良中年、不良老人、宜しいんではないですか?人さまに迷惑をかけない人生は不良ではないと思うけどな~~~。

真面目な人生を送るとは、”一番面白くない”人生やと思うけどな~~~。死ぬとき、”あ~~不良の人生やったな~~~”これが、面白いのとちゃう?

投稿: jo | 2005年5月21日 (土) 09時02分

joさんや、2005年5月21日 午前 09時02分
 たまに、ひさしぶりに仕事でもしようと葛野に土曜の朝からきてみると、しょっぱなから、Jo爺さんの不良老人話、やってらんないよぉ〜
 そうですか。
 今はマッチなんかないのですかい。ほたら、なんでっしゃろ、チラシ、ティッシュ、カードかな。うむ、夜の巷の世界はわからぬ。

 義政ですけど、おもしろそうですね。日野の富子とか、それから悪逆非道の義教とか、一休さんとか、中世のおもろさですね。それに、舞台が大抵は花の御所、京都でっしゃろ。わくわくします。で。キーン爺さんって、なかなかに、佳いですね。

 さて追伸。
 Muはうまれついての真面目青少年、壮年、初老ですから、その、なんですなぁ、不良の気持ちはとんとわかりません。
 真面目にしとっても、けっこう、Jo爺とかふ爺とかに出くわすから、おもろい人生やとおもとりますがぁ。

 さあ。仕事しますで。

投稿: Mu→Jo | 2005年5月21日 (土) 09時26分

お言葉ですが

 ドナルド・キーンてどこの人でしたっけ?
日本人ではないと思いますが昔NHKのテレビによく出ていました。
その番組で谷崎潤一郎の(瘋癲老人日記)や文楽の近松物などの魅力を教えられたのでした。

 それにそそのかされて以来20年余、やれ谷崎だ近松だいうてます。
あの人、ドナルド・ダックじゃなかった、ですよね。
こないだ北京行ったランちゃんがペキン・ダックえらい美味かったいうてましたけど。

 されど夜明けに、ちょっとビールとウィスキー飲んで混乱しました。

投稿: ふうてん | 2005年5月21日 (土) 10時53分

あれ?不良の老人の話をしていたら、噂の
ふうてん老子ではないですか?

やはり、この手の話は夜の巷の歴戦の勇士にお語り願わないといけませんな。

なんか、最近、何処かの皇帝は”清貧君主”(あれ?漢字はこれでえ~~んかな~~?)
を目指しておられるようや。

ふうてんはん、人生を語っておやりやす。

投稿: jo | 2005年5月21日 (土) 12時07分

ふ爺
Jo爺
 キーンさんは、そういうこってして、非ネイティブの日本観がよくわかるような気がします。
 つまり、義政なんて今の日本の人はせいぜい高校日本史で東山文化のこと、文字をおしえられるだけで、当時の美意識が現代にどうしみこんでいるのか、だれも気にもしないわけです。そこを、「外から」同時に「内から」ながめてみると、こうなんや、とキーンさんは記しておるのでしょう。
 日本の通弊ですが、自国のことを冷静に客観的に表現するのが下手な日本人。昔のお雇い外国人教師には優れたひとがいろいろおったようですが、キーンさんも、そういう誠実さがあるんでしょうね。

 いやいや、読んでから、また書きますで。 

投稿: Mu→ふJo爺 | 2005年5月21日 (土) 14時25分

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